記事・レポート
東日本大震災で分かったソーシャルメディアのパワー!
既存メディアはどう変わる?~林信行×DJ TARO~
更新日 : 2011年09月27日
(火)
第1章 東日本大震災を機に、マスメディアとソーシャルメディアが急接近
ツイッターやUSTREAMなどで草の根的に被災状況が伝えられた東日本大震災。しかしそこには有益な情報もあればデマもありました。玉石混淆のソーシャルメディアに私たちはどう向き合い、どう活用すればいいのか。既存メディアはどう変わるのか。ITジャーナリストの林信行氏とラジオパーソナリティのDJ TARO氏が語ります。
スピーカー:林信行(フリーITジャーナリスト/コンサルタント) DJ TARO(ラジオパーソナリティ)

林信行: 3.11以降、全てが変わった、あるいは変わらざるを得なくなったと思います。きょうのセッションでは我々の生活とテクノロジーの関わりをテーマに、生活と社会とメディアの関係と、ソーシャルメディアが3.11以降どう変わってきたのかについてお話しします。
地震のとき、僕は渋谷のパルコにいました。どうすれば帰れるか気になったので、駅に向かいながらツイッターを見ていました。スマートフォンではGPSの位置情報付きツイートを地図上に表示できるので、どこら辺でどういうツイートがされているのかが分かるんです。「電車が止まっているから歩いて帰る」といった内容を見かけたり、周辺の駅がどんな状況かもつぶやきを見て知ることができました。
地震のとき携帯電話はつながらなかったのに、どうしてツイッターは見られたんだろうと不思議に思う方がいるかもしれませんが、WiMAXやイーモバイルのポータブルWi-Fiは使えたんです。これらならツイッター、メール、テレビ電話、スカイプ、フェイスブック、SNSなども使えました。これらを電話の代替手段として使えば、相手と連絡を取ることもできました。震災後、様々なメディアから取材を受けましたが、どれも災害の中でソーシャルメディアが活発に使われたことを記事にしていました。
実は今回の災害では、マスメディアにおいてもソーシャルメディアが使われました。例えばNHKや一部のラジオはUSTREAMで見聞きできましたし、「radiko(ラジコ)」(http://radiko.jp/)というインターネットで聴けるラジオは、普段は自分が住んでいる地域の放送局しか聴けないように制限がかけられていますが、地震直後はその制限が解除されていたので、全国どこからでも聴くことができました。
これはすごいことなんです。例えば普段NHKがインターネットで放送しようとすると、他局から「放送法と通信法の規定に違反している」といったクレームがきがちです。今回は一部の局員が「何かあったら私が責任を取る」と言って英断したそうです。
このように今回は、地震を機に普段の法律の壁が一気に取っ払われて、マスメディアとソーシャルメディアが接近するという現象が起きましたね。
DJ TARO: そうですね。僕は今回改めて、ラジオとソーシャルメディアの親和性は高いと感じました。
元々ラジオは、2way(双方向)でした。昔であれば葉書ですね。リスナーが葉書を書いて送ると、翌週の番組で紹介される……まあ、これはリアルタイムではありませんが。僕がJ-WAVEで初めて担当した番組は、ホームページが毎日更新されるという、1998年の当時としては革新的な番組でした。その後、別の番組に移ると、今度はブログが導入されました。どうもJ-WAVEは何か新しいことを始めるとき、僕を送り込むことにしているらしい(笑)。
その番組で、今から2年くらい前にツイッターを取り入れました。どうしてかというと、皆さんからメールでメッセージを送っていただいても、番組で紹介するまでにはどうしても時間がかかるし、紹介できる数も限られてしまうからです。少しでも早く皆さんの考えていること、皆さんが伝えたいと思っていることを知りたい、目で見たい。ならばツイッターだということで。
今ではJ-WAVEのどの番組にもツイッターアカウントがあり、ナビゲーターもアカウントを持っています。ハッシュタグを付けて共通のテーマに対するメッセージを見るのも当たり前になってきました。また「radiko」のアプリを使えばスマートフォンでラジオを聴きながらツイートできるようになり、これまでラジオを聴いたことがないような若い方にも聴いていただけるようになりました。ツイッターがラジオを聴くコミュニケーションスタイルの1つになってきたんです。そうした中で今回の地震が起きて、また大きく変わったと思います。
今回、ツイッターでみなさんがリツイートしていたように、僕は番組でリトークしていました。ツイッターから得られた有益な情報の中から裏取りできたものをラジオでお伝えしたんです。ラジオがオフィシャルで発表する情報ももちろんありますが、やはり災害時に必要なのは各エリアの詳細な、それこそリアルタイムの情報ですよね。それを伝えようと。これには「radiko」のエリア規制が解除され、全国どこにいても私たちの放送を聴ける状況だったことが大きかったと思います。
林信行: 日本で規制緩和するとなると、普段は相当大変ですが、今回の「radiko」の動きは早かったですよね。ツイッターの影響があったんじゃないかという気がします。
DJ TARO: やはり皆さんのツイートがタイムラインで並んだことで、然るべき方々の目に留まって、本来の関所みたいなものを飛び越えて素早く形になっていったんでしょうね。今までの日本にはそういうスピード感があまり感じられなかったので、今回のインパクトは大きかったと思います。
地震のとき、僕は渋谷のパルコにいました。どうすれば帰れるか気になったので、駅に向かいながらツイッターを見ていました。スマートフォンではGPSの位置情報付きツイートを地図上に表示できるので、どこら辺でどういうツイートがされているのかが分かるんです。「電車が止まっているから歩いて帰る」といった内容を見かけたり、周辺の駅がどんな状況かもつぶやきを見て知ることができました。
地震のとき携帯電話はつながらなかったのに、どうしてツイッターは見られたんだろうと不思議に思う方がいるかもしれませんが、WiMAXやイーモバイルのポータブルWi-Fiは使えたんです。これらならツイッター、メール、テレビ電話、スカイプ、フェイスブック、SNSなども使えました。これらを電話の代替手段として使えば、相手と連絡を取ることもできました。震災後、様々なメディアから取材を受けましたが、どれも災害の中でソーシャルメディアが活発に使われたことを記事にしていました。
実は今回の災害では、マスメディアにおいてもソーシャルメディアが使われました。例えばNHKや一部のラジオはUSTREAMで見聞きできましたし、「radiko(ラジコ)」(http://radiko.jp/)というインターネットで聴けるラジオは、普段は自分が住んでいる地域の放送局しか聴けないように制限がかけられていますが、地震直後はその制限が解除されていたので、全国どこからでも聴くことができました。
これはすごいことなんです。例えば普段NHKがインターネットで放送しようとすると、他局から「放送法と通信法の規定に違反している」といったクレームがきがちです。今回は一部の局員が「何かあったら私が責任を取る」と言って英断したそうです。
このように今回は、地震を機に普段の法律の壁が一気に取っ払われて、マスメディアとソーシャルメディアが接近するという現象が起きましたね。
DJ TARO: そうですね。僕は今回改めて、ラジオとソーシャルメディアの親和性は高いと感じました。
元々ラジオは、2way(双方向)でした。昔であれば葉書ですね。リスナーが葉書を書いて送ると、翌週の番組で紹介される……まあ、これはリアルタイムではありませんが。僕がJ-WAVEで初めて担当した番組は、ホームページが毎日更新されるという、1998年の当時としては革新的な番組でした。その後、別の番組に移ると、今度はブログが導入されました。どうもJ-WAVEは何か新しいことを始めるとき、僕を送り込むことにしているらしい(笑)。
その番組で、今から2年くらい前にツイッターを取り入れました。どうしてかというと、皆さんからメールでメッセージを送っていただいても、番組で紹介するまでにはどうしても時間がかかるし、紹介できる数も限られてしまうからです。少しでも早く皆さんの考えていること、皆さんが伝えたいと思っていることを知りたい、目で見たい。ならばツイッターだということで。
今ではJ-WAVEのどの番組にもツイッターアカウントがあり、ナビゲーターもアカウントを持っています。ハッシュタグを付けて共通のテーマに対するメッセージを見るのも当たり前になってきました。また「radiko」のアプリを使えばスマートフォンでラジオを聴きながらツイートできるようになり、これまでラジオを聴いたことがないような若い方にも聴いていただけるようになりました。ツイッターがラジオを聴くコミュニケーションスタイルの1つになってきたんです。そうした中で今回の地震が起きて、また大きく変わったと思います。
今回、ツイッターでみなさんがリツイートしていたように、僕は番組でリトークしていました。ツイッターから得られた有益な情報の中から裏取りできたものをラジオでお伝えしたんです。ラジオがオフィシャルで発表する情報ももちろんありますが、やはり災害時に必要なのは各エリアの詳細な、それこそリアルタイムの情報ですよね。それを伝えようと。これには「radiko」のエリア規制が解除され、全国どこにいても私たちの放送を聴ける状況だったことが大きかったと思います。
林信行: 日本で規制緩和するとなると、普段は相当大変ですが、今回の「radiko」の動きは早かったですよね。ツイッターの影響があったんじゃないかという気がします。
DJ TARO: やはり皆さんのツイートがタイムラインで並んだことで、然るべき方々の目に留まって、本来の関所みたいなものを飛び越えて素早く形になっていったんでしょうね。今までの日本にはそういうスピード感があまり感じられなかったので、今回のインパクトは大きかったと思います。
関連書籍
気軽にはじめるUSTREAM「自分」発信術
DJ TAROサンマーク出版
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