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ライブラリアンの書評    2019年7月

毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?




最近の書棚で目に付くキーワードは「アート」です。先の読めない時代だからこそ、未知なる世界を切り拓くのが「アート」の力。「ビジネス×アート」を謳う書籍も増えています。

加えて最近の美術館・美術展の人気には目を見張るものがあります。話題の展覧会であれば長い行列は当たり前。特にスマホ片手の若い世代の来場者が多く、「撮影OK」のアート作品をSNSで発信すれば、次なる鑑賞者につながることは、想像に難くありません。


今回紹介する「シェアする美術」によれば、本来美術館は「シェアの思想」がルーツにあるそうです。例えばルーブル美術館、元は王族・貴族の所蔵品だったアート作品は、フランス革命を経て一般市民に開かれる=シェアされるようになりました。加えて近年、アート作品はSNSを通して美術館を飛び出し、広く世界に「シェア」されるようになっています。
 




SNS・デジタルマーケティングを駆使して入場者数を伸ばす森美術館。2018年には美術展覧会入場者数1位・2位を達成しました。

・広告や販促が帯びる「売りたい気持ち」は、つもりがなくても文字に出る
・秒の戦い。すぐに流れてしまう文字情報、伝えたいことは最初の1行だけ
・あえて「言わない」。伝えたいことを伝えるために、あえて多くを伝えない


SNSの向こうにいるのは、ひとりひとりの生身の人です。その「誰か」を想像し、その人に届くように、丁寧に言葉を紡いでいく。目にするのが文字情報だけだったとしても、にじみ出てくる「温度」と「気持ち」に人は共感し、シェアを生みます。SNSについて深く考え、トライ&エラーを繰り返しては新たな試みを続けてきたからこそ語られる言葉が本書にはあります。


芯にあるのは「より作品を観てもらいたい・体験してほしい」という思い。モノ消費からコト消費に移行しつつある現代、だからこそ若い世代の来場者が増えているという側面もあるでしょう。

アート作品を体験し、シェアをする。その流れはますます加速していきそうです。
 


  (ライブラリアン:結縄 久俊)
 

シェアする美術—森美術館のSNSマーケティング戦略

洞田貫晋一朗
翔泳社


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