記事・レポート

環境とビジネスは両立するか?

~答えはYes。具体策を提示します~

更新日 : 2009年12月25日 (金)

第5章 NPOが環境ビジネスで成功する時代

三橋規宏氏

三橋規宏: 先日、長野県のNPOがつくった「おひさま進歩エネルギー株式会社」を取材しました。この会社は、2004年から2008年にかけて南信州地域の約150カ所に太陽光パネルを設置し、1,281kwの太陽光発電システムをつくりあげました。

ビジネスとして環境エネルギー事業を行うという趣旨に賛同してくれる市民から出資を募ったところ、なんと4億円が集まったそうです。それに国からの補助金、7億5,000万円を合わせて、合計11億5,000万円の資金で活動しています。

事業の1つに「南信州おひさまファンド」(※編注:市民からの出資を受けて公益的な環境事業を運営し、その収益を地域や出資者に還元するしくみ<同社サイトより引用>)があるのですが、2005年2月~同年5月までの期間で、1口10万円コースでは1億5,000万円が、1口50万円では5,150万円が集まったそうです。

そして2007年の6月に第1回の分配金の配当をしました。出資者476人に対して合計2,333万円を配分したそうです。寄付ではなく、ビジネスとして地域のNPOが成功する時代になってきているのです。

結論として、これからの日本は適正に設計された環境規制(新しい制度設計)の導入をテコにして、新エネルギー、省エネルギーなどの環境技術分野、さらに農林漁業部門でブレークスルーを伴う技術革新の波を引き起こし、外需依存型の経済から内需依存型の経済に転換していかなければ、この不況から立ち直ることはできません。

100年に1度といわれる大不況を、日本は世界の先頭に立って乗り切っていくべきで、そのためには環境ビジネスをできるだけ短期間に立ち上げていかなくてはいけないということです。

技術革新の分野では、太陽光発電や電気自動車という分野が経済を引っ張っていくバネになるだろうと思います。

関連書籍

よい環境規制は企業を強くする —ポーター教授の仮説を検証する—

三橋規宏
海象社


該当講座

環境とビジネスは両立するか
三橋規宏 (千葉商科大学政策情報学部教授/環境・経済ジャーナリスト)
竹中平蔵 (アカデミーヒルズ理事長/慶應義塾大学名誉教授)

三橋 規宏(環境・経済ジャーナリスト)×竹中 平蔵(アカデミーヒルズ理事長)
従来は相反すると考えられてきた「環境と経済」をどのようにすれば両立させられるのか、三橋氏と竹中理事長にお話いただきます。


BIZセミナー 環境