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シェアラウンジトーク 第7回 開催レポート
“Apple Pay の最新状況 とモバイル決済への期待”

更新日 : 2017年12月07日 (木)

開催日:2017年11月22日 @アークヒルズライブラリー シェアラウンジ
スピーカー:鈴木 淳也(モバイル決済を専門とするITジャーナリスト)
文/神田

シェアラウンジトークは、アークヒルズに関わる方をスピーカーに迎えて開催しているアークヒルズライブラリー限定のイベントです。メンバーにとっては、新たな知識を学ぶ場であるだけでなく、スピーカーや他のメンバーと意見交換をすることで交流を生む場になっています。

今回は、モバイル決済を専門とするITジャーナリストであり、アークヒルズライブラリーメンバーでもある 鈴木淳也氏に、話題のApple Pay の最新状況をお話しいただきました。

Apple Pay がなんで注目されるのか?


今までにも似たような試みはありましたが、なんでApple Pay が注目されるのでしょうか。2011年からモバイル決済の実態を調べ、世界中を見てきた鈴木さんは、「モバイル端末にデジタルウォレットを入れる仕組みとして初めて成功した例」と仰います。

アメリカでローンチされてからちょうど3年。昨年10月には日本で、現在では世界の20カ国で使えるようになっています。モバイル決済を利用している人はまだ多くはありませんが、アメリカでは国内の非接触決済の90%がApple Pay によるものだといいます。

その理由は、「使い勝手が簡単」「安全(Touch ID による指紋認証で個人を特定できる)」「プライバシー(Apple は名目上、データを取らない。記録が残らない)」「大規模展開(多くのカードを使える)」だから。そして、Apple Pay が広く受け入れられたことで、業界として盛り上げようとしているし、銀行も協力体制にあるといいます。

今、使える率が一番高い世界最大のモバイル決済サービスと言えそうです。その波は、アメリカだけではなくヨーロッパやアジアにも広がり、日本でも6割くらいのカードに対応するまでになっています。

海外と日本の仕組みの違いは解消される!?

日本では、もともと非接触型決済にはFelica技術が使われていた経緯から、Apple Pay の事情も海外と少し異なります。海外では、非接触決済にはTypeA/B という技術が使われていますが、日本ではFelica も使われています。それによって、国内版iPhone と海外版iPhoneで利用できる所が異なったり、国内発行のクレジットカードと海外発行のクレジットカードでも出来る事と出来ない事の違いがあるようです。

ただ、その問題は「時間が解決する」と鈴木さんは仰います。日本のコンビニやファーストフードのチェーン店はいち早く対応が進められているといいます。海外から日本に来た人がiPhoneで気軽に買い物や食事ができ、日本から海外に旅行に行った際にもiPhoneで全ての支払いをすることができる日もそう遠くはないようです。

Apple Pay で何が変わる?


日本のSuicaのように、海外の交通系カードもApple Payと組み合わせて使えるようになっていくようです。また、Appleは、個人間送金の仕組み「Apple Pay Cash」を発表しています。ソフトバンクのAIロボットペッパーとの組み合わせで、人がする最低限のカウンター業務ができる実験も行われているそうです。

モバイル決済のさきがけとなった「Apple Pay」は、
今後しばらくはこの業界をリードすることになるだろうと、鈴木さんは仰います。
Apple Payは、今後ますます普及し、非接触決済だけでなくオンライン決済にも広がっていくだろう、個人間送金やホテルの鍵、IC Tag と広がっていき、流通革命を起す可能性もあると。Apple Payの広がりによって、カード会社の勢力図に変化があったり、日本の「おさいふケータイ」も変化を見せるかもしれません。今後が注目されます。

鈴木 淳也(Junya Suzuki)

モバイル決済を専門とするITジャーナリスト。
メーカー系SEを経験した後、出版社アスキー(現KADOKAWA)で月刊誌の編集業務に従事。
2000年にプロフェッショナル向けIT情報サイト『@IT』(現『ITmedia』)の立ち上げに参画。2002年にフリーランスとして独立し、活動の拠点を米国サンフランシスコに移す。2011年以降はNFC、モバイル決済、金融(FinTech)、小売や流通、公共インフラを主な取材対象とし、世界中のさまざまな会議参加や現地取材を通じて最新情報を発信している。
近著に「決済の黒船 Apple Pay(日経BP刊/16年)」がある。

決済の黒船 Apple Pay

決済の黒船

鈴木淳也 : 日経FinTech編集部
日経BP社