記事・レポート
イノベーターとしての人間・松下幸之助
~喧々諤々、「神様」ではない真の姿を追う~
『松下幸之助~きみならできる、必ずできる』
更新日 : 2018年12月19日
(水)
後編:『松下幸之助~きみならできる、必ずできる』
経営者としての葛藤

米倉:従業員のモチベーションを巧みにコントロールしていた幸之助も、必ずしも常に人心を掌握できていたわけではありません。有名な熱海会談では、ナショナルショップのオーナー達が反乱を起こしました。原因は2つ。ひとつは、俺たち全国のショップがナショナルブランドを現場で育ててやったのに、長者番付1位になって随分遠いところに行ってしまったじゃないか、という情の問題です。もうひとつは各店舗とやり取りをする営業販売部が、横柄な態度で機械的に大量に在庫を流すという組織的な問題でした。この出来事を通して、幸之助は取扱代理店と自分との間に「情」の問題があると悟り、以後徹底的に頭を下げました。また当時会長だったのに、営業取締役本部長に自ら返り咲いて組織改革にも乗り出しました。

自分や仲間に余裕をもって接する

松本:関西だけかもしれませんが、家康や信長よりも秀吉が支持されていますよね。幸之助はなんとなく秀吉と近い雰囲気がありますよね。赤貧からあれだけ成功したということに対する憧れとリスペクト、皆を豊かにしてくれたことに対する感謝が「神様」という言葉に集約されています。

米倉:「任せて任せず」という名言もありますね。貧乏で学歴もなく、身体も弱い彼のところには、普通の会社だと勤まらないような人たちばかりが来て、従業員として大手を振ってやっていたんです。幸之助は彼らに対してもシンパシーを持って「君ならできる、必ずできる」と言った。社長にこう言われて燃え上がらなかった若者はいなかったでしょう。この名言が松下電器、パナソニックを大きく動かす力になったに違いありません。
<関連書籍>
松下幸之助 きみならできる、必ずできる
米倉誠一郎ミネルヴァ書房
イノベーターとしての人間・松下幸之助 インデックス
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前編:~喧々諤々、「神様」ではない真の姿を追う~
2018年12月19日 (水)
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後編:『松下幸之助~きみならできる、必ずできる』
2018年12月19日 (水)
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