記事・レポート

フジマキ流「自分ブランド」のつくり方

BIZセミナーその他
更新日 : 2008年04月03日 (木)

第3章 仕事にイタリア的な遊び心を取り入れたい

藤巻幸夫

藤巻幸夫: 3つ目も先程の話に繋がりますが、ミーハー心をもつことです。よく言えば知的好奇心ですね。私は分からなかったり、知りたいことがあると気になって眠れない性分。だから、すぐに本屋で本を買って読んだり、専門家に会って話を聞きます。本はかなりの乱れ読みになりますが、何より気になる言葉を見逃さない、次の日に持ち越さないことが大事です。

最近若手社員と話をしていて、「あれ、どうなった?」と聞いても、「あれって何ですか?」と忘れてしまっていることが多い。あまり物事について深く考えていないか、あっさりとしすぎているような気がします。ミーハー心、知的好奇心が当たらないなら、こだわり、深化させようとする気持ちと言ってもいいかも知れません。

日本の製造業界で世界的に評価されている企業の社長さんと話をしても、物事を本当に深く考えています。これだけはこだわりたい、深化させたいという心、そして、しつこく追い続ける心。「自分ブランド」にとってもこれが不可欠です。しかし、このような面は、若い人はどちらかというと苦手なようで残念です。

もう1つ付け加えるなら、私がこれまで何とかやってこられた裏には、自分が楽しむ気持ちがあったからだろうと思います。

余談ですが、伊勢丹時代、29歳で「バーニーズ」プロジェクトの一員になって、初めてバイヤー見習いとして海外にも行かせてもらえるようになりました。イタリアのフィレンツェに行った時、工場で働くイタリア人はみんな楽しそうに見えました。

通訳に何を話しているのかと聞くと、「昼食に何のパスタを食べるか相談している」のだと言うのです。さっき仕事が始まったばかりなのにと言うと、「彼らはへたをすると午前11時半から午後2時半まで食事をしている」と。私は「富士そば」で5分。この違いは何だと思いました。仕事は数時間しかせず、仕事をしているのか遊んでいるのか分からないイタリア人。天気がよければ、工場がまだ動いている時間でも「感性を磨く」と称してドライブに行くこともあります。

確かにイタリアのファッションは、優れているものが多い。イタリア人の仕事の仕方や感受性は、日本のものとまったく違います。コツコツやって、まじめにモノづくりをすることがよいとする日本と比べて、イタリア人はあくまでリラックスして楽しくやっています。

今、銀座を歩いていても、海外ブランド店ばかりが並び、どこも盛況です。ブランドの実力差といえばそうですが、正直日本が負けているのは悔しい。伊勢丹では、若手デザイナーの登竜門としてブランド「解放区」をつくりました。そこから多くのデザイナーが羽ばたいていきましたが、海外でも活躍している人はまだまだ少ないです。

日本にはいい素材もいっぱいあります。海外の有名ブランドが買い付けているテキスタイル(生地)も多い。愛知県に尾州というウール産地がありますが、ここのウールは世界的に高品質で有名です。そこのあるメーカーの担当者が言いました。「我々から数千円で買った素材を、海外有名ブランドで商品化すれば価格は数十万円になる。しかし、日本の企業はブランディングが下手だから、同じ生地でつくっても安くしか売れない。価格は海外ブランドの10分の1だ」と。

日本人も、そろそろイタリア人のような"楽しむ気持ち"を持たなければいけない時代に来ています。例えば、イタリア人の友人と新商品や市場の話をしていても、「今、この商品(デザイン)が売れているね」という言葉は出てきません。彼らが発するのは、すべて「これいいよね」「これ売りたいね」であり、誇りを持って「これを皆に着せればハッピーになると思うから、売りたいんだ」という発想です。

一方、日本では「これが売れているから」になります。昨年これが売れたから、今年もこれなら安全だという消極的な姿勢です。だから日本でつくった商品はみんな一緒になるんです。しかし、時代はそろそろ変わっています。日本にも、本当の意味でセンスの時代、オリジナリティの時代が到来しています。


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