記事・レポート

新書本—軽装な冊子が森羅万象を映す

ブームの理由から“おすすめの新書本”をすすめる新書本まで

更新日 : 2010年02月24日 (水)

第1章 新書ブーム

本のベストセラーランキングで新書本を見かけることが多くなったと思いませんか?普通の本(単行本)がたくさんあるのに、なぜ今、新書本なのでしょうか。入れ替わりの激しい単行本とは違い、長い間書店に置かれる新書本は、私たちにとって身近な存在です。今回は新書本について、詳しくご紹介します。

講師:澁川 雅俊(アカデミーヒルズフェロー/前慶應義塾大学環境情報学部教授)

六本木ライブラリー カフェブレイクブックトーク 紹介書籍

academyhillsをフォローする 無料メルマガ登録をする

●はじめに

澁川雅俊: いま新書本が好調だと言われています。秋の読書世論調査(『読書世論調査2009年』毎日新聞社)で、一般の読書に新書本がどの程度受け入れられているかを調べています。それによると、「新書本を読む」と答えたのは68%です。新書本読書については03年にも調べられていますが、それと比べて20ポイントも増えています。もっとも、新書本も含めて「本をよく読む」(年1冊以上)という日本人は100人中58人なので、その中で新書本をよく読むのは40人となります。

事実また、新書本がいまよく売れているようです。出版科学研究所調査の7、8月の総合書籍のトップテンに、『差別と日本人』(野中広務・辛淑玉、角川oneテーマ21)、『しがみつかない生き方』(香山リカ、幻冬舎新書)、『日本を貶めた10人の売国政治家』(小林よしのり編、幻冬舎新書)、『悩む力』(姜尚中 、集英社新書)の4点がランクインしています。

●新書本のいま

【どんな〈新書〉シリーズが……】

ところでいま、わが国でどのような新書シリーズがあるのでしょうか。ちょっと調べてみると33社から45のシリーズが出されていました。すなわち、

「朝日新書」(朝日新聞出版)/
「アスキー新書」(角川グループパブリッシング<アスキー・メディアワークス>)
/「岩波新書」・「岩波アクティブ新書」・「岩波ジュニア新書」(岩波書店)
/「生活人新書」(日本放送出版協会)/
「角川oneテーマ21」(角川書店)
「角川SSC新書」(角川・エス・エス・コミュニケーションズ)
/「学研新書」(学習研究社)/
「KAWADE夢新書」(河出書房新社)/
「幻冬舎新書」「経営者新書」(幻冬舎)/
「講談社現代新書」・「講談社プラスアルファ新書」・「ブルーバックス」・「アフタヌーン新書」(講談社)/
「光文社新書」(光文社)/
「集英社新書」(集英社)/
「小学館101新書」(小学館)/
「新潮新書」(新潮社)/
「青春新書」(青春出版社)/
「ソフトバンク新書」・「サイエンス・アイ新書」(ソフトバンクリエイティブ)/
「ディスカヴァー携書」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)/
「祥伝社新書」(祥伝社)/
「宝島社新書」(宝島社)/
「ちくま新書」・「ちくまプリマー新書」(筑摩書房)/
「中公新書」・「中公新書ラクレ」(中央公論新社)/
「日経文庫」・「日経プレミアシリーズ」(日本経済新聞出版社)
/「日文新書」(日本文芸社)/
「文庫クセジュ」(白水社)/
「ハヤカワ新書juice」(早川書房)/
「PHP新書」・「PHPビジネス新書」・「PHPサイエンス・ワールド新書」(PHP研究所)
/「扶桑社新書」(扶桑社)/
「文春新書」(文藝春秋)/
「平凡社新書」(平凡社)/
「ベスト新書」(ベストセラーズ)/
「マイコミ新書」(毎日コミュニケーションズ)/
「丸善ライブラリー」(丸善)/
「新書y」(洋泉社)です。

この瞬間にも新しいシリーズが創刊されているかもしれませんね。なおこれらのほかに、「カドカワノベルズ」、「講談社ノベルズ」、「カッパ・ノベルズ(光文社エンタテインメント)」、「ノン・ノベル」、「トクマ・ノベルズ」などなど新書判のエンターテインメント小説のシリーズも出されていますが、今回のブックトークでは扱いませんでした。

それらのシリーズ合計で、毎年およそ1,300点が出版されています。それは商業出版物発行総点数の1.6%のシェアであり、またこれまでに刊行された総点数を数えると19,000点に及ぼうとしています。

【70年前からわが国に新書本があった】

新書本はわが国にいつ頃からあったのでしょうか。創刊年を見ると、岩波新書が最も古く、1938年に刊行を開始しました。

岩波新書創刊以降、わが国の出版事情は太平洋戦争によって低迷します。しかし戦争が終わるとまた以前の隆盛を取り戻し、単行本や雑誌の出版はもとより、いくつかの新しい新書シリーズが、陸続と創刊されます。

例えば角川書店、河出書房、誠文堂新光社、白水社、朝日新聞社、四季社、三笠書房などなどですが、出版ビジネスの栄枯盛衰によって多くのものが刊行を停止し、その中で現在
も継続して刊行されているのは岩波新書と白水社の「文庫クセジュ」(1951年刊行)だけです。創刊を年代順に調べてみると、2000~09年が最も多く、29シリーズを数えます。

記事をシェアする

Twitterでつぶやく

Twitterでつぶやく

記事のタイトルとURLが表示されます。
(Twitterへのログインが必要です)


メールで教える

メールで教える

メールソフトが起動し、件名にタイトル、本文にURLが表示されます。



ブログを書く

ブログに書く

この記事のURLはこちら。
http://www.academyhills.com/note/opinion/10022401NewBook.html


新書本—軽装な冊子が森羅万象を映す インデックス


アカデミーヒルズのFacebook
アカデミーヒルズのTwitter

おすすめ講座

おすすめ記事