記事・レポート

流通革命
BuyMa(バイマ)成功の舞台裏

更新日 : 2009年03月09日 (月)

第3章 大切なのは、売り買いを通した「コミュニケーションの場」

株式会社エニグモ代表取締役 須田将啓氏

須田将啓: 日本人がやっているので、言葉の壁を感じず、機微な質問ができたり、感覚としてある程度のクオリティを担保したやりとりができたりするのもポイントです。

それから、これは結構大切なのですが、物の売り買いを通した「コミュニケーションの場」になっていると感じています。例えば、バイヤーさんが手紙を入れてきてくれたり、おまけで何か入れてくれたりします。

買った人も、感謝を述べたり、商品の感想を送ったりして、文通に発展することもあるようです。このような体温のあるやりとりができるというのが、ほかのサービスとは大きく違うポイントではないかと思っています。

また、現地価格に近い価格で買えるというところや、海外で発売したタイミングとほぼ同じタイミングでサイトにアップされるというリアルタイム性があるので、世界中の流行の兆しを把握できるし、現地でしか購入できない物を購入できるというのも大きなメリットです。

当初は非常に苦しい時期が続いていましたが、右肩上がりで成長してきました。我々としては無事収益化もできて、安定的に利益貢献できるサービスになって成功したのかなと思っております。

いくつかのポイントをお話しすると、運営については、まずはC to Cの不安を解消した安心安全な決済を入れてトラブルを回避して、誰でも不安を持たずにやりとりできるようにしました。また、バイヤーさんのリスクを徹底的に軽減しました。先ほどお話したように在庫を持たないで出品できます。我々は出品料や会費は一切とらず、売れたときにだけ手数料をいただくことにしました。

それから信頼感の醸成のために、徹底したPR活動やカスタマーリレーションをしました。
また、特集によって方向づけをしたり、バイヤーさんが頑張ったことをランキングなどで目立たせてあげて、サイト内の空気をつくっています。

アカデミーヒルズセミナー会場の様子「BuyMa(バイマ)」成功の舞台裏
マーケティングに関しては、3つあると思っています。1つはカテゴリーとターゲットを最初に思い切り絞ったことです。マッチングサイトはどうしても、買いたい人と買いたい物がある程度のボリュームがないとなかなかマッチングしないので、最初は「LAファッション」「女性、F1層」に絞りました。そこに物が集まってきて、欲しい人が集まって、マッチングが高まってきました。 2つ目は、強みに則った成功パターンをうまくつくれたこと。エッジの立ったブランドにフォーカスしたことで競合するネットショップが少なく、その商品を欲しがっている人にヒットするから『BuyMa』にアクセスして買ってもらえる。エッジの立ったブランドをどんどん立てて話題にして、検索してもらって、ブログに書いてもらって、また検索してもらって、『BuyMa』に人が集まる——というパターンを回していったのです。 3つ目は「検索される」ということをキーポイントにして、当初から検索エンジン周りに特化して戦略的に取り組んできたことです。ベンチャーなのに「こんなにお金かけるのか?」というぐらい、最初にリスティング広告にお金をかけました。これで『BuyMa』に合いそうなユーザーさんが検索エンジンのリスティング広告をクリックしてやってきて、『BuyMa』の特徴を知ってファンになってくれるという形で、規模を拡大していきました。 こうした基盤をつくりながら、並行してSEO対策を始めて、サイトがより自然に強くなる構造に取り組んでいったのです。


該当講座

流通革命「BuyMa(バイマ)」成功の舞台裏
須田将啓 (株式会社エニグモ代表取締役/共同最高経営責任者)
西川英彦 (法政大学 経営学部 教授)

2005年のサービス開始当初からそのユニークなアイデアで注目を集めるオンラインショッピングサービス「BuyMa(バイマ)」。BuyMaは、Buying Market(買い付け市場)の略。サイトユーザーがバイヤーとなってお勧めの商品をサイトで紹介し、購入希望者が現れたら商品をお店で買い付けて希望者に販....


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