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アイデアを形にする一点突破のプロフェッショナル in 日本元気塾

Toksy、prayforjapan.jpを生み出した次世代クリエイターに迫る

日本元気塾オンラインビジネスキャリア・人
更新日 : 2012年03月05日 (月)

第9章 若者のモデルケースを目指す

米倉誠一郎氏(左)鶴田浩之氏(中央)山下博巨氏(右)

米倉誠一郎: prayforjapanはある種モニュメンタルなものだから、そのときはいいんだけれど、これを回していくというのは全然別次元の話になるから、結構難しいですね。

鶴田浩之: そうですね。ただprayforjapanは最初からマネタイズは一切考えていませんでした。だからこそコストをかけないことがとても重要だったんです。prayforjapanは僕が全面的に表に出ていますが、コンテンツを提供してくれた方や、無償で翻訳してくれた方が本当にたくさんいます。支えてくれた人たちのストーリーは、まさにインターネット的で、関わり方が変わってきているというのを実感しました。

米倉誠一郎: 鶴田君のprayforjapanと、今から会社のLabitで始めることは全然違うものになるの?

鶴田浩之: 全く別ですね。prayforjapanは僕個人の活動です。支援の継続としては、今は日本語の本しか出ていませんが、間もなく販売される電子書籍は多言語に対応しているので、これを海外でも販売して、その印税も全額寄付しようと思っています。

米倉誠一郎:  鶴田君は若さを強調しているけれど、二十歳ぐらいの起業家ならいっぱいいるんじゃない? 株式会社ヤッパの伊藤正裕君は17歳、車いすの家本賢太郎君は15歳で起業してる。それに若さで売るというのは、鶴田君の言う「年齢も場所も学歴も、何も関係ない世界があるんだ」ということと合わないように感じるんだけど。

鶴田浩之: いや、そこは説明させてください。僕は九州の田舎から出てきたんですけど、実家に帰って同級生に会うと「どうせ自分にはできない」って、自分の可能性をあきらめてしまっている人がものすごく増えているんです。それが僕は悔しくて。

日本にはロールモデルがいないんですよ。だから僕は25歳くらいまでに、ほかの人に刺激を与えられるようなモデルケースになることが使命だと思ってやっています。僕自身も少し上の人たちから刺激を受けて十代を過ごしてきたので、目標にすべき人がいることの重要を感じます。そういう人が日本にいない以上、自分がなるしかない。だから早く成果を出すことにこだわっているんです。

米倉誠一郎: ロールモデルという点では、確かにそうか。でも、本当にいないかな。ここにも山下君という若いモデルがいるよ。

山下博巨: いや、僕は若くないので(笑)。たぶんWeb業界で二十歳というのが、前例がないんじゃないかと思います。ほかの業界はわからないですけど、僕が二十歳の頃はサーバーが何百万、何千万円もする世界だったので、起業したくてもなかなかできませんでした。それが今は二十歳でも、お金がなくても、アイデアと技術力で勝負できるというのはすごくうらやましいですね。

鶴田浩之: 実際、今は16歳で起業している後輩もいるので、僕も若くないと思っているくらいです。よく「生き急いでいる」って言われるんですけれど、そのくらいの気持ちでいないとダメだと考えています。

米倉誠一郎: たのもしいね。2人のような若者が出てきたことが、僕はすごくうれしい。「技術には自信がある」とか「生き急いでいると言われてもやる」とか、そういう想いを形にするツールも、世に広めるツールも今は身近にあるので、2人に続いてもっともっとたくさんの若い人たちに、新しい力を発揮してほしいと思います。(終)

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関連書籍

『PRAY FOR JAPAN ‐3.11世界中が祈りはじめた日』(講談社/prayforjapan.jp編集)

prayforjapan.jp
講談社


該当講座

未来をつくるイノベーションシリーズ  
第2回 アイデアを形にする一点突破のプロフェッショナル
山下博巨 (株式会社オンザボード最高情報責任者)
鶴田浩之 (株式会社Labit代表取締役 / 慶應義塾大学環境情報学部在籍中)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授/ 一橋大学イノベーション研究センター名誉教授)

山下博巨(株式会社オンザボード最高情報責任者)、鶴田浩之(株式会社Labit代表取締役)
米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター長・教授) 
『Toksy』『prayforjapan.jp』、3.11東日本大震災後に立ち上がった2つの「日本を元気にする」WEBサービスの、生みの親である二人をゲストにお招きします。「技術力」という強い武器をもつお二人の、プロデューサー的視点、周りを巻き込むリーダーシップ、プロジェクトの進め方や、人の役に立つモノづくりへのこだわりを通じて、自分自身の強みをどう生かしたら「アイデアを形にする」ことができるのか考えていきます。


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