オピニオン・記事

時代を読み、世界を俯瞰して、フロンティアを拓く場へ

シナリオはない。人と場が相互に働きかけ、共に進化する。
ー平河町ライブラリー 開館記念座談会よりー

更新日 : 2011年01月05日 (水)

第1章 問題提起:「豊かさ」の下で進行するもの

日本の中枢機関が集まり、歴史をつくってきた平河町。そのランドマークとして竣工した平河町森タワーに、知の拠点を目指して会員制の「平河町ライブラリー」がオープンしました。「学び、寛ぎ、働き、つながる」機能を備えた「場」に潜む可能性とは? 

竹中平蔵(アカデミーヒルズ理事長/慶應義塾大学教授 グローバルセキュリティ研究所所長)
米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター長・教授)
高橋潤二郎(慶應義塾大学名誉教授/森ビル株式会社顧問)
モデレーター:袖川芳之(株式会社電通 ソーシャル・プランニング局 プランニング・ディレクター)

袖川芳之氏

袖川芳之: 平河町ライブラリーという「場」のあり方や可能性について、自由に討論していただこうと思っています。

六本木ライブラリーがスタートした7年前とは、人々の働き方や価値観も変わってきています。そこでまず、「豊かな時代の豊かなつながりとは」という観点から、いま、私たちはどんな世界に向き合おうとしているのか、実際にどんな社会現象が起こっているか、などについて、問題提起を兼ねましてお話しさせていただきます。

「幸福感と(経済的な)豊かさの相関関係」を調べたところ、ひとり当たりGDPが1万ドルまでは相関しますが、それを越えると相関が弱くなり、2万ドル以上はほとんど相関しなくなってくる。つまり、豊かな社会では、経済的な豊かさとは違う原理が幸福感に働いてくることがわかりました。

豊かさの代償としてジェンダー(社会的な性別)意識が薄れ、コンサマトリーな(現在を自己目的化して享受する自己充足的な)価値観が強くなり、家庭や職場、地域のつながりが希薄化しています。

そうしたなかで経済成長時代の3つの支配(金銭の授受関係、組織の上下関係、規模の大小関係)から解放された働き方や活動を求める動きも出ています。新聞のネットサイトやフリーペーパー、YouTube、無料ゲームサイトといった新しいタイプの「無料経済」が話題になったり、お金にとらわれない働き方を志向する人々(クリエイティブ・クラス)や自活時間が注目されています。

人々は、労働という意味の「仕事」ではなく、社会参加につながるような「しごと」を通じて新たなつながりや幸福感、充足感を求めているように思えます。

そうした社会のなかで、どんなつながりをどのように求めていったらいいか。平河町ライブラリーを新たなつながりの場とするならば、それはどんな形がいいのか、つながりの質や距離感はどんな形がいいのかなども含めまして、ご意見を交わしていただければと思います。

では、まず、竹中さんに口火を切っていただきましょう。

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