六本木ヒルズライブラリー

みんなでブラブラ・街歩き。
大人の散歩イベント、その名もズバリ「ブラヒロシ!」六本木編・開催レポート

更新日 : 2018年11月20日 (火)


【ライブラリーイベント】開催レポート
【文・写真】城所  【開催日】2018年10月14日(日)



NHK総合の人気番組「ブラタモリ」は皆さんご存知でしょうか? この番組の影響で、今、空前の「地図と街歩き」「路上観察」のブームが訪れています。
今回、このブームに丸ごと乗っかってしまおう!と、ライブラリーでメンバーズコミュニティー「天空のマップ・カフェ」を主催する太田弘さん(慶應義塾普通部教員で地図マスター)を口説き落とし? その名もズバリ「ブラヒロシ~六本木編!~」と題して、六本木ヒルズ周辺の街歩きイベントを実施しました。

「ブラヒロシ」という、担当者からのネーミング提案に、恥ずかしさを隠し切れない太田さん。しかしそんなことは意に介さない担当者。企画はどんどん前に進みます。とうとう太田さんも腹をくくり、千葉スリバチ学会会長の稲垣憲太郎さんをサポーターに迎え、「タモリ」ならぬ「ヒロシ」に徹することに。まるで「ブラタモリ~実体験版~」のようなイベントとなった「ブラヒロシ~六本木編~」。
今回はその様子をレポートいたします。


【まずは本日のお題発表!】

「ブラヒロシ」のスタートは六本木ヒルズ49階アカデミーヒルズの会議室です。
参加者であるライブラリーメンバーには、太田さんから3枚の資料が配られます。
① 本日のタイムスケジュール
② お散歩地図
③ 六本木麻布スリバチ地形図
 
 
このスリバチ地形図、高度が色分けされており、六本木周辺から麻布十番に向けて、いかに高低差の激しい土地であるかがよく分かります。太田さんからは、土地の歴史や、観察のポイント、いくつかの窪地について順次説明がなされます。
「六本木ヒルズ周辺は昔、金魚の養殖が盛んで、養殖池が複数ありました。」
「元麻布に「がま池」という池があることはご存知ですか?」
「毛利庭園は、マッサンで有名なニッカウヰスキーの東京工場跡地です。」

出だしから「えっ」と思うような事実が披露されます。そして、「金魚」「池」「ウイスキー」の3つに共通するものはなんでしょう? それが本日のお題です。お題を解く鍵は地形にあります。ではその地形の謎に迫っていきましょう。

いざ、「ブラヒロシ」スタートです!






【六本木ヒルズ けやき坂を横切り元麻布方面へ】

六本木ヒルズを出発したメンバーは元麻布方面へと向かいます。クリスマスの時期はイルミネーションで恋人たちの聖地となるけやき坂、ブリッジ上から東京タワーを望みます。土地が、東京タワーにむかいゆるく勾配しているのがわかります。
けやき坂の脇には「さくら坂」が通っています。六本木ヒルズができたころは小さく華奢であったさくら坂の桜も、15年がたち、ずいぶんと立派になりました。このさくら坂は昔、「玄碩坂(げんせきざか)」と言われていました。
レジデンスを抜けると、閑静な住宅街がつづきます。脇道にも風情がありますよね。少しの距離を歩いただけでも土地の起伏や土地が持つ雰囲気の変化を感じる事ができます。
 


【サンマリノ共和国大使館を経て、がま池へ】


元麻布には複数の大使館があります。サンマリノ共和国大使館もそのひとつ。サンマリノ共和国はイタリア半島の中東部に位置し、世界で5番目に小さく、また世界最古の共和国でもあります。
サンマリノ共和国の観光名所は下の写真のような絶壁に建つお城。遠く離れた日本にある大使館も絶壁とはいえませんが、高い崖地の淵に建っており、共通の趣を感じます。偶然でしょうか?
 


さらに歩くと、宮村児童公園。港区が国有地の無償貸付を受けて運営している公園です。公園の側壁からは、わずかにですが湧水が小さな水路を伝い流れ出ています。
そこから見る六本木ヒルズは、突如現れた未来都市のようにも見えます。




そしてさらに進むといよいよ「がま池」の登場です。
今は小さく埋め立てられ、マンション私有地内に収まっているためアプローチができない「がま池」ですが、かつては500坪(1650平方メートル)の広さがあったと言い伝えられています。
そんな「がま池」には大火にまつわるエピソードが残されています。江戸時代、文政4年の大火で周囲がすべて焼け落ちる中、がま池を所有する山崎家の屋敷だけが類焼を逃れました。それは、がま池の大カエルが水を吹いて火を消したためだといわれ、その御札を求める人が山崎家に多数押し寄せました。がま池とカエル御守のお話は今に伝わり、現在は十番稲荷神社にて祀られています。
 


*ところで、ブラヒロシが開催された10月はちょうどハロウィンの季節。一部のお宅では思わず恐怖で仰け反ってしまうほどの本格的な装飾がなされ、通行人の目を奪います。ハロウィンの仮装は悪霊を追い払うためのもの。これでは悪霊もたまりません…。いや、むしろ、悪霊が「マイホーム!」と寄り付いてしまわないか心配です。





【元麻布を通過し、麻布十番へ】

てくてく街歩きは続きます。がま池から、住宅地を抜け、西町インターナショナルスクールに到着しました。西町インターナショナルスクールは1949年に設立された私立学校。建物の一部は松方正義(第4・6代総理大臣)の九男・松方正熊の邸宅を基とし、東京都選定歴史的建造物にも指定されています。
さらに坂を下りるとそこは麻布十番。麻布十番商店街の中には数々の名所がありますが、その中でもツウ好みの名所をご存知ですか? それは「ハウフルス」。「ブラタモリ」や「アド街ック天国」など人気番組を手掛ける制作会社の本社です。時々、ロケバスも停まっているそうですよ。今回の「ブラヒロシ」はハウフルスの制作ではありませんが、今後の事も考え、念のためメンバーで所在地をチェック!

麻布十番の賑やかな商店街を抜け、十番稲荷神社へ。ここは前述のがま池の「カエル」が祭られている神社です。かなりの急勾配ですが、頑張って境内に上がりお参りをします。無事に「カエル」事が出来ますように。。。
 
 
【最後は毛利庭園】

そして、十番稲荷神社からはテレビ朝日をぐるりとまわり、毛利庭園に出ます。ニッカウヰスキーの東京工場があった場所です。
戦後、庶民生活は徐々に豊かさを取り戻します。それに比例するように2級ウイスキーの需要もどんどん高まりました。巨大消費地である関東圏にボトリング工場の必要性を感じたニッカウ
スキーの竹鶴孝太郎氏は該当地を求めます。その際、父であるマッサンこと、竹鶴政孝氏から「関東というからには東京に建設しようではないか」という提案を受け、目をつけたのが今の毛利庭園です。
官庁の外郭団体が所有する広大な土地と豊かな湧水があったこの地が東京工場に選ばれました。工場が出来た1952年(昭和27年)は、なんと「じゅんさい」も生えていたそうですよ。六本木産のじゅんさい、今では想像ができませんよね。

こうして、あれやこれやを見て、驚いて、楽しんでいるうちに、約1時間半の「ブラヒロシ」は終了です。六本木ヒルズ49階からスタートし、閑静な住宅街を抜け、公園を横切り、インターナショナルスクールで可愛い犬に目を奪われ、商店街で寄り道をし、ガマ池伝説ゆかりの神社でお祈りをし、再びヒルズの49階に戻ってきました。それはまるで過去と未来を行ったり来たりする、タイムトリップ、不思議な時間空間の旅でもありました。
 
 
ブラヒロシに参加することで、この地に住む人々の過去の暮らし、土地がもたらす生活の傾向を知ることになりました。

高低差が生む豊かな湧水は住民生活と深く結びつき、大きな池が(その池に住む大カエルが)大火を回避しました。金魚屋さんが沢山の養殖池を営み、色とりどりの金魚を飼育していました。釣り堀もあったそうです。そして、敗戦から必死で立ち上がろうとする人々の頑張りを、六本木で瓶詰めされたウイスキーが後押ししました。

今、湧水はごく限られた場所でしか確認できませんが、注視しながら街を歩いてみると、その痕跡を複数発見することができます。そう、本日のお題の答えは「土地と湧水の繋がりを発見する!」でした。


ぶらり大人の街散歩イベント「ブラヒロシ~六本木編~」。いつも見慣れている街の歴史的一面を発見することで今の自分のルーツを知る、そんな思いがいたしました。