読んだら旅に出たくなる7冊
心が躍動したり、癒されたり。あるいは、ある瞬間が永遠に感じられるできごとに立ち会ったり、今までの考えが崩され新たに積まれる学びを得たり。全身を通じて大なり小なり、何かしらの変化を生じさせてくれるもの。それを経て、あらためて「日常」を想わせてくれるもの、旅──。
今回は、そのような旅にまつわる本を7冊ご紹介。国内外の文化や自然を教えてくれるだけでなく、丸ごとその場へ連れ出してくれるようなラインナップでまとめました。
思えば、読書もある種の旅。実際を味わえなくても、不思議と伝わる彼方のあれこれ。ぜひ、お楽しみ下さい。
ひとりみんぱく
”これは僕自身の旅の記憶であり、旅そのものでもある。”
あとがきに綴られた筆者・松岡宏大氏のこの言葉が、本書のすべてを物語っているように思います。
みんぱくは、大阪の万博記念公園内に位置する「国立民族学博物館」の愛称。『ひとりみんぱく』とはすなわち、「わが家の民族学博物館」を意味します。
カメラマン・ライターであり世界中を旅する松岡氏は、行く先々でその国の文物を蒐集してきました。本書は、彼の部屋にあふれる世界各国の品々を紹介しています。
そう聞くと一見博物誌のようですが、読んでみればそこに書かれるのは、その地での松岡氏自身の体験、人とのかかわりの様子。まさに、かけがえのない筆者の「旅の記憶」が丁寧に綴じられているのです。
B6変版という小さなページから、広い世界の息遣いが聞こえてくるような、不思議で心躍る本。シックな装丁も美しく、ぜひ手に取って味わっていただきたい一冊です。
世界の美しい劇場を1冊で巡る旅 最新版
本書は世界各地の美しい劇場を凝縮した贅沢な一冊。本をひらくと見開きいっぱいに美しい建築装飾が飛び込んできます。ヨーロッパをはじめ、アメリカや中南米、アジアの各所を旅し、固有の美しさを探ります。
機能美と装飾美を兼ね備えた設計が、そこで行われる演目を引きたたせ、空間が構築されている劇場という特異的な場所。本書はそれらが建てられた経緯や豆知識などもいっしょに知ることができます。写真でも伝わってくる美しい装飾は、実際に現地を訪れることでまた違った美しさを放つかもしれません。みなさんもこの夏、ぜひ気になる劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。
世界の現地ごはん帖 : ハナコの書き留めた「味コピ」!
おいしいトコだけ世界一周食べ歩き
みなさんはここ一週間、どんなご飯を作りましたか?なかなか和・洋・中の枠から出ないという方も多いのではないでしょうか。本書では幼いころから海外にゆかりのあったツレヅレハナコさんが厳選する、世界の現地ごはんを紹介しています。台湾のルーロー飯から始まり、26カ国の食文化を巡る旅。どこをめくっても食欲がかき立てられます。文筆家兼料理研究家のツレヅレハナコさんならではの目でも舌でも楽しめる味わい深いレシピ本です。
現地を思わせるコラムや食器・料理道具などのこだわりも必見!いつもの食卓からすこしだけ冒険して、国際色豊かな世界の現地ごはんをおうちで再現してみませんか?
駅スタンプ大図鑑 : 解説付き戦前の印影コレクション
およそ90年前福井駅に登場した駅スタンプ。その後全国各地の駅に設置されたそのスタンプは、その場所にまつわる様々なものをモチーフに作られ、コレクター心をくすぐり、駅スタンプの為に全国の駅に行くという一大ブームを作り上げました。
全盛期には1500を超える駅に設置されていたスタンプですが、時代の流れとともに数は減少。しかしながら今なおスタンプを旅の目的にする人も少なくありません。本書では戦前の物も含め1400点を掲載。見ごたえ抜群です。ちなみに駅スタンプを集める人たちの事を鉄道ファンの間では「押し鉄」というそうですよ。
かわいいアジアの洋館
映画セットのような構図や彩りを帯びたお店たち。それでいて、上の階には住居があり、あくまで日常を過ごす人たちがいる──。
ショップハウスという店舗付き住宅が立ち並び、行き交うひとたちに煌めきを与えるその場所は、シンガポールのある地区です。ここには100年以上の歴史をもつショップハウスが多く、マレーや中国、ヨーロッパ文化の脈も合流したことで、独自の色彩やつくりを成しています。
特徴的な一軒一軒を写真とともに、丁寧な文にて今昔を伝えてくれる本書。虚構のような世界と確かな足跡、日常が織り交ざった「もう一つの現実」へ連れて行ってくれることでしょう。
THE TALE OF GENJI AND KYOTO
日本語と英語で知る、めぐる紫式部の京都ガイド
永いあいだ人の世の栄枯盛衰を眺めた古都、京都。その地は日本人のみならず、海を越えて多くの外国人も魅了してきました。海外の知人・友人に「京都を案内してほしい」と頼まれた経験のある方もいらっしゃるでしょう。
とはいえ、日本の文化を紹介するのに適切な英語表現が思いつかない‥そんな時におすすめしたいのがこちらの本です。
本書は日英対訳の形になっており、英語で京都を案内するのに持ってこいのカルチャー・ガイドブックです。源氏物語の舞台や紫式部ゆかりの地をたずね、写真とともに見どころを紹介しています。もちろん、ご自身の「紫式部と源氏物語をめぐる旅」にもうってつけ。
「本書を手に京都を訪れて、紫式部も見たであろう景色に出会ってください。そして願わくば、その感動を海外の友人・知人と共有してほしいと思います」__本書はじめに より
自然を満喫 森さんぽ東海版
テレビ画面にふいに映る深い緑の景色に心がハッとすることがありませんか?都会にいると大自然に触れ合えず、なにかとストレスを感じてしまう昨今。緑豊かな自然に触れ合うのがリラックスに繋がるとわかっていても、中々機会がありません。自然豊かな大きな公園はあれど、見渡す限りの緑に囲まれた場所というのは特に。本書で紹介されているのは東海地方の森です。ムック本ならではの大きなページに映し出される緑を見ているだけで心が癒されます。週末緑に囲まれに森に出掛けてみませんか?
ひとりみんぱく
松岡宏大国書刊行会
世界の美しい劇場を1冊で巡る旅 最新版
エクスナレッジエクスナレッジ
世界の現地ごはん帖 : ハナコの書き留めた「味コピ」! おいしいトコだけ世界一周食べ歩き
ツレヅレハナコ光文社
駅スタンプ大図鑑 : 解説付き戦前の印影コレクション
田中比呂之世界文化社
かわいいアジアの洋館
タチアナ・キルディシェワエクスナレッジ
THE TALE OF GENJI AND KYOTO 日本語と英語で知る、めぐる紫式部の京都ガイド
SUMIKO KAJIYAMAプレジデント社
自然を満喫 森さんぽ東海版
ぴあぴあ
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