思い込みから抜け出すための7冊
自分の中の「当たり前」は、あまりに近すぎてかえって見えにくい。固定観念に囚われないことは、簡単なようでいて意外と難しいものです。これまで悩みや壁にぶつかった時、物事を俯瞰してみたら意外なところに道が開けたという経験はありませんか?それと同じように、自分の現在地を見つめることで、より良い生き方、可能性が広がってくるのではないでしょうか。
他者の人生を覗いてみる、思考法を学ぶ、哲学からヒントを得るなど、今回ご紹介する書籍はそれぞれ異なる視点で「当たり前」を問い直すきっかけを作ってくれます。
今ある固定観念を認識し、ほどき、結び直す。その道標となってくれる7冊です。
「みんな違ってみんないい」のか?
—相対主義と普遍主義の問題
多様性の時代と言われ、様々な生き方、意見、考え方に対してそれぞれが尊重され「みんな違ってみんないい」というのは果たして正解なのでしょうか?
問題解決に向かう時「いろんな意見があって、どれもいいね」だけでは一向に解決しないことはよくあるはず。解決に向かわせるにはなるべく「より正しい正しさ」を皆で作り上げていく事が大切です。他者とコミュニケーションを取り、理解し答えを導き出すことの方がより正しい答えに近いのでは?「人それぞれ」という言葉に逃げていませんか?
ダリウスは今日も生きづらい
主人公の高校生ダリウスはイラン出身の母と白人の父を持つペルシア系アメリカ人。生まれも育ちもアメリカのポートランド。ゆるくカールした黒い髪にブラウンの瞳は典型的なペルシア系の顔立ちだがペルシア語はほとんどしゃべれない。運動と数学が少し苦手。学校ではいじめというほどではないが同級生などからちょっかいを出されている。
人間はどうしても自分の知識と経験を元に物事を考え行動しがちなのではないかと思います。だからこそ普段の思考から離れ、自分では考えも経験もしなかったちょっと生きづらいダリウス君の世界を覗いて行きませんか?新しいものの見方が手に入るかもしれません。
人生のレールを外れる衝動のみつけかた
自身を数値化して世間にさらし、評価されにゆく。あるいは「寂しさ」によって他社やモノと繋がり、一時的な安心を求める──。そのような社会的規範や不文律にのっとった生き方から飛び出し、自らを生かし驚かせるもの。それが本書で書かれる「衝動」の正体です。
理由付けのできないこの想いはどこからやってきて、どのように自らを突き動かし、生へと向かわせるのか。古今東西の思想家や漫画作品などを引きながら、気鋭の哲学者が丁寧な運びをもって殻を破る手助けをしてくれる一冊。読後、従来の世界の向こうを臨めることでしょう。
無意識のバイアスを克服する
肌の色やジェンダー、体型の違いなどがきっかけとなり、無意識に私たちの奥で築かせる「壁」と実生活での行動。そして、それらがもたらす「傷」。
本書では「壁」となるバイアスが生まれる過程といかに「無意識に」広く深く刷り込まれているかという現実に、あらゆるケースや事象を挙げて手がかりにしながら、科学的知見・アプローチをもって迫ります。
人が人を丸ごと見つめて共に生きてゆくことこそ「自由」であること。その実現には困難や苦渋を数えきれないほど経験しなければならないかもしれませんが、決して不可能ではないと希望を抱かせてくれる一冊です。
THINK AGAIN
発想を変える、思い込みを手放す
THINK AGAIN、考え直す。これこそが、現代を柔軟に生き抜くためのスキルです。ならばそれを実行するためには?固定観念を切り離し、時には、自分のアイデンティティを捨てることだって必要かもしれません。じゃあ、そのために求められる思考は?・・・「己の無知を自覚すること、知的に謙虚であること」と言われても、何年も続いてきた自分の認知や行動を変えるのは難しい。
だからこそ、この本は400頁にも渡ってじっくりと丁寧に、思考を解きほぐすよう導いてくれるのです。なんとも分厚い本ですが、その意味が確かに感じられる一冊。学び直しの第一歩に、『発想を変える、思い込みを手放す』を実践してみませんか。
世界をアップデートする方法
哲学・思想の学び方
哲学を学ぶ意義とは何か。本書ではその答えを”「固定観念の破り方」を学ぶため”としています。すでに浸透した考えに対し積極的に向き合い、より良い方向へと導くために現代まであらゆる哲学者たちが尽力してきました。本編では古代から続く西洋哲学と東洋哲学の考え方を分かりやすく解説し、現代にも応用できる考え方を探ります。
一見難解そうな哲学ですが、その考え方を学ぶことでわたしたちの見ている世界の解像度がぐっと上がり、偏った思想にもいち早く気づくことができるようになるはずです。時代を刷新してきた哲学者たちから当たり前を疑う力を学びましょう!
SISU フィンランド幸せの哲学
世界の幸福度ランキング、ジェンダー・ギャップ指数ランキングともに上位に位置し続ける国、フィンランド。彼らがもっとも大切にしている思想”SISU”を知っていますか?”SISU”は誰もが幸せに暮らせることを目標とした広義の概念。困難を乗り越える力や対話による信頼関係の作り方など、”SISU”を中心とした教育は幼い頃から始まります。
国民一人ひとりに”SISU”が備わっていくことでポジティブな影響力が連鎖し、国全体の幸福度を高めています。長い歴史とともに発展してきたこの思想はわたしたちにも参考になる側面がたくさんあるはずです。差別や偏見から解放され、幸せを手に入れるヒントをぜひ本書から見つけてみてください。
「みんな違ってみんないい」のか?—相対主義と普遍主義の問題
山口裕之筑摩書房
ダリウスは今日も生きづらい
アディーブ・コラーム集英社
人生のレールを外れる衝動のみつけかた
谷川嘉浩筑摩書房
無意識のバイアスを克服する
ジェシカ・ノーデル河出書房新社
THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す
グラント,アダム【著】: 楠木 建【監訳】三笠書房
世界をアップデートする方法 哲学・思想の学び方
篠原信集英社インターナショナル
SISU フィンランド幸せの哲学
ヨアンナ・ニュールンドスター出版
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