オピニオン・記事

時代を読み、世界を俯瞰して、フロンティアを拓く場へ

シナリオはない。人と場が相互に働きかけ、共に進化する。
ー平河町ライブラリー 開館記念座談会よりー

更新日 : 2011年01月14日 (金)

第7章 「豊かな社会」は失敗や相違に寛容な社会

高橋潤二郎氏

高橋潤二郎: 自由を欲するかどうかは、結局、「フロンティアに生きているかどうか」という問題でしょうね。フロンティアは先がわからない。だからなんでもトライアルをせざるを得ない。

私は「豊かな社会」を考えるとき、あるエピソードを思い出します。バブルの頃、日本の役人やビジネスマンとハーバードで2週間合宿しました。地元の都市計画の状況を視察したあと、ある県の都市局長が私に文句を言いに来ました。「ここの講師は『It's quite an issue』(それは大きな問題だ)としか言わない。私は問題ではなく、正解を聞きに来たのだ」と(笑)。

しかし、その彼が打ち上げのパーティで「先生、アメリカはつくづく豊かな国だとわかりました。失敗が許される国なのですね。日本は貧しかったから、我々には失敗が許されなかった。だから正解を求めてきたのです」。私はこんなにうれしかったことはなかったです。

豊かな社会とは試行錯誤や失敗が許される社会です。同時に、相異に対して寛容な社会だと私は思う。多様性がなければ未来に対応できないのです。

私たちはフロンティアにおける多様な試行錯誤を認識した上で、それにどう対応するかを考えなければならない。

たとえば、日本はどの国よりも先に少子高齢化社会というフロンティアに直面します。労働力が減り、生産性も低下する可能性が高い。これまでの横並び意識では到底乗り越えられないでしょう。これはいずれあらゆる国が直面することであり、日本はそのモデルをつくるというフロンティアにあるわけです。

米倉誠一郎: それを切り開くのは、やはり枠からはみ出した人たち。「役に立つことをやろう」と言っている人に限って役に立たない(笑)。学問の世界でも「これ、全然役に立たないでしょう?」という論文に触発されることのほうが多い(笑)。

ジョン・スチュワート・ミルが「自己の利益を追求しろ、そうしたら全体調和が生まれる」ということを言っていますが、いま、日本人はそうした観点を殺してしまっている。このままじゃ本当に日本は元気になれないですよ。

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