オピニオン・記事

‘AI’=ROBOT?

世を席巻するAIを読む

更新日 : 2017年07月14日 (金)

第3章 人間の脳とディープラーニング

人間のように学び、小説を書くAI



澁川雅俊: ディープラーニングは、高速演算処理を可能とするコンピュータに、人間の脳の神経回路と近似したモデルを組み込み、高度な学習能力を持たせることで、人間に替わってさまざまなことをさせるための方法です。すでに将棋、囲碁では成果を上げていますが、これを搭載した人型ロボットが‘恋’をするかは、多くの人たちが抱いている疑問でしょう。

『脳・心・人工知能〜数理で脳を解き明かす』〔甘利俊一/講談社〕は、AIについて数理脳科学の視点で解説しています。著者は「人型ロボットにしろ、何にしろ、汎用人工知能をいずれの日にか創り出すことができるだろうが、その感情は人間の感情とは異質で、人の心底を‘悟る’のは人工知能にはできない」と述べています。科学の入門書シリーズに収められた1冊ですが、読みこなすには数理と脳神経学の素養が必要です。

2016年秋、国立情報学研究所が中心となって開発した、東大合格を目指すディープラーニング搭載のAI「東ロボくん」が、センター試験の模試を受けました。その結果、高校生の8割より良い成績を収めたものの、読解力に難があり、合格を断念したとのニュースが流れました。また、AIに福沢諭吉の『学問のすゝめ』、新渡戸稲造の『自警録』をディープラーニングで学習させ、電子書籍『賢人降臨』(dブック)を出版した事例もあります。

2016年、星新一賞の応募作品に数編のAI小説があり、うち1編が第一次選考をクリアしたことが話題になりました。『コンピュータが小説を書く日〜AI作家に「賞」は取れるか』〔佐藤理史/日本経済新聞出版社〕は、そのAI小説の制作過程を克明に報告しており、AIで作成された2編の応募作品も折り込まれています。


人間のあらゆる活動が計測可能に



澁川雅俊: ところで、AI本には‘アルゴリズム’がよく現れます。AIは、他のコンピュータシステム同様にハードウェアとソフトウェアで構成されます。ハードウェアは、機械としてのコンピュータとさまざまな補助装置のこと。ソフトウェアは、機械・装置を目的通りに働かせるためのプログラミングの総称で、アルゴリズムとはコンピュータが行う動作の‘やり方’を定めるものです。

『シリコンバレー発 アルゴリズム革命の衝撃』〔櫛田健児/朝日新聞出版〕は、Fintechをはじめ、IoT、Cloud Computing、AIなどを中心に、現在、シリコンバレーで展開されているビジネスを紹介しています。「革命」とは、あらゆる人間活動が計測され、機械によって代替される流れを指すとし、その先にある世界の潮流と日本の未来を示唆しています。

それらを総括し、本書では「産業革命で、人間だけではできないことを機械の助けを借りることで実現してきた。しかし、いまは機械装置が何でもやってしまうという自動化に着目されている。そのためには、コンピュータシステムのソフトウェアが人間の活動を取り込み、変換し、どれだけ置き換えできるか。あるいは、どれだけ人間の能力を拡張できるかを課題とすることがアルゴリズム革命なのだ」と述べています。

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アペリティフ・ブックトーク 第41回 ‘AI’=ROBOT?
アペリティフ・ブックトーク 第41回 ‘AI’=ROBOT?

今回は、人工知能(AI)にまつわる本がテーマのブックトーク。
ライブラリーフェロー・澁川雅俊が、さまざまな本を取り上げ、「今までの」そして「これからの」AIを読み解きます。


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