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ときには裏切られたり、人を傷つけたりもする。それでも、私は信じたい。

大宮エリー的『言葉の力』

キャリア・人文化
更新日 : 2013年01月18日 (金)

第6章 悩んだら、自分でアクションを起こしてみよう

写真左:生駒芳子(ファッションジャーナリスト)写真右:大宮エリー(作家/脚本家/映画監督/演出家/CMディレクター/CMプランナー)

 
企画に悩んだら、とにかく人の話を聞く

会場からの質問: 企画を考える際、煮詰まったり悩んだときにどうやって突破口を見つけているのか教えてください。

大宮エリー: 悩んだときは取材をしますね。商品のCMを作るなら、お客さんの話を一生懸命聞く。そうして集めた情報の中から、「本当に言いたいことは何かな?」と考えたり、お客さんの頭の中にあることに加えて、もうひとつ喜びそうなことをプレゼントする。例えば、かつ丼を食べたい相手にスパゲッティーを持っていったら怒られるでしょう? でも、かつ丼に合う新しいサイドメニューも持っていったら、きっと喜ばれるじゃない?

あとは、自分が考えたことはなるべく人に聞いてもらいます。広告のターゲットが女子高生だったら、女子高生本人に「これどう思う?」って聞いたり、「最近どういうことしてるの?」と尋ねたり。独りよがりになるのは嫌なので。

自分のために逃げるのはポジティブなこと

会場からの質問: 私は小学校の教師をしています。エリーさんから、子どもたちに伝えたいことってありますか?

大宮エリー: いじめで苦しんでいる子には、「今の自分のコミュニティだけが全てじゃないよ」って伝えてあげたいです。私もいじめられていたので分かるんだけど、今いるところが全てだと思ってしまうと、「ああ、一生いじめられるんだ」ってなるじゃないですか。

私の場合は、塾で他の学校の生徒と出会って「なんだ、世の中って広いし、私に合う居場所もあるのかもしれない」と思うことができたのね。あと、逃げることって実はポジティブなことだと思うんです。苦しんでいる人がいたら、「自分を守るために逃げて」って伝えてあげたいです。

人生の「劇的瞬間」を作ってみよう!

会場からの質問: 私は自分の言葉を飲み込んでしまう癖があります。不満を抱えているように見えるらしく、会社でも「すぐにやめるんじゃないか」と思われているんです。本当は会社が好きで、上司も好きで。これからは自分の言葉で、思いを伝えられるようになりたいのですが、いきなりは難しくて。何から始めればいいでしょうか?

大宮エリー: そのまま言えばいいんですよ。でも、仕事中にいきなり「私、本当は会社も上司も好きです!」って言い出したらちょっと怖いか(笑)。「ランチしません?」なんて誘ってみて場を用意して、「私、辞めそうだと思われているかもしれないですが」って切りだしてみればいいんです。「そんなこと思ってないよ」って言われるかもしれないし、「すぐ辞めると思ってた」って言われるかもしれない。ついでに「○○さんだから相談できる話なんですが」と言えば、すごく喜ばれるよ。上司も「俺、頼られてる!」って、スキップして帰るよ、きっと。

そういった劇的瞬間を、一度作ってみてください。自分でそういうアクションを起こすと、人生がドラマチックになって楽しくなるから。ぜひ、やってみてください。

<気づきポイント>

●悩みやコンプレックスの中にこそ、アートは眠っている
●受け手がそれぞれにストーリーを抱く。それこそアートだ!
●言葉はときに怖くて取り扱い注意だけど、奇跡を起こしたり人を成長させる力がある
●行き詰ったとき自らアクションを起こせば、人生がドラマチックになる

ときには裏切られたり、人を傷つけたりもする。それでも、私は信じたい。 インデックス