記事・レポート

カフェブレイク・ブックトーク「心に沁みることばの数々」

~決意を促す言葉、気が利く言葉~

更新日 : 2009年10月21日 (水)

第1章 心に沁みることばの数々

例えば「過ぎたるは猶(なお)及ばざるが如し」——私たちが日常的に使うことばの中に、ものごとの真理をとらえた名言があります。今、それらを集めた名言集が多数出版されています。なぜ人は名言を必要とするのか? ビジネスや、生き方の名言集にはどんなものがあるのか? ライブラリー・フェローの澁川雅俊たっぷりとご紹介します。

六本木ライブラリー カフェブレイクブックトーク 紹介書籍

澁川雅俊: 私たちの言語生活の中に、例えば「過ぎたるは猶(なお)及ばざるが如し」などのように、ものごとの真実や生き方の機微・真髄を、簡潔で覚えやすく、また言い易い熟語や成句、あるいは短い文章などにしたものがたくさんあります。それらは、ときに私たちを感動させ、あるときは反発させたりして、その真意が心に沁みたり、響きわたることがあります。

一般にそういうことばを「名言」などと言いますが、同じような意味の語彙を『類語大辞典』(講談社)で調べてみると、名言、金言、至言、格言、ことわざ、名句、故事成句、箴言、警句、寸言、寸鉄、処世訓などがそれにあたります。厳密には同義語のものと類語にあたるものがあります。またそれらのことばについて、『ことわざ-慣用句・故事成語・四字熟語』(ポプラ社)では内容的に、
①ものごとの真実を伝えようとする内容のことば
②生きる知恵や生き方を伝えるもの
③教訓を与えるもの
④政治などを含め人の世を批判や風刺
などと分類しています。

いずれにせよそれらのことばは、森羅万象の理を言語的魔術や言語的匠のワザを駆使して端的に表現された熟語・成句・短文で、それらを聞く時・場所・場合次第で、人びとの心に深く沁みたり、響いたりします。なお意味を同じくする語彙がたくさんありますが、以下では特にその違いを強調しないかぎり、「名言」と表記します。


●なぜ名言集が多くの人びとから求められるのか?

そうしたことばには何々があるとか、それぞれどういう意味かなどを扱った本はいま私たちの身の回りにたくさんあります。日本語のものだけをちょっと調べてみただけでも数千の単位で流通しています。今回のブックトークではライブラリーに架蔵されていてここ1~2年の間(編注:本講座は2009年4月開催)に出版されたものを集めてみましたが、まず最初にこの種の本がなぜこのように多いのか、好奇心をくすぐられました。まさかTVのクイズ番組の影響を受けた『ことわざ・慣用句クイズ-国語力アップめざせ!日本語クイズマスター』(金の星社)がその理由とは思えません。少し考えをめぐらせてみると、実質的な理由と実利的な理由がすぐに頭に浮かんできます。

概して私たちはことにあたってものごとの本質をなかなかつかまえることができないところがあります。ですから問題に直面して何をなすべきかすぐにはわからない。いろいろと考えてみて何をなすべきかを思いついたとしても、それが適切な選択肢かどうか確信できない。したがって、なす・なさないの決心がなかなかできない。そんなとき拠り所となるものの見方や考え方、的確なアドバイスや行動指針があればと希求するものです。だからではなかろうかというのがひとつです。

もうひとつ思いついたのはこうです。私たちは、手紙を書くときや様々な会合や人との出会いの場、例えば入社、異動、転勤、定年退職あるいは入学、進学、卒業など人びとの新しい生活の門出となる機会や結婚式をはじめとする様々な祝い事などで、気の利いた挨拶ができたらと願っています。気の利いた挨拶というのは、適宜に適切なことばで簡潔に表現することなのですが、いざというときにそういうことばが思い浮かばない。この種の本は、存外そのようなときのことば探しに役に立つものです。

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