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坂の上の雲がない時代をどう生きるか?

~東京大学 前総長が語る「プラチナ社会」~

ライブラリートーク

【ライブラリートーク・レポート】
「課題先進国」日本 ~持続可能社会の実現に向けて~
スピーカー:小宮山 宏(東京大学 前総長/総長顧問/EMP チェアマン/株式会社三菱総合研究所 理事長)
2011年2月1日(火)開催

スピーカーの小宮山宏さん
スピーカーの小宮山宏さん
2010年は、坂本龍馬や、司馬遼太郎作の『坂の上の雲』など幕末から明治時代の力強い日本に注目が集まった年でした。近代国家を目指した日本は、欧米という雲を追いかけ成長し、戦後の高度経済成長期を経て世界第2位の経済国の地位まで登りつめました。

しかし、先進国はモノやサービスが溢れ、需要不足に陥っています。追随している中国や韓国もいずれ同じ状況になると言われてます。坂の上の雲がなくなった今、先進国は自ら課題を設定し解決していかなくてはいけない時代へと突入しました。

世界中で高齢化が進行し、今後中国も含め新興国も高齢化社会への階段を上ることになります。環境問題、高齢化問題、飽和した世界が抱える様々な課題に対し、世界は未だ解決策を見出せないでいます。課題を設定し解決策を導く、そんなリーダーが求められています。

今回のライブラリートークのスピーカー小宮山宏さんは、直面する課題を高いレベルで解決していく「プラチナ社会」を提唱しています。
「プラチナ社会」とは、民力でつくる21世紀の新しい社会モデル。快適な生活を続けるために、環境、医療・健康、教育、インフラ整備などの分野で産業を活性化させる持続可能な社会のことです。

会場は満席となりました
会場は満席となりました

戦後、日本は坂の上の雲を追いかけ、公害やエネルギー問題をも解決してきました。先進国として無意識に課題を解決してきたのです。幸い?にも日本は課題が多い国です。これをチャンスと捉え、ものづくり力、教育力に加え強いメンタリティーを養うことで、自ら課題を設定していく課題先進国になるべきだと小宮山さんは言います。
課題設定能力を持つリーダーに、今こそ日本がなれるのではないかと--。

そして、これからの時代を牽引するリーダーは、世界規模かつ50年後を見る目を持たなくてはいけないと話します。世界の流れを俯瞰して捉える人材を育てるために、小宮山氏は東京大学EMPをはじめられました。
「日本を支える人が1000人集まれば、日本は変わるかもしれない。ネットワークによるオープンイノベーションを実現させたい」と最後に力強いメッセージをいただきました。

参加したメンバーからは、下記のような感想をいただきました。
・仕事において、どのように組織の中でリーダーとして取り組んでいけばいいか迷っていましたが、改めてそのヒントをたくさんもらいました。
・普段語られない日本の優れた一面を知ることができ視点が変わり前向きになりました。
・坂の上の雲がない時代、自ら課題設定をして行動する重要性についてわかりやすくお話いただきました。

「元気が出た!」と語るメンバーが続出。ライブラリートーク後も、小宮山さんを囲み質問するメンバーが絶えず、白熱した夜となりました。

関連書籍

「課題先進国」日本 キャッチアップからフロントランナーへ

小宮山宏
中央公論新社

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