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『ケロッグ大学大学院 モーニング・セッション「日本から米国、そして世界への挑戦~サイボウズからLUNARRへ~」』

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更新日 : 2008年09月22日 (月)

第2章 日本型経営への疲弊感と、優秀&結果主義への抵抗感

高須賀宣さん

高橋英伸: お話を伺っていると、こういう大きなことをやられる方というのは、童心とか、遊び心みたいなものが必ずどこかにあるのかなと思います。今、なかなかそういうのって難しい時代じゃないですか。

高須賀宣: 特に最近の日本はそんな感じがしますね。携帯電話をつくるのも、「ネジ3本かかっているところを、2本にするには、どうしたらいいんだ?」みたいな。そういうことを「筋肉質」とか「もっと合理的な」というのですが、そうすると、縮小均衡というか、どんどん疲弊していくような気がするのです。

高橋英伸: 新しい革新的なものは生まれてこない。

高須賀宣: 窮屈で息苦しくなって、何か新しいことがやりにくくなっている感じをすごく受けますね。日本の経営者には失礼かもしれないのですが、新規事業をマネジメントするということに、技術的に取り組んだ会社はあまりないというふうに僕は見ているのです。

高橋英伸: サイボウズを会長就任直前に辞めて、海外、しかもポートランドという田舎に移って、全くゼロからスタートするというのは、普通はなかなかできないと思うのですが、そこが面白いところですね。

高須賀宣: サイボウズはそこそこうまくいきましたが、なかなか国際的 には活躍できないと思いました。それと、「もう十分やったから別にええやん、人生楽しまな損や」みたいなものがありました。皆さんも海外を経験されている ので同じ感覚をお持ちかもしれませんが、日本人はもっと楽しんで生活して、人生を過ごしていいんじゃないかと。もちろん仕事を通じても。

高橋英伸: ポートランドでは、高須賀さんを含めた日本人5人とアメリカ人7人でチームを組まれているわけですが、個々のメンバーは少数精鋭で集めたのでしょうか?

高須賀宣: 「優秀な人を集めないと事業はうまくいかない」というのは、ある意味正しいのですが、どうも間違っているような気がしています。

ある目標に対して、それをブレークダウンしたときに、そのタスクをちゃんとこなせる人であれば、飛びぬけて優秀である必要性はないというふうに思います。僕はプロセスを大切にしますが、結果は求めないんです。結果はどちらかというと時の運みたいなところもあるのです。

日本でいう、「すごく優秀で、しかも結果主義で」みたいなのは、僕は抵抗感がありますね。それは、マネジメントする人間の役割や責任を無理やりメンバーに転嫁していっているという気がします。

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