六本木ヒルズライブラリー
書 籍
ライブラリアンの書評 2018年11月
毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?

「〇〇の秋」とはよく言ったもので、食にアートにスポーツに、何かしら行動したくなるものです。そして読書もしかり、この季節に本を読みたくなるのはなぜでしょう?
暑い夏を経て過ごしやすくなり、ちょうどよく冷やされた頭に読書がちょうど良いから? 年の瀬の慌ただしさを目前に、まだゆったりとした今の季節に最適な行為が読書だから? もっとシンプルに、秋が「読書熱」を呼び覚ますから?
先日、秋が深まる上野公園を訪れたのですが、それはもうたくさんの人であふれていました。心地よく晴れた陽気はもちろん、フェルメール・ムンクをはじめとした、様々な美術展が催されていたこともあるでしょう。
数年前に比べて秋の上野の森は人であふれている気がします。皆が芸術を求めている、アート熱が増しているように思えてなりません。
数年前に比べて秋の上野の森は人であふれている気がします。皆が芸術を求めている、アート熱が増しているように思えてなりません。

最近のライブラリーの書棚にも、「ビジネスの行き詰まりをアートで突破せよ」的なタイトルが多数見られます。そんな書棚で目に付いたのが、今回ご紹介する『書物のある風景』。本にまつわるアート作品に彩られた一冊です。
いずれのアート作品も、本にまつわるものばかり。本は寡黙でいながら時に人生を変えうる力を持ち、あるいは戦火に燃やされ権力に禁止されるような歴史を辿ってきました。そんな様々な背景を、作品たちから読み取ることができます。
時代が流れ、人にまつわる衣服や調度が変われども、今も変わらない形態で手にする「本」。電子書籍での読書スタイルは徐々に浸透してはいますが、やはり幼い頃から手に取り、肌に馴染んでいる「本」という形態は、そう簡単に変えられないものに思えます。
心が赴くままの読書熱に導かれ、本を手に取り、読むあなたの姿それ自体がひとつのアート。本書の原題は「Reading Art : Art for Book Lovers」です。
(ライブラリアン:結縄 久俊)
書物のある風景
ディヴィッド・トリッグ : 赤尾秀子創元社(大阪)
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