記事・レポート

料理を「花嫁修行」から「趣味」へと変えた ABC Cooking Studio

~創立者が見つけた「食を学ぶ」本当の楽しさとは~

BIZセミナーマーケティング・PR経営戦略キャリア・人
更新日 : 2011年04月08日 (金)

第7章 創立当初から積極的に女性を採用して、企業成長を遂げた

田中洋氏(左)志村なるみ(右)

田中洋: では次に、成功の秘訣2つ目。1つ目のお話にも出てきましたが、「外部の資源」をうまく利用されたということ。1985年というと、ちょうど男女雇用機会均等法が成立した年です。当時はまだまだ優秀な女性が活躍する場の少ない時代でしたが、そんなときに女性の資源をうまく活用することができたことは大きいのではないでしょうか。さらに、『ケイコとマナブ』の力が強かった時期にそのパワーを利用できたこと、ショッピングセンターが日本のあちこちにできたタイミングに乗れたことなど、自分の力はもちろんですが、うまくほかにある力を利用できたこと。こういうことが大事なのだなと、私はすごく感じたのですが。

志村なるみ: おっしゃる通りです。藤枝市でスタートしたころは、ベンチャー企業という言葉もまだ存在しない時代でした。そのような時代に優秀な大卒の男性が面接に来るはずがありません。ところが地方には男性社会に軋轢を感じていて、やりがいを求めている女性が実に多かったのです。こうした優れた女性たちに囲まれて仕事をできたのが特徴です。

本当に、女性はいいですよ。確かに男性より体力は劣るかもしれませんが、決断力や潔さに優れた人材がとても多く、まじめによく働いてくれます。こうした働く女性の優秀さを知り、創立当初から積極的に女性を採用してきました。企画、人事、事業戦略などの表舞台はもちろん、権限・責任を持たせている女性部長もたくさんいます。ほとんどが女性というこのような組織で、日本最大級と呼ばれる教室が作れるというのが実績です。おかげで、25年で最大手と言われるまでに成長しました。

付け加えると、最初に地方で出店を重ね、最後にまとめて都内に進出したという経緯も幸いしたのかもしれません。地方の女性は元気で強さがあるし、流動性が少ないために定着率がよく、強い組織が作れたと感じています。

Clip to Evernote


該当講座

料理を「花嫁修行」から「趣味」へと変えた ABC Cooking Studio

~創業者が見つけた「食を学ぶ」本当の楽しさとは~

料理を「花嫁修行」から「趣味」へと変えた ABC Cooking Studio
志村なるみ (株式会社ABC Holdings 取締役/株式会社ABC Cooking Studio 創立者)
田中洋 (中央大学大学院ビジネススクール 教授 )

志村 なるみ(㈱ABC Holdings 取締役)
田中 洋(中央大学大学院ビジネススクール教授)
成熟市場において新たな価値を提案することでブランディングの成功を果たした企業からゲスト講師をお迎えする2回シリーズ。第1回目の本講座では、ポップなカラーに全面ガラス張りのスタジオに象徴されるABC Cooking Stduio の創立者、志村なるみ氏をお招きします。既にある市場の中で新たな女性向けのビジネスを拡大してきたプロセスについて伺うことで、成熟した市場においてブランドを構築する思考法について学びます。


BIZセミナー マーケティング・PR 経営戦略 キャリア・人