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活動レポート

森美術館「アラブ・エクスプレス展:アラブ美術の今を知る」に行ってきました!

~六本木ライブラリーの書籍も、アラブラウンジに並んでいます~

活動レポート

アカデミーヒルズ スタッフの活動レポート

文・撮影/小林(幸)


アハマド・マーテル
《マグネティズム》 2012年
フォトグラビュール・プリント 62×81 cm
Courtesy: Edge of Arabia

磁石が鉄を引き付ける科学の構造と宗教上の構造の類似性を思い起こさせる作品

ミーラ・フレイズ
《グラディエーター/マドンナ/ダンス・ウィズ・ウルブス》
2010年 Courtesy: XVA Gallery

イスラム女性が顔を隠すヴェール=ブルカを連想しますが…

マハ・ムスタファ 
《ブラック・ファウンテン》
2008/12年

石油や油田や、油田炎上による大気汚染で一時的に発生した雨をイメージしたものだそうです

森美術館にて開催中の「アラブ・エクスプレス展」(2012年6月16日(土)~2012年10月28日(日))に行ってきました。

正直なところ、アラブというと物語や歴史的なこと、民族衣装、最近では紛争・テロ・対立などのイメージしか浮かびませんでした。しかし、実際に展示を見ることで、今のアラブ地域の人々の意識や問題を、ぐっと身近に感じられたように思います。

現代アーティストの問題意識により創られた作品を、見て考えるということが、とても面白く感じられる展示でした。アラブから遠く離れた日本で、その作品がなければ考えもしない世界のことに触れられるのが、アートの力でしょうか。

正確に言えば、作品を見ただけで、正しくその社会や風習や意識がわかるわけではないのですが、自分なりに今まで持っていたイメージが、変わったりくつがえされる感じが、今回の展覧会ではダイナミックに感じられ、興味深かったです。

とはいっても一人で見ても、その作品が何を意識して、何を訴えたかったのかは、なかなか分かりません。今回も美術館のキュレーターの方による、「アーティストの思い」や「その社会背景」などの話を聞きながら鑑賞したことで、現代のアラブ地域の人々の生活や社会問題、意識を身近に感じることができたように思います。(アラブ地域といっても、なかなか一括りにはできないですが…)
ということで、ギャラリートークや音声ガイドは、現代美術鑑賞の際は特におススメしたいです。

そして、今回の展覧会の最後には、アラブの様々なことを伝える一つの手段として、「アラブ・ラウンジ」が設けられています。そこには、作品を補完するように書籍やアラブの情報が、手に取りやすく、見やすく配置されています。

現代アートが好きな方も、本が好きな方も、ぜひ会期中に足を運んでみてください。きっと、新しいアラブのイメージと出会われることと思います。


シャリーフ・ワーキド 
《次回へ続く》
2009年 所蔵:シャルジャ芸術財団


テロリストが犯行声明を発表しているように見えますが、実は『千夜一夜物語』を読んでいるという映像作品。

先入観を持って見ている自分自身に、ドキッとします。




ジョアナ・ハッジトマス & ハリール・ジョレイジュ
 《戦争の絵葉書》
(「ワンダー・ベイルート」シリーズより)
1997/2012年 所蔵:シャルジャ芸術財団


ジョアナ・ハッジトマス & ハリール・ジョレイジュ作品の《戦争の絵葉書》は、絵葉書をおみやげとして1枚持ち帰れる作品です。(アカデミーヒルズスタッフも、真剣に選んでいます。)



アーデル・アービディーン 《アイム・ソーリー》
2008/12年


作品をシェアできる飴のお土産があります。(1人1つです!)




「アラブ・ラウンジ」には、六本木ライブラリーの本も並んでいます



「MAMプロジェクト017:イ・チャンウォン」展 


イ・チャンウォン 《パラレル・ワールド》
2011年

「アラブ・エクスプレス展」と同時開催の「MAMプロジェクト017:イ・チャンウォン」展 にも、素敵な世界が広がっていました。


机上には新聞・雑誌の報道記事の切り抜きが置かれ、スポットライトが当てられています。切り抜きの下に置かれた鏡に光が反射し、壁に光と影によるもう一つの世界が描き出されています。