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活動レポート

ミネルバ大学生と電通Bチームがアカデミーヒルズで語り合う 「ミネルバ大ってどうなのよ?日本ってどうなのよ?」

<電通Bチーム×アカデミーヒルズ>

活動レポート



アカデミーヒルズ ライブラリーメンバーの開催レポート
開催日:2019年8月19日(月)
文・写真/蒼山隆之(六本木ヒルズ ライブラリーメンバー)

世界最難関「ミネルバ大学」の学生がやってきた!


今やハーバード大学以上に世界最難関とまでいわれる米国のミネルバ大学。世界中から学生が集まり、2万人が受験し合格するのはたった40人という「超」がつく狭き門。キャンパスを持たず、4年間で7都市を移動しながら学ぶ全寮制。講義はすべてオンライン、ディスカッション中心の授業や、企業と協働して課題解決の手法を学ぶという、ユニークなカリキュラムをとっている。そんな話題のミネルバ大学から学生2名がインターンとしてこの夏、電通にやってきた。ということで、これまで定期的にアカデミーヒルズとコラボセミナーを行ってきた電通Bチームが、彼らとともに働き、過ごしたこの2か月で気づいたミネルバ大のこと、そして彼らが気づいた日本のこと、そしてさらに、2人が考えた世界初のプロトタイプの披露を含む90分のトークセッションがアカデミーヒルズにて開催された。グローバル人材を目指している人、そのほか教育界の方々や留学、海外ビジネスに関心のある方々が集まる満席御礼のイベントとなった。


イドリスとクリスが電通のインターンに選ばれた理由とは?!


今回、電通Bチームのインターンに応募したミネルバは実に35。その中から最終的に選ばれたイドリス・ベニスとクリス・ウィルキンソン。ファシリテーターの⼀⼈で、電通Bチームの代表・倉成は、この⼆⼈を選んだ理由として「Bチームにくるからには世界にないものを作ってもらわなくてはいけない。コラボするには、一緒にいて楽しいかどうかが重要。だから緒にお茶をして楽しそうと思えるを選ぶ、というのが判断基準でした」と言う。さらに、人柄の良い人ということも理由のひとつだったそう。確かにイドリスとクリスの二人とも、超エリートではあるけれど、とても穏やかで人柄の良さがあふれ出ていた。

この日は、5つのセクションに分けてトークセッションが展開された。
まず、世界最高最先端のユニークなシステムを持つ学び舎・ミネルバ大学とは一体どんな大学なのだろうか。


1. ミネルバ大ってどんなところ??



「ミネルバ大学が目指すのは、これから到来する複雑な現代社会でのグローバルなリーダーを育てることです。主に「Critical thinking」、「Creative thinking」、「効果的なコミュニケーション」、「効果的なインタラクション」の4つの能力を育てるための4年間にわたる学際的なプログラムを物理的なキャンパスを持たず、7つの都市を巡りながらそれぞれの現地のパートナーと共同して学ぶという式をとっているのです。」と、モロッコ出身のイドリス(19)

「どうやって学ぶのか?キャンパスはないのでオンラインでの教育になり、世界各地の様々な場所から時間や場所にとらわれず教育を受けることができ、非常にインタラクティブな授業が行われています。授業に来たら、ひたすらディスカッションです。教授からの質問に答えます。時に小クラスがさらに小さなグループに分けられ、文章作成や自分たちの考えを他の学生に披露します。個別にフィードバックされ、どんなコンテンツの授業に出たのか、どんな成果を出したか、他のグループはどうだったかを検証します。」



 「ミネルバは能力ある学生全てに開かれるべき大学だと考え、奨学金などの縛りを受けることなく門戸を開いています。ウェブサイトにミネルバの願書があり、そこを通じて出願出来ます。出願者がどのように物事を考えるのか?どんな課外授業をしてきたのかを書く必要があるのです。効果的に世界各地から学生を集めることに成功しており、50カ国から150人ほど学生が集まってきています。地域ごとに経済格差があるため、学生達の学費の支援もしています。」と、イドリスは続ける。
「世界各地に先生がいるので学びの可能性が広がるわけですよね。しかも校舎を作らずオンラインで授業を行うことで学費は下がり、インターンをしながら課題解決力を高めながら学んで行くというシステムを構築したのが素晴らしいですよね。」と倉成氏が同大学の在り方を称賛。
参加者から、受験対策はしたのかという質問があったが、受験がそもそもなく、自分が今までしてきた経験を伝えるのみ。そこで学校に合うかどうかの思考パターンを測られるといった回答がされた。

2. ミネルバ大ってどうなのよ?



ミネルバ大で先生や事務局の方々に最も言われている言葉は?
“Everything is intentional”=「全てのことには何らかの意図がある」と、今度はイギリス出身のクリス(23歳)が答える。
全てというのは大学のことなのか、それとも世界のことなのか。きっと両方なのだと思うと話すクリスは、「大学側は、大学が起こすアクションにどんな意図があるのかを学生達が理解することを期待しているのです」と見解を述べた。全てのカリキュラムには学生にこういうことを学んでほしいという意図がある。また、オンラインでの授業において、一人一人の表情や


発言率が測定されていることを明かすと、会場からは驚きの声が上がった。

色別に学生それぞれの持つ特性や傾向などが判断できるようになっていて、一瞬一瞬を評価されていることを意識して動くことが大切になるとクリスは結んだ。

3. 日本ってどうなのよ?


こちらのセクションはイドリスとクリスから二人への質問という形で進められた。
「まもなく2020年になり日本がとても注目されるわけですが、メッセージを発するとしたどんなものを?」というクリスからの質問に対し、「世界の人に、というよりも、2020年は日本の人にとってチャンスなんじゃないかなと思う。日本のいろんなことが見えてくると思います。」と、ロシア、日本、イギリス、フランス、アメリカ、カナダの6ヶ国を転々としながら多感な時期を過ごし、各国の地元校で教育を受けてきたナージャは言う。
「この機会にレガシーとして、建物などのハードではなく、日本人の優しさ、というソフトが世界に広がるといいなと思います。」と倉成⽒も続け、2人へのさらなるメッセージとしては「エビデンス(前例)を引用することを重視しているように見えるので、前例がないことをすることも選んで欲しい」、「(2人は)すぐ回答を出すのに慣れているので、そうではなく寄り道しながらゴールにたどり着く、違うプロセスも覚えたら、今後何かチャンスがあったときに強いと思う。」といった回答が両⽒から寄せられた。



4.世界初のプロトタイプ大発表会!


 二ヶ月に渡るインターンの最後のゴールとして倉成、ナージャ両氏が用意した課題は世界初のプロトタイプをイドリス、クリスに開発、プレゼンしてもらうことだった。

「せっかく僕らと仕事しているのだから、最後に何らかのこれまで世界になかったプロトタイプを生み出してから次の国に行ってほしい」と話したという倉成氏。

イドリスからは、彼のB面と言える大好きなチェスをビジネスに取り入れたプロトタイプ「チェスに学ぶ新たなるビジネス戦略」についてのプレゼンが行われた。



「ストレス最高潮に達していた3年前に自分を救ってくれたのがチェスでした。苦しいところから逃げるのではなく、問題解決への道を開いてくれたのです。これをビジネスに活かしたいと考えました。チェスの要素は少なくとも今日のテーマに関連するところで言えば、他の駒と一緒になることで強力な力となるポーンという駒や、営業に当たるナイトという駒、ビショップやクイーンの駒の役割についてなどなど、チェスからの学びをビジネスへと活かせる道を論理的に指し示しました。」と語ると、9つのコンセプトリストを提示、そのうち3つまでを披露。ビジネス上のシチュエーションをチェスにおける教訓に置き換えて説明する場面では「緊張状態において、自分から先行して直接手を下すことは、必ずしも新たな価値を生み出してはくれない」といった、チェスにおける戦略と戦術をビジネスへ転換し実践可能なプレゼンをし、会場を沸かせた。

「趣味だったチェスを自分がこれからやろうとする仕事に活かせるとは思わなかった。本業の役に立てていいという思考がこれまでなかったから。」と話し、イドリスは笑顔でプレゼンを終えた。




続いてクリスが発表したプロトタイプは「ネガティブ=否定性をビジネスに活かす」というものだった。

「電通Bチームにインターンで入ったところなかなかうまくいかず、母に電話で愚痴った
所、ネガティブになるのはやめなさいと言われたのです。『MASTER PLAN』『Disappointments Diary』と名付けた二つの日記を用意し、否定性の中に熱意を持つようになってこの6週間、否定にまつわるあらゆる研究をし倒しました。そこでわかったのは、面白いアイデアを生み出そうとしても、正解を導くことだけにフォーカスしたところで、退屈で、オリジナルじゃないつまらないアイデアしか生まれないことがわかりました。」と断言するクリス。

「間違っている、否定性を許すような自由があれば、これまでになかったようなオリジナリティあるアイデアが生まれるのです」と語った。否定性を受け入れたインスピレーションを『MISERABLE IDEATION=惨めなアイデア』と名付け、「THE WORST IDEAS ARE THE BEST IDEAS」と定義づけた。「正解というのはオリジナリティがないものなのです。つまらないですよね。否定的なものを受け入れる自由を持つことが、インスピレーションのあるオリジナリティ溢れるアイデアとなるのです。」堂々たる態度でプレゼンを結ぶと、会場からは大きな拍手が起きた。

5. まとめ


電通Bチームリーダー・倉成英俊さん

最後に倉成氏とナージャからの総評が入った。
「今回のインターンで、まずミネルバからもらったものは『この大学を作った人は偉いなあ』という思いでした。特化した⽬的のために新しい教育システムを作った『新しい教育の発明』ですよ。どういう考えでどういう風に学生を指導しているのか、現行の教育に対するカウンターを作ったのがミネルバ大学を作った人。」と倉成氏。「そして、彼らの受け入れ側としての成果もありました。イドリスとクリス、彼らを色々なところに連れ回すことで社内の空気感が変化しました。現場がすごくピリッとしたり、いきなり英語力が上がったスタッフもいます。」と続け、チェンジメーカーとして彼らが活躍してくれたと、二人への感謝の気持ちを伝えた。
「誰かが作った方程式を使っても その人の二番煎じにしかなりません。ちゃんと自分なりの個性と組み合わせて本当に新しいものを作ることが大切。この二人が持っているもの、「B面」を最大限活かすことで、個性と才能を100パーセント発揮させる。それを今回のインターンでやってあげたかった。」と、電通Bチームの在り方を絡ませつつ、彼らをインターンに招いたことに対しての率直な想いが語られた。


終了後に参加者にと話すクリス
 あっという間に終了時刻を迎え、イベント終了後もゲストの面々への挨拶やディスカッション目的で長い列が出来た。
また、イベント参加者からは「電通Bチームがコストをかけて2人もミネルバ大から学生をインターンに迎えた価値がよくわかった」といった声や、「ミネルバ大学のシステムも素敵だなと感じたし、そこに電通Bチームのオリジナリティが合わさることで素敵なアイデアが生まれるのだなと思った。何よりもミネルバ大学生の二人に人間的な魅力がすごくあった」、「今回のイベントに参加したことで、自分も自分が持っている『B面』を見つけてみようと思いました」といった声が聞かれた。



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