オピニオン・記事
雑誌出版を凌駕するブログ・メディアのパワー
~メディアジーンに聞く、日米ブログ・メディア最新事情~
BIZセミナーオンラインビジネス
更新日 : 2009年04月21日
(火)
第8章 CPAのいい広告媒体、という認知をどう広めていくか

今田素子: 『ギズモード・ジャパン』では失敗例というと、サーバーが落ちてしまったとか……。今はもう大丈夫ですが。
いままでは、PVが出ても広告が売れない現象が起きるケースはすごく多かったですね。というのは、やはりクライアントが欲しているターゲットに向けて、きちんと発信できるメディアかどうかというところがすごく重要になってくるんですよ。しかもユーザーにも受け入れられなければいけないという。
もちろんこれはブログ・メディアに限らず雑誌など、どれも同じなのですけれども、その2つをちゃんと見てこられなかったかなという反省点はすごくありますね。面白いからいっぱい人が来るだろうといってつくった。確かにいっぱい人は来るけれど、「これ、広告媒体としてどうなの?」というところ。
うちはもともと『サイゾー』という雑誌を出していたのですが、ものすごく読者の方に支えられている雑誌なんです。正直なところ広告はなかなか厳しいものがあったのですが、読者の方がお金を出してくれるから、「本当にいいものをつくって、読む人が多ければいい」という考えが絶対どこかにあったんだと思うのです。
読者からはお金をいただけないインターネット・メディアで成功させるノウハウをやっぱり分かっていなかったんだなと、すごく感じます。それがなかなか紙から抜けられなかった1つの要因だと思います。ウェブだからリクープしないのもしょうがないかと思って、ダラダラ続けていたとか、そういうことが『ギズモード・ジャパン』前には結構ありましたね。
神原弥奈子: 女性系のサイトをときどき見ているのですが、もっともっといい広告が入ってもいいのにと思うのです。コンテンツもみんな頑張っていますし。ブログなどを活用して、どんどん運営コストを下げる努力を皆さんされたと思うので、これからオンライン・メディアはクロス展開してクリティカルマスを超えていくのではないかと思います。
『ギズモード・ジャパン』の話と同じような感じでオンライン・メディアが伸びてくると、これから本気で既存の雑誌とクライアントの取り合いが始まるのではないかと思うのですが……来年、再来年(2009年、2010年)あたりにこうした状況になるのでしょうか?
いままでは、PVが出ても広告が売れない現象が起きるケースはすごく多かったですね。というのは、やはりクライアントが欲しているターゲットに向けて、きちんと発信できるメディアかどうかというところがすごく重要になってくるんですよ。しかもユーザーにも受け入れられなければいけないという。
もちろんこれはブログ・メディアに限らず雑誌など、どれも同じなのですけれども、その2つをちゃんと見てこられなかったかなという反省点はすごくありますね。面白いからいっぱい人が来るだろうといってつくった。確かにいっぱい人は来るけれど、「これ、広告媒体としてどうなの?」というところ。
うちはもともと『サイゾー』という雑誌を出していたのですが、ものすごく読者の方に支えられている雑誌なんです。正直なところ広告はなかなか厳しいものがあったのですが、読者の方がお金を出してくれるから、「本当にいいものをつくって、読む人が多ければいい」という考えが絶対どこかにあったんだと思うのです。
読者からはお金をいただけないインターネット・メディアで成功させるノウハウをやっぱり分かっていなかったんだなと、すごく感じます。それがなかなか紙から抜けられなかった1つの要因だと思います。ウェブだからリクープしないのもしょうがないかと思って、ダラダラ続けていたとか、そういうことが『ギズモード・ジャパン』前には結構ありましたね。
神原弥奈子: 女性系のサイトをときどき見ているのですが、もっともっといい広告が入ってもいいのにと思うのです。コンテンツもみんな頑張っていますし。ブログなどを活用して、どんどん運営コストを下げる努力を皆さんされたと思うので、これからオンライン・メディアはクロス展開してクリティカルマスを超えていくのではないかと思います。
『ギズモード・ジャパン』の話と同じような感じでオンライン・メディアが伸びてくると、これから本気で既存の雑誌とクライアントの取り合いが始まるのではないかと思うのですが……来年、再来年(2009年、2010年)あたりにこうした状況になるのでしょうか?

今田素子: そうですね。ただ、Yahoo!さん一人勝ちみたいなところが今まで何年かずっと続いてきて、ニッチというかターゲット・メディアはこれからだと思うのです。来年ぐらいには来てほしいですけれども。『MYLOHAS』という女性系のメディアを運営しているのですが、去年に比べて、3倍ぐらい広告の問い合わせが増えました。だから、皆さん興味はお持ちなんです。
ターゲット・メディアに出すと、結果的にはCPA(編注:Cost Per Acquisition=顧客獲得単価)はいいんですよ。でも例えばPVが少なかったりクリックが少なかったりということで、そこまでで止まってしまう。まあ、広告主にとっては「本当に出していいのかな?」というところがあると思うのです。だから「同じお金なら興味が薄い人たちよりも、濃い人たちに払った方が断然いいんだ」と気づいてもらえるところまで持っていくのが結構大変かなと。
ただ、ターゲット・メディアに合うクライアントさんと合わないクライアントさんがいます。合わないクライアントさんに、いくらお金を出していただいても「申し訳ありません」という感じになってしまいます。でも、合うお客様には本当に「いつでもまた、広告枠を空けておきます」と言いたくなるような感じで、本当に喜んでいただける。そういう差みたいなものはすごくあると思っています。
神原弥奈子: 日本のブログ・メディアは、まだこれからなんですね。私は『ギズモード・ジャパン』さんはブログ・メディアとして完成したかと思っていたのですが、まだまだ挑戦したいことはたくさんあるようですね。
ちょうど今年でインフォバーン設立から10年で、「9年間、紙の事業を捨てられなかった」というのは正直なところだと思います。リスクをとっていろいろな実験や試行錯誤をされてきたなかで、今の、例えばアルファブロガーさんとの信頼関係や、オンラインにおける『ギズモード・ジャパン』というブランドができたということですね。
5年後10年後に振り返ったとき、「やっぱりインフォバーンはすごい会社だったんだ」感じるのだろうと思いました。今、私たちが「ワイアード、すごかったよね」と思うような感覚で見るのではないかと思いました。今田さん、本日は本当に貴重なお話、どうもありがとうございました。(終)
ターゲット・メディアに出すと、結果的にはCPA(編注:Cost Per Acquisition=顧客獲得単価)はいいんですよ。でも例えばPVが少なかったりクリックが少なかったりということで、そこまでで止まってしまう。まあ、広告主にとっては「本当に出していいのかな?」というところがあると思うのです。だから「同じお金なら興味が薄い人たちよりも、濃い人たちに払った方が断然いいんだ」と気づいてもらえるところまで持っていくのが結構大変かなと。
ただ、ターゲット・メディアに合うクライアントさんと合わないクライアントさんがいます。合わないクライアントさんに、いくらお金を出していただいても「申し訳ありません」という感じになってしまいます。でも、合うお客様には本当に「いつでもまた、広告枠を空けておきます」と言いたくなるような感じで、本当に喜んでいただける。そういう差みたいなものはすごくあると思っています。
神原弥奈子: 日本のブログ・メディアは、まだこれからなんですね。私は『ギズモード・ジャパン』さんはブログ・メディアとして完成したかと思っていたのですが、まだまだ挑戦したいことはたくさんあるようですね。
ちょうど今年でインフォバーン設立から10年で、「9年間、紙の事業を捨てられなかった」というのは正直なところだと思います。リスクをとっていろいろな実験や試行錯誤をされてきたなかで、今の、例えばアルファブロガーさんとの信頼関係や、オンラインにおける『ギズモード・ジャパン』というブランドができたということですね。
5年後10年後に振り返ったとき、「やっぱりインフォバーンはすごい会社だったんだ」感じるのだろうと思いました。今、私たちが「ワイアード、すごかったよね」と思うような感覚で見るのではないかと思いました。今田さん、本日は本当に貴重なお話、どうもありがとうございました。(終)
雑誌出版を凌駕するブログ・メディアのパワー インデックス
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第1章 私はブロガーではありません
2009年01月28日 (水)
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第2章 ブロガー・ネットワークの真っ只中にいることを実感した
2009年02月17日 (火)
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第3章 まったく新しいメディアである、「ブログ・メディア」
2009年03月03日 (火)
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第4章 アメリカで、メインストリームとして認識されるブログ・メディア
2009年03月10日 (火)
-
第5章 ブログで成功するための5つの秘訣
2009年03月17日 (火)
-
第6章 紙を捨てるのに9年かかりました
2009年03月25日 (水)
-
第7章 PVが上がるポイントはどこにある?
2009年04月03日 (金)
-
第8章 CPAのいい広告媒体、という認知をどう広めていくか
2009年04月21日 (火)
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個人の運営する日記ブログから企業内のキーマンが発信する企業ブログまで、国内のブログ・コミュニケーションは多様化し、ページ総量も飛躍的に伸びています。一方、ブログ先進国であるアメリカでは、ブログがマスメディアとは違う特性をもった「ブログ・メディア」として広く認知され、既存の雑誌出版を上回るほどのオーデ....
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