記事・レポート
“生きるように働く”を支援する
毎日が楽しくなる、新しい生き方・働き方:中村健太×古田秘馬
キャリア・人文化
更新日 : 2012年12月21日
(金)
第8章 価値って何だろう?
古田秘馬: 「D30」では、モデルやライターへのギャラの単位は円じゃなくて、グラムなんです。つまり、お肉。
中村健太: お肉で支給されるんですか?
古田秘馬: 金本位制じゃなくて、肉本位制。これも仕事の新しいやり方だと思っているんです。自分じゃ1万円を丸々お肉にはなかなかつぎ込めない。でも「100グラム1万円の幻の肉」をもらったら、現金5万円をもらうぐらいの喜びに値するんです。原価1万円で、相手に5万円分のバリューを与えるということは、経済なんですよ。
これからは、こういう「価値観マネー」みたいな地域もあると思っています。今までは全方位に「仕事をやりませんか」という話でしたが、ある特定の「自分たちが持っているプロパティは、この人に一番価値がある」というのがあると、実は地域ってまだまだ輝くところがいっぱいあるし、物もいっぱい売れるんじゃないでしょうか。
中村健太: そうですね。「日本仕事百貨」は半分ぐらいが地域の仕事で、目の前の人に関わる仕事です。「自分がつくった物が、誰に届いているのかわからない。実感がない」というのは結構つらいものがありますよね。だからコミュニティの中で、顔の見える範囲で仕事をするって、すごくうれしいことなんです。これは脳科学的にも言われていて、ミラーニューロンという細胞のおかげで、相手の動作——例えば秘馬さんが水を飲むのを見て、僕は自分が水を飲んだように感じられるそうです。つまり、人は相手の喜びを、自分の喜びとして感じられるんです。
全方位に販売するのはビジネスとしてはおいしいかもしれませんが、人間の本質としては、目の前のコミュニティの中で生きていく方が、ぐっと来るんじゃないかと思います。
古田秘馬: マスマーケットではなくて、コミュニティマーケットみたいなものですね。そういえば、長崎県の対馬にツシマヤマネコという天然記念物の生態系を守るためにつくられた田んぼがあって、そこでつくられた「ツシマヤマネコ米」を東京のマルシェで売ったのですが、全然売れなかったんです。でも翌日、動物園のツシマヤマネコの檻の横で売ったら、ものすごく売れました。その人たちが買う理由って、無農薬とか有機栽培じゃなくて、「私が好きなネコを守っているんだ。だったら買う」ってことなんですよね。
仕事のあり方も多分同じで、必ずしもたくさん稼ぐことをよしとするわけじゃなくて、先ほどおっしゃっていた「土日もやりたいことか。ずっとやっていたいことか」という方向からのアプローチもあると思います。
中村健太: 今のお話を聞いていてふと思ったんですけれど、秘馬さんは「すでにある動物園の檻の前で売ればいい」ということを発見できるタイプ。つまり、「コミュニティがここにある」ということを発見してつなげる仕事なんですね。僕は「日本仕事百貨」を無料からつくっていったように、コミュニティをじっくりつくっていくスタンスなんです。何かその2つのアプローチがあるんじゃないかと、今の話を聞いていて思いました。コミュニティがあるところを見つけるか、自分でつくるか。そのどっちかなんじゃないかと。
古田秘馬: 海外旅行しているときに出会った日本人が同じ村の出身だったりすると、いきなり昔からの友達のようになることってありますよね? 何か1つ共通項が見つかった瞬間、一緒になれる。コミュニティや価値って、いくつかの共通項があると、つながりやすいのかもしれません。
中村健太: 昔は「こんな趣味は、自分一人だけかもしれない」ってことであまりつながっていなかったものが、今はインターネットのおかげで、「結構いるじゃん」みたいなことがあるのは大きいですよね。
古田秘馬: そういう人たちが集まるとマーケットができて、マーケットができると次に仕事ができる。そういう気がします。(終)
中村健太: お肉で支給されるんですか?
古田秘馬: 金本位制じゃなくて、肉本位制。これも仕事の新しいやり方だと思っているんです。自分じゃ1万円を丸々お肉にはなかなかつぎ込めない。でも「100グラム1万円の幻の肉」をもらったら、現金5万円をもらうぐらいの喜びに値するんです。原価1万円で、相手に5万円分のバリューを与えるということは、経済なんですよ。
これからは、こういう「価値観マネー」みたいな地域もあると思っています。今までは全方位に「仕事をやりませんか」という話でしたが、ある特定の「自分たちが持っているプロパティは、この人に一番価値がある」というのがあると、実は地域ってまだまだ輝くところがいっぱいあるし、物もいっぱい売れるんじゃないでしょうか。
中村健太: そうですね。「日本仕事百貨」は半分ぐらいが地域の仕事で、目の前の人に関わる仕事です。「自分がつくった物が、誰に届いているのかわからない。実感がない」というのは結構つらいものがありますよね。だからコミュニティの中で、顔の見える範囲で仕事をするって、すごくうれしいことなんです。これは脳科学的にも言われていて、ミラーニューロンという細胞のおかげで、相手の動作——例えば秘馬さんが水を飲むのを見て、僕は自分が水を飲んだように感じられるそうです。つまり、人は相手の喜びを、自分の喜びとして感じられるんです。
全方位に販売するのはビジネスとしてはおいしいかもしれませんが、人間の本質としては、目の前のコミュニティの中で生きていく方が、ぐっと来るんじゃないかと思います。
古田秘馬: マスマーケットではなくて、コミュニティマーケットみたいなものですね。そういえば、長崎県の対馬にツシマヤマネコという天然記念物の生態系を守るためにつくられた田んぼがあって、そこでつくられた「ツシマヤマネコ米」を東京のマルシェで売ったのですが、全然売れなかったんです。でも翌日、動物園のツシマヤマネコの檻の横で売ったら、ものすごく売れました。その人たちが買う理由って、無農薬とか有機栽培じゃなくて、「私が好きなネコを守っているんだ。だったら買う」ってことなんですよね。
仕事のあり方も多分同じで、必ずしもたくさん稼ぐことをよしとするわけじゃなくて、先ほどおっしゃっていた「土日もやりたいことか。ずっとやっていたいことか」という方向からのアプローチもあると思います。
中村健太: 今のお話を聞いていてふと思ったんですけれど、秘馬さんは「すでにある動物園の檻の前で売ればいい」ということを発見できるタイプ。つまり、「コミュニティがここにある」ということを発見してつなげる仕事なんですね。僕は「日本仕事百貨」を無料からつくっていったように、コミュニティをじっくりつくっていくスタンスなんです。何かその2つのアプローチがあるんじゃないかと、今の話を聞いていて思いました。コミュニティがあるところを見つけるか、自分でつくるか。そのどっちかなんじゃないかと。
古田秘馬: 海外旅行しているときに出会った日本人が同じ村の出身だったりすると、いきなり昔からの友達のようになることってありますよね? 何か1つ共通項が見つかった瞬間、一緒になれる。コミュニティや価値って、いくつかの共通項があると、つながりやすいのかもしれません。
中村健太: 昔は「こんな趣味は、自分一人だけかもしれない」ってことであまりつながっていなかったものが、今はインターネットのおかげで、「結構いるじゃん」みたいなことがあるのは大きいですよね。
古田秘馬: そういう人たちが集まるとマーケットができて、マーケットができると次に仕事ができる。そういう気がします。(終)
“生きるように働く”を支援する インデックス
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第1章 気軽にエントリーしづらい求人サイト「日本仕事百貨」
2012年12月10日 (月)
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第2章 新しい仕事のあり方を実践&提案する「シゴトヒト文庫」
2012年12月11日 (火)
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第3章 いい場は「人」から
2012年12月13日 (木)
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第4章 いい仕事の共通点
2012年12月14日 (金)
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第5章 なりたい職業より、なりたい状態を考えよう
2012年12月17日 (月)
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第6章 統合から新しい職業が生まれる
2012年12月18日 (火)
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第7章 太った人のコミュニティをつくったら、ものすごい価値が出た
2012年12月20日 (木)
-
第8章 価値って何だろう?
2012年12月21日 (金)
該当講座
中村健太(株式会社シゴトヒト代表取締役)× 古田秘馬(株式会社umari代表)
日々の生活、社会の問題も、ちょっとした工夫や思いつきで「楽しい毎日」になります。視点を変えるきっかけさえあれば、誰もが工夫し、参加できるのではないでしょうか。
シリーズ「街・人を変えるソーシャルデザイン」では「丸の内朝大学」「六本木農園」など、多くの街・人を巻き込む企画を実行するプロジェクトデザイナー古田秘馬氏をファシリテーターに迎えます。第1回のゲストは、WEBサイト「日本仕事百貨」を運営する中村健太氏。働いている人と、働きたい人の想いをつなぐ、新しい仕事の探し方をきっかけに、社会のありかた、生き方を考えていきます。
キャリア・人 文化
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