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ビジネス・チャレンジ・シリーズ
人事制度の改革なくして「働き方改革」はできない!

日本企業に求められる人事改革のあり方とは?

更新日 : 2017年09月19日 (火)

第5章 従業員の健全な上昇志向を育む


働き方改革に魔法の杖はない!


前刀禎明: 有沢さんの全ての取り組みには、「なぜなら……」という明確かつロジカルな答えが必ずついています。戦略づくりにおいて最も大切な目的の部分が抜け落ちている、あるいは軽視している企業は非常に多い。しかし、それがなければ、人の心は動いてくれません。

有沢正人: 売上や利益を生み出しているのは、感情を持った「人」です。そして、基本的に人材は含み益が出ることもあれば、含み損も出る場合もあります。そこで含み益が出るようにするのが、人事の仕事です。今も昔も、企業にとって最大の資産・財産は人材です。その本質的な意味を認識しているかどうかは、企業によってまちまちだと思いますが……。

私が今も人事に携わり続けている理由は、一人ひとりの生活や働き方に対して、覚悟と責任を持って働くことに、大きなやりがいを覚えているからです。正直、この仕事をエンジョイできるようになったのは、40代後半から50歳になってからですが……。銀行にいた頃、公的資金を注入された時、外部から来た方々から「人事や経営企画がダメだからこうなった」と言われ、「私が従業員を苦しめたのだ」と、自分を責めました。その思いは今でも胸にあります。

仕組みや制度をつくって「あとはよろしく」では、「ひとごと屋(人事屋)」などと言われてしまいます。人事担当者は、現場できちんと仕組みや制度が活かされ、成果が上がっているかどうかを確認し続けることが大切です。ぜひ、皆さんも「生きた人事」をしてください。

とはいえ、「これをやれば、働き方改革は成功する」といった魔法の杖はありません。なぜなら、企業には多様な価値観を持った人達がいるからです。その意味でも、人事にとってのクライアント(従業員)が最も力を発揮してくれる方法を真剣に考え、マトリクス的に様々な施策を組み合わせ、自社に合わせた形へと試行錯誤を重ねていくことが大切です。



前刀禎明: 人間は一人ひとり、得意なことも苦手なことも異なります。しかし、日本は同質性の高い国であるため、同じ基準で自分と隣に座る同僚を比べ、「自分はダメだ」などと思ってしまう。それは絶対やめたほうがいい。

また、日本では謙遜が美徳とされるため、日本人は「欲求」を表に出すことも苦手としています。欲求を実現するために努力し、それが達成できれば大きな喜びが味わえる。すると、また新たな欲求を持って努力する。つまり、欲求こそが成長への大きな原動力になるのです。このサイクルを繰り返していけば、働き方も生き方が変わり、人や企業も成長していくはずです。

有沢正人: 私利私欲に走ったり、社会に害を与えたりする上昇志向はダメですが、企業にとって、従業員の健全な上昇志向は絶対に必要です。これがなくなった瞬間、企業は傾きます。個人の欲求、健全な上昇志向を引き出し、それを伸ばす。そして結果が出れば、きちんと評価し、成果に報いる。それを具現化した仕組みをつくるのが、人事の仕事だと思います。(了)



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今回のビジネス・チャレンジ・シリーズでは、カゴメ株式会社で人事最高責任者として同社の評価制度の変革を遂行してきた有沢正人氏をゲストにお迎えし、「働き方改革」時代の企業の人事評価制度の在り方を議論します。


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