記事・レポート

世界経済を支える東アジア経済圏の成長

上海・東京グローバル・コンファレンス

注目のオピニオン
更新日 : 2010年06月24日 (木)

第6章 東京と上海の間でスムーズに行き来できる環境を整えよ

大西隆氏

academyhillsをフォローする 無料メルマガ登録をする

竹中平蔵: 日本が発展したのは「変化したからだ」と、みんな言います。また「中国の変化の速度がすごい」とも言います。一方でアメリカからは「中国も日本も輸出依存で、内需に依存していない。アジアは変化がない」という批判もあります。

そこで、「変化」をキーワードにして、東京、上海のことを知り尽くした皆さんに、都市の問題、ないしは都市生活の問題の変われる力・変われないもどかしさ、そういう問題提起をしていただきたいと思います。

黒川清: 味千の話ですが、中国の女性経営者の年商はおそらく300~400億円です。彼女は「あと2年で倍にする」と言っています。この「やってやろう」が大事なのです。日本にはそういう人があまりいない。文句ばかり言っていないで、どんどんやればいいと思います。

大西隆: 上海市中心の人口は大体1,000万人ぐらいの規模で、東京ほど大きくありません。けれど先ほどお話した戸籍問題が解禁になれば、農村にいる人が都市圏にドッと流れてきます。大都市化時代がこれから中国に起こってくるわけです。

これからは都市を充実させるとか、人々の生活レベルを上げていくことに投資されるようになるでしょう。上海でも「内面をどう充実させていくか」という街づくりの時代がこれから始まると思います。もしかしたら、もう始まっているかもしれません。

現在では、情報は瞬時に世界中に広まるので、皆、同時に同じことが必要だと気がついて、それをどう消化するかという時代になっています。環境に優しい街をどうつくっていくのかなど、街づくりに関しても同様だと思います。

周牧之: 上海と東京を考えるとき、まず認識しなければいけないのは、これまで東京と上海の大都市圏が、お互いの国を背負っているということです。要するに、国の成長センターです。これから東京の皆さんは上海を視野に入れてビジネスをする、上海の皆さんも東京を見据えてビジネスをする、そうすることで全く違う世界を描けるのです。上海と東京はアジアの成長センターに変貌していくでしょう。

ただし、そのためには東京と上海の間でスムーズに行き来できる環境を整えなければなりません。羽田と虹橋という2つの国内空港を東京—上海間の国際線で利用することによって、上海と東京との間のビジネス環境は一挙に改善されました。これは大いに評価できます。

ただ、中国から来た人が羽田や成田のイミグレーションで指紋をとられるのは、時代に逆行しています。人や物のスムーズな往来を準国内的にできるように、制度を変えていくことが必要です。

記事をシェアする

Twitterでつぶやく

Twitterでつぶやく

記事のタイトルとURLが表示されます。
(Twitterへのログインが必要です)


メールで教える

メールで教える

メールソフトが起動し、件名にタイトル、本文にURLが表示されます。



ブログを書く

ブログに書く

この記事のURLはこちら。
http://www.academyhills.com/note/opinion/10051206ST_GlobalConference.html