記事・レポート

G8洞爺湖サミット「シェルパが語る首脳外交の舞台裏」

更新日 : 2008年09月03日 (水)

第1章 首脳は孤独。サミットは、誰にも相談できない議論の場

六本木ヒルズクラブのランチョンセミナー「G8サミット:シェルパが語る首脳外交の舞台裏」の様子

河野雅治: 皆さん、最初に申し上げておきますけれどね、官僚の話というのはつまらないんですよ、本当に(笑)。ですから、私も仕事の話をときどき家でするのですけれど、家内はほとんど相手にしてくれません。しょうがないので外で話すのです(笑)。今日は、こういう機会を与えていただいて、六本木ヒルズクラブの皆さん、本当にありがとうございます。

サミットの舞台裏について話せということであります。私は、今日は何も隠し事をするつもりもありません。しかし、ここの皆さま以外には、あまり話したくはないと思っています(笑)。

ちょうど1週間前、先週の昨日(2008年7月9日)になりますが、ようやく日本主催のサミットが終わりました。次のサミットはいつ来るのでしょう か、8年後に来るかもしれませんけれども、サミットはこれから拡大していくかもしれません。ひょっとしたら、このようなサミットは日本で将来開かれるのか どうか。

シェルパというのは何なのか、今日改めてサミット、そしてサミットに集まる首脳たち、そしてそれを支えるシェルパたちについて、私の体験をお話ししたいと思います。

皆さま、サミットについては先週、新聞やテレビ等でご覧になったと思いますけれど、皆さまがご覧になったサミットというのはどうでしたでしょうか。 それは恐らく、首脳が円卓に座っているシーン、それから議論が終わって外に出て行って、「ファミリーフォト」、集合写真を撮るシーンで、首脳が実際に話し ているところを聞かれたことはないのではないでしょうか。

サミットというのはそういうものなのです。非常に不思議な空間だと思います。人前では一切話さない、メディアの人がいなくなって、誰もいなくなった ところで初めて話し出す、これがサミットなのです。いろいろな二国間の外交の活動ではメディアの前でも話すことがありますが、サミットについては一切、人 前では話さないのです。

しかも、今回22カ国の首脳が集まりましたけれども、G8だけを見ても英語を話す人、ロシア語しか話さない人、イタリア語、フランス語……みんな、 それぞれの言葉で話します。すべてサミットは、同時通訳でしか会話をしないのです。従って総理の周りにも通訳は一切いません。非常に不思議な雰囲気です。 私も見ていて、そう思いました。

六本木ヒルズクラブのランチョンセミナーの様子
円卓にみんな座っていますけれども、サミットというのは隣の人と一切話をしないのです。メディアがいなくなる、そうしたらすぐさま、みんなイヤホン を耳につけます。同時通訳の人は全く目につかないどこかで静かに同時通訳をやっていて、すべての首脳は同時通訳でしかお互い会話ができない、こういう空間 になるのです。

首脳というのは、ある意味では非常に孤独です。サルコジ大統領にしてみれば、隣にいる福田総理とイヤホンをしなければ会話ができない、従って私語がないのです。みんなで通訳を聞きながら1つの話をするというのがサミットです。こういうのは不思議だと、私も思いました。

世界のみんなが注目しているG8サミットは毎年あるわけですが、首脳たちの話は一切外からは聞こえないのです。彼らだけの孤独な空間、言ってみれ ば、誰とも相談ができない、誰も見ていない、逆に言えば「首脳がお互い話をすることは絶対外に出ない」というある種の気楽さ、ある種の自由さの中から議論 を重ねる、これがサミットです。今年も17時間にわたってG8の首脳だけで議論を重ねました。


該当講座

G8洞爺湖サミット:サミット開催直後にシェルパが語る首脳外交の舞台裏
各国利害がぶつかる中で議長国日本はどう動いたか
河野雅治 (外務省外務審議官 G8洞爺湖サミットにおける日本の首脳の個人代表(シェルパ))

7月7日から9日にかけて北海道洞爺湖町にて行われる主要8ヶ国首脳会議(G8サミット)。地球温暖化問題、食糧問題、サブプライムローン問題に揺れる世界経済、アフリカ開発などのグローバルな課題がサミットの主要議題となると言われています。 しかし、これらの問題は各国首脳の信念や国益が激しくぶつかるテーマで....


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