会員制ライブラリー
書 籍
ライブラリアンの書評 2021年6月
毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?

すぐに目に見えるものではないけれど、あの人も、あの人も、きっとあの人も、ついさっき手を洗っただろう。手を洗うのは、当たり前。その当たり前の、新しさ。
”こんなにじっくり自分の手を見たのは久しぶりだ”
「手洗いに関する叙事詩である」と謳う本書に連なる「手洗い」の洞察。手を洗うことに関して、そんなに深く考えたことはなかった気がする。それは真面目なのかふざけているのか。あるいは真面目にふざけて本気で遊んでいるのか。
”あなたの手が触れたものをよく思い出すこと”
手洗いが不可欠なエチケットとして日常的なものになってからずいぶん経つ。「マスク」は周囲に見えるけれど、「手洗い」は個人的にされるものであまり見えない。もちろん今までもマスクはしたし、手洗いもしたけれど、その頻度は変わった。以前はそこまで手洗いをしなかった気がするけど、それも曖昧になりつつある。
”夢の中で手を洗うことはあまりない”
連なる文章の捉えどころのなさに戸惑いながら、そういえば、少し前によく言われた「先が読めない時代=VUCA」とすっかり言わなくなったことを思い出す。それはつまり「先が読めない」のがもはや当たり前だからだ。
捉え所のなさ、わからなさが日常だからこそ、本書は「今」を読んでいる心地になる。なんだか音楽みたいな文章だ。音楽は次の瞬間にはもう、次の音が鳴っている。
捉え所のなさ、わからなさが日常だからこそ、本書は「今」を読んでいる心地になる。なんだか音楽みたいな文章だ。音楽は次の瞬間にはもう、次の音が鳴っている。
(ライブラリアン:結縄 久俊)
新しい手洗いのために
TOLTA素粒社
注目の記事
-
05月20日 (金) 更新
CATALYST BOOKS vol.4
イベント「カタリスト・トーク」の登壇者が紹介する「理解を深める1冊」。今回、近藤弥生子さんが紹介するのは『他者の靴を履く ~アナーキックエン....
-
04月19日 (火) 更新
「アカデミーヒルズ バーチャル背景」公開中!
「書棚」「景色」「イラスト」など、アカデミーヒルズの画像を公開中!今月のバーチャル背景は、六本木ヒルズライブラリー「ワークスペース」の画像を....
-
04月18日 (月) 更新
配信スタート!ライブラリーのポッドキャスト「誰もが学びを得られる場」
LIBRARY PODCASTでは、「誰もが学びを得られる場」をコンセプトに、音声で気軽にお楽しみいただけるトーク番組を配信しています。
現在募集中のイベント
-
開催日 : 06月04日 (土) 18:00~19:00
慎泰俊さんとみんなで話そう!
六本木ヒルズ49階に集まり、会話を楽しむ“Library Lounge Talk”。6月のスピーカーは途上国の人々に金融サービスを届けるマイ....
「世界の不条理を正すために、個人が果たせる事って何だろう」
-
開催日 : 05月30日 (月) 20:00~21:00
サントリー流 サステナビリティ経営
日本発グローバル企業サントリーのサステナビリティ経営について、新浪社長ご自身の経験や直面する課題を基に議論します。
The Suntory way: Putting sustainability at the core of its business
-
開催日 : 05月27日 (金) 19:00~21:00
浜田敬子「地方と都市の幸せな関係」-地方の変革者の視点から都市との『つながり』を見直す
カタリスト浜田敬子さんのテーマは「地方と都市の幸せな関係」。最終回は、Next Commons Labファウンダーの林篤志さんと奈良市長の仲....
第5回:林篤志さん、仲川げんさんと「地方自治体の未来」を超える