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ライブラリアンの書評    2020年4月

毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?



日常生活の変化を余儀なくされる今、今まで以上に身体との対話が増えたような気がします。
油断しているとほとんど身体を動かさずに一日が過ぎていく。。。それでもできるかぎり快適で上機嫌な身体でいたいものです。
 
生まれてからもこれからも、付き合い続ける「身体」について。今回は西洋医学の医師であり、合気道をはじめとする東洋的身体活動に関わっている著者が、「身体感覚を発揮して生きるとはどういうことなのか」について考える本書をご紹介します。
 
人生を左右する重要な出来事。例えば引越し、進学、就職、結婚など、本当はしっかり準備をしたいところではあるのですが、実際は不充分なまま…先に進んでいきます。結果が正解かどうかは誰にもわからず、判断はその時点における「自分の身体」そのものでしかない。そんな「非分析的判断」は、先が見えないこれからも下し続けることが予想され、その精度を上げるために本書は、M・チクセントミハイの「フロー理論」を紐解きます。フロー=時を忘れるくらいに集中して対象に取り組んでいる状態、とはどういうものか。フローを阻害するものとは何か。より最適な解に至るための身体感について著者は考察を深めます。
 
そして医師が患者と向き合い診断する際の指針は、自身の身体感。現代医学という西洋的知見はもちろんのこと、著者は合気道にも通じ、東洋的な視点からも身体を見つめます。西洋文明的に構築された現代に東洋的な思想を持ち込むことで、身体そのものを揺らぎや曖昧を含めた存在として見つめる視点が丁寧です。

著者の筆致と洞察に寄り添いながら、改めて自分の身体を見つめてみます。俯瞰するように遠くから。あるいはひとつひとつの指の間の皴にまで意識を働かせるくらい細部にも。首、肩、胸、腰、ひとつひとつの部位に意識を集中させると、どのように感じられるのか。立っているときの足の裏には、どれくらいの重さが感じられるのか。
  
はるか昔から人の身体は0と1に収斂されるようにはできてはおらず、人それぞれ固有のものであると同時に、唯一の社会との接点です。快適で機嫌の良い身体でいるために知っておきたい「身体」のこと。逃げも隠れもできない自分の身体について、もっと向き合い対話をして、自らの指針を持つことが必要と思われました。
 


  (ライブラリアン:結縄 久俊)


身体的生活 医師が教える身体感覚の高め方

佐藤友亮
晶文社


 

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