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アイデアを形にする一点突破のプロフェッショナル in 日本元気塾

Toksy、prayforjapan.jpを生み出した次世代クリエイターに迫る

日本元気塾オンラインビジネスキャリア・人
更新日 : 2012年02月28日 (火)

第6章 本当に大切なものは何か。3.11で気づいたことを忘れないために

鶴田浩之氏

鶴田浩之: 震災のときは春休みで、栃木県の自動車学校で運転免許の合宿中でした。ケガ人は出ませんでしたが停電と断水が起こり、余震が続く中、みんなでロビーに避難して夜を過ごしました。

深夜0時を回った頃からイー・モバイルでインターネットに接続できるようになって、ノートパソコンで情報収集していたとき、Twitterで#prayforjapanというハッシュタグを目にしたんです。ものすごい数のツイートで、ネットでは「世界中から祈りのメッセージが届いている」と話題になっていましたが、マスメディアでは緊急性のある情報が優先されていたので報道されていませんでした。

僕はこんなにたくさんの人が応援してくれているということが、このまま流れてしまうのはもったいないと思い、その場でこのハッシュタグと同じドメインを取得して、Twitterの仕組みを知らない人でも、ここにアクセスすれば、世界中からメッセージが寄せられていることがビジュアル的にわかるページを立ち上げたんです。その12時間後くらいに、もう1つ別のコンテンツとして、日本語でツイートされていたエピソードの中から「これは」と僕が思ったものを15件くらい選んで紹介したところ、これがとても話題になりました。

サイトの立ち上げから48時間で300万件のアクセスがあり、Twitterでは15万回ツイートされ、Facebookでは4万回Likeボタン(いいね!ボタン)がクリックされました。Facebookでは「国内で最も短期間で一番ライクがついたサイト」という記録になり、当時で7番目ぐらいの規模のFacebookページになりました。

サイトの反響もすごかったのですが、4月末に『PRAY FOR JAPAN~3.11世界中が祈りはじめた日~』が講談社から出版されると、びっしり手書きされた読者カードが山のように届きました。本になったことで、インターネットを使っていないご高齢の方や中学生から手紙が来たのは、つくり手として本当にうれしかったです。坂本龍一さんからもコメントをいただきました。

3月11日のあの瞬間に、いろいろなものが変わったと思います。今まで大事にしていたものが崩れ去り、どうでもいいと思っていたものが実は大切なものだと気づいたと思うのです。僕もそうでした。でも半年経って、だんだんとあのときの気持ちが薄らいでいるのを感じます。この本を読むことで、あのときの気持ちや感情を思い出し、本当に大事なものは何か自問自答することができれば——そんな思いで本をつくりました。

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関連書籍

『PRAY FOR JAPAN ‐3.11世界中が祈りはじめた日』(講談社/prayforjapan.jp編集)

prayforjapan.jp
講談社


該当講座

未来をつくるイノベーションシリーズ  
第2回 アイデアを形にする一点突破のプロフェッショナル
山下博巨 (株式会社オンザボード最高情報責任者)
鶴田浩之 (株式会社Labit代表取締役 / 慶應義塾大学環境情報学部在籍中)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授/ 一橋大学イノベーション研究センター名誉教授)

山下博巨(株式会社オンザボード最高情報責任者)、鶴田浩之(株式会社Labit代表取締役)
米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター長・教授) 
『Toksy』『prayforjapan.jp』、3.11東日本大震災後に立ち上がった2つの「日本を元気にする」WEBサービスの、生みの親である二人をゲストにお招きします。「技術力」という強い武器をもつお二人の、プロデューサー的視点、周りを巻き込むリーダーシップ、プロジェクトの進め方や、人の役に立つモノづくりへのこだわりを通じて、自分自身の強みをどう生かしたら「アイデアを形にする」ことができるのか考えていきます。


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