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ときには裏切られたり、人を傷つけたりもする。それでも、私は信じたい。

大宮エリー的『言葉の力』

キャリア・人文化
更新日 : 2013年01月11日 (金)

第3章 拙い一言が、誰かの人生を変えることもある

写真左:生駒芳子(ファッションジャーナリスト)写真右:大宮エリー(作家/脚本家/映画監督/演出家/CMディレクター/CMプランナー)

 
生きていることがつらいから、ちょっとコントにしてみよう

生駒芳子: エリーさんの『生きるコント』は、喜怒哀楽が全て入っているような新しい感覚で、「こんな文章を書く人がいるんだ」と感激しました。生きるヒントじゃないですよ、『生きるコント』なんですよね。

大宮エリー: 「生きていることがつらいから、ちょっとコントにしよう」みたいな。

生駒芳子: 名言ですね。

大宮エリー: まあ、知恵ですよね。

生駒芳子: すごく救ってくれる。言葉の力を感じました。エリーさんは薬学部を卒業されてからコピーライターの仕事を軸にされて、いまに至る。どんなお子さんだったんですか?

大宮エリー: 小さい頃は、内気な子だったみたいです。例えば、母が病気をしたときに、ストローの袋の切れ端に「おかあさん、早く元気になってね」って書いて丸めて、家中に埋めていたらしいんですよ。その後、母が掃除をするとその紙が出てきて、「ウワッ! 何コレ!」みたいな(笑)。

生駒芳子: (笑)。それ、相当変わっていますよ。

大宮エリー: 書いても渡せなくて、いろんなところに埋めて仕込んでいたんですよね。

伝えないとなかったことになってしまうから

大宮エリー: しっかり覚えている話でいうと…、学生時代、ある先生の授業をみんな全然聞かなかったんですよ。新任でなめられていて、みんなで大きな音を立てて授業を邪魔したりしていました。

私は面白いなと思って授業を聞いていたんだけど、いじめられっ子だったから「みんな! 聞こうよー!」って言っても、絶対誰も聞いてくれないじゃない? だから黙っているしかなかったの。

でも、私だけは聞いているっていうのが、その先生にとっても明日への活力になるんじゃないかなと思って、毎日質問しに行きました。でも、やっぱりお辞めになってしまって。そのとき、「このままでいいのかなー」と思ってしまった。

というのも、その先生はいろんな記事を集めたオリジナルの新聞を作って、それに対してみんなが意見を書くような面白い授業をやっていたから。茶髪でチャラチャラした女の子が、意外としっかりした意見を持っていたりする。これはいい授業だなって思っていたの。だから、この気持ちだけは伝えないと「なかったこと」になっちゃうなって。

生駒芳子: それは大きな体験ですね。

誰かの人生を変えちゃうなんて! 言葉の力を実感

大宮エリー: それで、手紙を書いたんです。授業中に静かにならないのは嫌だったけど、私は面白いと思っていた。特にあの新聞の授業はすごくよかったと。本当はみんな、いいと思っていたみたいだよと書いたんです。

半年後くらいかな。「大宮さん!」って聞きなれた声で呼ばれて振り返ったら、その先生だったの。「辞めて実家に帰ったんですけど、手紙をいただいてもう一回やってみようと思ったんです。恥を忍んで、同じ学校に就職しました」と言われて。拙い一言が、人の人生を変えたりするわけですよ。言葉の力ってすごいなって。

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