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気になる本たち

好きな本がみつかる、ブックトークより

カフェブレイクブックトーク
更新日 : 2014年10月14日 (火)

第10章 奇なるモノへの深い想い(2)


 『ベストセラーの世界史』(F・ルヴィロワ/太田出版)は、『ドン・キホーテ』から『ダ・ヴィンチ・コード』や『ミレニアム』まで、読者を熱狂させた本を取り上げて、それらに共通する法則を導き出そうなどと、これまで正面から論じられる機会の少なかった社会現象を取り上げていく意欲的な著作です。またたとえば『神曲』の書き出しはどんな文章だったかを即習することができる『書き出し「世界文学全集」』(柴田元幸/河出書房新社)なども、正統な文学書ではありません。ただ、「天は人の上に人をつくらず…」などのように、古典名作の冒頭の文章を普段の会話にちょいと挿入することができれば、話の展開に弾みがつくでしょうね。



 余程のツウでないと飛びつかない珍本は、国内の流通本に限って調べてみると、毎年50〜60点ほど出版されています。この章で取り上げた本は、そのカテゴリーの〈際物(キワモノ)〉ですが、正真正銘のキュリオッサは図書館ではあまり触手をのばさないので、そこではあまり手に入りません。しかし古本屋の書棚にはそういったモノが結構あって、そんな本を見つけたときには偉く感じ入ってしまうことがあります。『古本屋ツアー・イン・ジャパン』(小山力也/原書房)は基本的にはガイドブックなので、珍しいものではありませんが、著者の言うところによれば、全国古書籍商組合加盟900店の中の多くを取材し、それらの中から異様で奇抜な店、店主が独特すぎる店などの個性派古書店への訪問記です。そういう店の書棚には、「一体こんな本を誰が買うのか」と疑問を呈せざるを得ないキュリオッサがさり気なく並べられているものです。


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