六本木ヒルズライブラリー
ライブラリアンの書評 2022年5月
毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?

「資本主義」ってなに? と、小学生の子供に聞かれ、「市場経済で回っている、今のような世の中のことだよ」と答えたのですが、それは適した回答とは思えない、「資本主義」を問われてうまく答えられない自分がいる! それはいけない、と書店を歩いていたら目に飛び込んできた本書。「今まさに読むべき!」と一気読みでした。
改めて「資本主義」を問う本が増えています。それは資本主義そのものが揺らいでいるからでしょう。資本主義が持つ「非資本主義を前提にしなくては存在できない」という構造、それ自体が矛盾であり、その限界が世界あらゆるところで噴出しています。
言葉としては単一でも、18世紀に興った資本主義は時代とともにその姿を変え続けています。そもそも資本主義とは「あくなき利益を得るための社会制度」であり、「利潤を追求するために、常に休まず動き続ける」ものです。地球資源には限界があり、利潤の追求にも限界があります。産業資本主義から金融資本主義、暴走する資本主義、そして「資本主義のその先」を問う議論もされています。
私たちが生きる現代において当たり前のようにある、ように見える資本主義。その歴史を見ていくことで、理解の解像度を上げていくことが大事であり、次に子供に聞かれたらきちんと答えられるようにしておきたい! ところです。
改めて「資本主義」を問う本が増えています。それは資本主義そのものが揺らいでいるからでしょう。資本主義が持つ「非資本主義を前提にしなくては存在できない」という構造、それ自体が矛盾であり、その限界が世界あらゆるところで噴出しています。
言葉としては単一でも、18世紀に興った資本主義は時代とともにその姿を変え続けています。そもそも資本主義とは「あくなき利益を得るための社会制度」であり、「利潤を追求するために、常に休まず動き続ける」ものです。地球資源には限界があり、利潤の追求にも限界があります。産業資本主義から金融資本主義、暴走する資本主義、そして「資本主義のその先」を問う議論もされています。
私たちが生きる現代において当たり前のようにある、ように見える資本主義。その歴史を見ていくことで、理解の解像度を上げていくことが大事であり、次に子供に聞かれたらきちんと答えられるようにしておきたい! ところです。
(ライブラリアン:結縄 久俊)
アカデミーヒルズのポッドキャストでも
ご紹介しています。ぜひお聞きください。
ご紹介しています。ぜひお聞きください。
資本主義全史
的場昭弘SBクリエイティブ
注目の記事
-
04月22日 (火) 更新
本から「いま」が見えてくる新刊10選 ~2025年4月~
毎日出版されるたくさんの本を眺めていると、世の中の"いま"が見えてくる。新刊書籍の中から、今知っておきたいテーマを扱った10冊の本を紹介しま....
-
04月22日 (火) 更新
aiaiのなんか気になる社会のこと
「aiaiのなんか気になる社会のこと」は、「社会課題」よりもっと手前の「ちょっと気になる社会のこと」に目を向けながら、一市民としての視点や選....
-
04月22日 (火) 更新
米大学卒業式の注目スピーチから得られる学び<イベントレポート>
ニューヨークを拠点に地政学リスク分析の分野でご活躍され、米国社会、日本社会を鋭く分析されているライターの渡邊裕子さんに、アメリカの大学の卒業....
現在募集中のイベント
-
開催日 : 05月19日 (月) 12:30~14:15
ジェラルド・カーティス氏 特別講演「これからの民主主義」
コロンビア大学政治学名誉教授のジェラルド・カーティス氏をお迎えし、トランプ政権の今後の展望と、これからの民主主義の可能性についてご講演いただ....