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活動レポート
地球はこんなに美しい-GRACE OF LIGHT ~つながりから生まれた写真集
アークヒルズライブラリーメンバーパーティ開催レポート
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地球はこんなに美しい-GRACE OF LIGHT ~つながりから生まれた写真集
アークヒルズライブラリーメンバーパーティ開催レポート
開催日:2019年10月28日(月)
文 / 蒼山 隆之(インタビュアー/六本木ヒルズ ライブラリーメンバー)2013年にオープンし、今年で7年目を迎えたアークヒルズライブラリー。
10月28日に、一年に1度のアークヒルズでのメンバーを対象としたパーティが開催されました。
第1部はゲストによるトークセッション、第2部は食事をしながらの懇親会の2本立て。
第1部のトークセッションは、2017年にとても大きな話題となった「注文をまちがえる料理店」(イベント型レストラン)をアークヒルズで実施したプロデューサー小国士朗さんと、多忙を極める広告代理店に勤務しつつ、休みを駆使して世界中の秘境へたった一人で出かけ作品を撮る「有休フォトグラファー」KYON.Jさんにお話を伺いました。
第1部はゲストによるトークセッション、第2部は食事をしながらの懇親会の2本立て。
第1部のトークセッションは、2017年にとても大きな話題となった「注文をまちがえる料理店」(イベント型レストラン)をアークヒルズで実施したプロデューサー小国士朗さんと、多忙を極める広告代理店に勤務しつつ、休みを駆使して世界中の秘境へたった一人で出かけ作品を撮る「有休フォトグラファー」KYON.Jさんにお話を伺いました。
小国士朗さん提唱「はみだしの、ススメ。」とは?
小国さんの現在の肩書きはフリープロデューサーですが、昨年まではNHKのプロデューサーとして社会課題を取材し、ドキュメンタリー番組を制作する日々を送っていました。しかし、多忙な業務の中、2013年に心臓病を患い、テレビ番組の制作という現場からは離れざるをえなくなりました。その後、大手広告代理店への9か月間の交換留学的異動経験も手伝い、「テレビという方法以外でどうやって価値を伝えるか?」ということを考えるようになりました。
というのも、「テレビ番組を制作していて、一生懸命取材して番組を作っても、『大切なことほど、届かない』、という歯がゆい思いがつねにありました。本当に届けたいと思うことが本当に届けたい人たちに届かないことが沢山あったんです。」と小国さん。
「リソースが潤沢にあるのに、自分だけで解決しようとする風土があった。そうではなく、課題を一度放り出して、人脈や才能を持ち寄ってみんなで一緒に解決すれば、それはムーブメントになるのではないか?」
まちがえたって、いいじゃない
そして生まれたのが「注文と配膳をするホールスタッフがみんな認知症のレストラン」を展開する『注文をまちがえる料理店』でした。
「ハンバーグをオーダーしたのに餃子が運ばれてきたり、フォークが同じ席に三本ぐらいあったりと、認知症だけではない、普通に誰にでも日常茶飯事的に起きる「間違い」を受け入れて、逆にそれをみんなで楽しんだんです。」
「ハンバーグをオーダーしたのに餃子が運ばれてきたり、フォークが同じ席に三本ぐらいあったりと、認知症だけではない、普通に誰にでも日常茶飯事的に起きる「間違い」を受け入れて、逆にそれをみんなで楽しんだんです。」
最初の企画で予想をはるかに上回る反響があり、世界中のメディアから取材を受けました。そして、第2弾では、開催資金をクラウドファンディングで集め、そのこともまた、メディアに取り上げられ、目標額にあっという間に達しました。
さらに、実際に提供される料理への協賛は、一風堂や吉野家などなどの名だたる大企業が名を連ねたのだそう。
さらに、実際に提供される料理への協賛は、一風堂や吉野家などなどの名だたる大企業が名を連ねたのだそう。
結果、2度にわたって開催したこの企画は想定外の大反響となり、ニューヨークタイムズやKBS、CCTVやアルジャジーラなど、実に世界150カ国のメディアに取り上げられ、大成功を収めることができました。
大事なのは「北風より、太陽」
「企画が世界中に配信されていくというのは、自分がこれまで抱えていたモヤモヤをブレイクスルーするものでした。」
そう語る小国さんが大事にしている考え方は、「Shared issue」つまり、「課題をシェアする。」ということ。
そして、「みんなが止まりたくなる指になっているか」、真ん中に据えたのは「まちがえちゃったけど まあ、いいか」ということ。
さらにもうひとつ、大事なのは「北風より、太陽」。
「一生懸命届けることも大事だけど、それだけだと、人はだんだん耳を塞ぎ、目を閉じたくなるんです。思わずコートを脱いでしまうような、「それって良いよね」と思えるような届き方、届け方に変わっていくことが大事であることを、これらの企画を通じて実感していきました。」と語ります。
今、打ち込んでいるプロジェクトはCを消すこと
小国さんが今現在注力しているプロジェクトが「delete C」。
「ガンをみんなで治せる病気にしよう。」というテーマを掲げ、誰もが参加できて、みんなでガンの治療研究を応援していける仕組みです。
例えば、商品名のロゴからCを消したC.Cレモンがサントリーさんから実際に販売される予定で、この商品を私たちが購入すると、その収益の一部が、ガン研究支援金の一部になるのだそう。
「今まで関わってこなかった、だけどすごく大事な問題であるガンという病気を、軽やかに皆さんが参加できる企画・仕組みになっています。なぜなら、Cが消えたC.Cレモンをただ買うだけで良いのです。」
この企画をスタートする発端になったのは中島ナオさんという女性の存在でした。現在ステージ4にあり、ガンを治せる病気にしたいという彼女の思いに応えるべく一緒に考え抜いて生まれたのが「delete C」というプロジェクト。
弱い「個」が、自分が本気で見たい”風景”を伝える。
ここにもまた先に小国さんが大事にしている「Shared issue」に通じるものがあります。
中途半端なプロより、熱狂する素人のほうが強い
「言わなきゃ始まらない、動かなきゃ始まらない。」今は、それがしやすい時代になっていると語る小国さん。
そしてもうひとつ、小国さんの座右の銘。「中途半端なプロより、熱狂する素人の方が強い」。
経験上、何か新しいことを始めるときに、「それは無謀だ」とか「やめたほうがいい」など、とめてくる人は中途半端なプロだということが多いのだそう。
「たとえば、YouTuberが出てきた時に痛烈にそれを感じました。最初こそひどいコンテンツを量産するYouTuberを酷いと思っていましたが、あれよあれよという間に小学生がなりたい職業一位になっていった。簡単に思考停止で切り捨てることは非常にカッコ悪いと思うし、熱狂するプロにたどり着くのは大変だけど、中途半端なプロよりも熱狂する素人でありたい。」ときっぱり言い切る小国さん。
はみだして、すすめ
この日のトークのテーマでもある「はみだしの、ススメ」を提唱する小国さんは、「はみ出さないと気づけなかった価値がある。」と振り返ります。
飛び出すと危ないかもしれないけど、はみ出すだけでも冒険することができる。でも、危なくなったら戻ることができる。働きながら冒険しているKYONちゃんを見ていてそう思うんです。」と、ご自身の話を締めくくりつつ、二人目のスピーカーKYON.Jさんへとマイクをバトンタッチしました。
地球はこんなに美しい-GRACE OF LIGHTーつながりから生まれた写真集
カメラを手にする前までは、広告代理店でプランナーの仕事をこなしつつ、コミケに出たり、漫画やフィギュアを買うことに勤しむ、いわゆる「オタク」だったそう。ある時、取材の仕事で急遽カメラを買うことになり、慌てて購入するも出番なく、一度も使われることなく、長い間自宅に眠っていたそうです。
その後、存在すら忘れるほどそのカメラを自宅のタンスに眠らせていましたが、ある時、映画『LIFE!』を観て覚醒したといいます。
『LIFE』の編集部でネガフィルムの管理を担当する単調な生活を繰り返していたベン・スティーラー扮する主人公ウォルターが、ひょんなことから世界中を旅してそれまでの人生が丸ごと変わるストーリーを描いた映画で、主人公に共感して大号泣。
そして、タンスにしまっていたカメラのことを思い出し、引っ張り出して、旅に行ってみようと急遽北海道へ。北海道の大自然の美しさに感動して撮った写真に感動し、多くの人へシェアしたくなり、風景写真の勉強をスタートしたのが始まりだそう。
『LIFE』の編集部でネガフィルムの管理を担当する単調な生活を繰り返していたベン・スティーラー扮する主人公ウォルターが、ひょんなことから世界中を旅してそれまでの人生が丸ごと変わるストーリーを描いた映画で、主人公に共感して大号泣。
そして、タンスにしまっていたカメラのことを思い出し、引っ張り出して、旅に行ってみようと急遽北海道へ。北海道の大自然の美しさに感動して撮った写真に感動し、多くの人へシェアしたくなり、風景写真の勉強をスタートしたのが始まりだそう。
独学で写真を学ぶ
普段は、多忙を極める大手広告代理店のプランナーとして働いているKYON.Jさんですが、どんなに仕事が忙しくても、毎晩2時間を確保して写真のレタッチや現像など、写真の勉強に取り組んだといます。
会場内に設置されたスクリーンに、夕焼けに照らされた渓谷が見事なコントラストを生み出している、アメリカのヨセミテ国立公園の美しい写真が大きく投影され、この写真を撮影した時のエピソードを語ってくれました。
「夕焼けに照らされるベストな一瞬をとらえるために3時間待ち続けて撮った写真なんです。自分の中では、その時の自分自身に感動したんです。この写真を撮ってから、もっともっといろんな世界を撮りたいと思いました。」
「夕焼けに照らされるベストな一瞬をとらえるために3時間待ち続けて撮った写真なんです。自分の中では、その時の自分自身に感動したんです。この写真を撮ってから、もっともっといろんな世界を撮りたいと思いました。」
家族旅行で訪れた母国、中国の桂林での衝撃
さらにスクリーンには、見事なモノクロの世界が切り取られた作品が映し出され、「この二色しかないモノクロのような写真を撮った時、価値観がガラリと変わりました。」と、その時の衝撃を語ってくれました。
その後、心のままに再び桂林へと赴き、雲海と夕暮れのシーンを撮ることに成功し、「私はこういうシーンを撮りたくて写真をはじめたのだ」ということに気づく旅となったそうです。
その後は、内モンゴルや中国雲南、ノルウェーのLOFOTENなどでも撮影の旅を敢行し、のちのち、KYON.Jさんのフォトグラファーとしてのキャリアの大きな前進となる初の写真展をソニーイメージングギャラリーにて開くことができました。
そして、この個展に来てくださった日経ナショナルジオグラフィックの編集者の方に「KYON.Jさんの写真にはストーリーを感じる」と言っていただき、写真集をリリースすることが決定したのだそうです。
その後、心のままに再び桂林へと赴き、雲海と夕暮れのシーンを撮ることに成功し、「私はこういうシーンを撮りたくて写真をはじめたのだ」ということに気づく旅となったそうです。
その後は、内モンゴルや中国雲南、ノルウェーのLOFOTENなどでも撮影の旅を敢行し、のちのち、KYON.Jさんのフォトグラファーとしてのキャリアの大きな前進となる初の写真展をソニーイメージングギャラリーにて開くことができました。
そして、この個展に来てくださった日経ナショナルジオグラフィックの編集者の方に「KYON.Jさんの写真にはストーリーを感じる」と言っていただき、写真集をリリースすることが決定したのだそうです。
一度しかない人生、やりたいことをしっかりやり尽くしたいけれど、お金がない!
オファーを受け写真集をリリースすることを決めたものの、まだ写真集に採用出来るレベルの写真が満足する枚数に達していませんでした。さらに、撮影したい国々へ行く旅の資金も枯渇していることを痛感していたKYON.Jさんに降ってきた恵みが、NHKから出向で来ていた同僚の小国さんとのつながりでした。
つながりが、つながりを呼び、多くの人に協力していいただいた写真集は無事に刊行され、現在大好評発売中となっています。
小国さんは、ちょうど「注文をまちがえるレストラン」のクラウドファンディングを活用して、第2弾の企画を大成功に収めていた時期。資金不足の状況を小国さんに相談すると、クラウドファンディングを強く勧められたのだそう。
相談の末にクラウドファンディングサイト「Ready For」でプロジェクトを立ち上げることになり、小国さんの担当キュレーターの方の多大なるご協力もあり、クラウドファンディングは大成功。当初は撮影希望国が4か国だったところ、結果的にはロシア、米国、インドネシア、ニュージーランド、中国、カナダと、6カ国を9ヶ月かけて巡ることができたそうです。
つながりが、つながりを呼び、多くの人に協力していいただいた写真集は無事に刊行され、現在大好評発売中となっています。
Orbisとの出会い
有休フォトグラファーの活動を通じて生まれた多くの人とのつながりの中で、とても大事な出会いがもう一つありました。
世界で一つの空飛ぶ眼科病院である「Orbis」というグローバルNPO団体との出会いで、それはKYON.Jさんにとって、とてもとても衝撃的だったといいます。
世界で一つの空飛ぶ眼科病院である「Orbis」というグローバルNPO団体との出会いで、それはKYON.Jさんにとって、とてもとても衝撃的だったといいます。
「私の活動はいろんな出会いに恵まれたから成り立っているし、写真もいろんな光に恵まれたから撮れたもの。写真展をやったときに出会った方がご紹介してくれたOrbisの活動に感銘を受けたのです。だから展示販売した作品の売り上げをOrbisに寄付したい!という想いのもと2回目の写真展を開催しました。」2回目の写真展での利益は150万円。最初の想い通り、その全額をOrbisへと寄付されたそうです。
コミケオタクからべつのカテゴリーのオタクへ
「旅する前まではギャルメイクでしたが、今はテロリストみたいな格好になっています(笑) 。」とくったくのない笑顔をみせるKYON.Jさん。
「漫画オタクから写真オタクにシフトしたことで格好もこんなに変わるのかと思いました。これまでのすべての出会いに感謝します。」という感謝の言葉でトークイベントを締めくくり、背伸びしないありのままの自分を思いきり表現したKYON.Jさんに、満席の会場から温かな拍手がいつまでも贈られました。それはまるで、ピュアで情熱的な歩き始めたばかりのフォトグラファーへの応援のようでした。
「漫画オタクから写真オタクにシフトしたことで格好もこんなに変わるのかと思いました。これまでのすべての出会いに感謝します。」という感謝の言葉でトークイベントを締めくくり、背伸びしないありのままの自分を思いきり表現したKYON.Jさんに、満席の会場から温かな拍手がいつまでも贈られました。それはまるで、ピュアで情熱的な歩き始めたばかりのフォトグラファーへの応援のようでした。
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トークの後はパーティ会場に移動して懇親会が行われました。
KYON.Jさん、小国さんと共にクイズ大会あり、談笑ありと、普段は顔を見かける程度のライブラリーメンバー同士でも大いに交流を楽しんでいる様子でした。
また、会場で販売したKYON.Jさんの写真集『GRACE OF LIGHT』の販売も上々で、購入いただいた写真集へのサイン、そして一緒の写真撮影とで、KYON.Jさんは終始大忙しでした。
何かしらの自己実現をしたいと考えている人の背中を押してくれるような、とても刺激と聞き応えのあるトークイベントと、参加者の笑顔と笑い声にあふれる素敵なパーティとなりました。
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