六本木ヒルズライブラリー

国際ビジネスに潜む巨大なリスクの全貌が明らかに!
北島 純さんの『解説 外国公務員贈賄罪』

 2009年の政権交代を機に内閣官房長官の秘書として永田町に飛び込んだライブラリーメンバーの北島 純さん。現在も与党国対委員長の公設第一秘書として、政治の中枢で活躍中です。今回ご紹介する著書で北島さんは、外国公務員贈賄罪という聞きなれない犯罪が今後、国際ビジネスに潜む巨大なリスクになることに警鐘を鳴らし、その全貌を出来る限り分かりやすく解説しています。国際ビジネスにかかわる方は必読です。




 六本木ライブラリーで執筆されたという本書。「外国公務員贈賄罪」の全体像を分かりやすく解説しているのが特長です。外国公務員贈賄罪とは、「日本の公務員」ではなくて「外国の公務員」に賄賂を贈ったら逮捕・起訴されてしまうという犯罪。外国公務員に対する贈賄というリスクは、最近では特にアメリカのFCPAやイギリスの贈賄法に関係して大きな注目を集めつつありますが、その日本版である不正競争防止法18条の外国公務員贈賄罪について、全体像を初めて提示したのが本書です。

 筆者の北島さんは、ベトナムやスリランカ等を訪問した際に、現地の日本人ビジネスマンから「外国公務員贈賄罪」に関する裏話を聞いたそうです。この外国公務員贈賄罪、実は、ロッキード事件で逮捕・起訴された田中角栄元首相の「亡霊」が、30年かけて地球を一周し、ワシントン・パリ経由で日本に帰り着いたもので、OECDの国際条約の国内実施措置として作られたものだそうです。その過程を再現する冒頭の描写は圧巻です。

 「現在、アメリカのFCPA(海外腐敗行為法)やイギリス贈賄法のように、外国公務員に対する贈賄罪を取り締まって巨額の罰金を科そうという法執行のトレンドが世界を覆い尽くそうとしています。外国公務員に対する接待と便宜供与は,海外ビジネスを手掛ける全ての日本企業にとって大きなリスクと化していますが、この犯罪がどういった内容を取り締まるものなのか、よく知られていません。」と北島さん。確かに外国公務員贈賄罪とは聞き慣れない犯罪です。そこで、北島さんはそのような現状に警鐘を鳴らすべく、「外国公務員贈賄罪」の内容と実務上の対策について、膨大な一次資料を読み解き、立法担当者へのインタビューを重ね、その全体像を初めて明らかにされました。

 不正競争防止法のコンメンタールから具体的なコンプライアンス策まで、外国公務員贈賄罪という新時代のリスクに対処するために必要な情報が満載の本書。ぜひライブラリーの書棚でご覧ください。


北島 純さん(代議士秘書)
1971年(昭和46年)生まれ。東京都出身。東京大学法学部卒業、九州大学大学院修了。外資系法律事務所リサーチャーを経て、2009年(平成21年)平野博文内閣官房長官(当時)の秘書に就任。現在、民主党国会対策委員長平野博文衆議院議員の公設第一秘書。六本木ライブラリーコミュニティメンバー。趣味はスキューバダイビングとスカイダイビングと料理。

北島 純さんの著書

解説 外国公務員贈賄罪—立法の経緯から実務対応まで

北島純
中央経済社