記事・レポート

チャイナ・フリー 中国製品なしで暮らす1年間

~今求められる消費者の品格~

更新日 : 2008年10月29日 (水)

第1章 なぜ「中国製品を買わずに1年間生活してみよう」と思ったのか

『チャイナフリー』の著者サラ・ボンジョルニさん
サラ・ボンジョルニ:本日は、私が消費者として家族で1年間、中国製品のボイコットを行った結果、何を学んだか、そして私が消費者としてどのように変わったかということをお話ししていきたいと思います。

まず最初にお話ししておきたいのは、なぜこのような実験を行ったかという目的です。そして、どのようにそれが始まったのかをご説明したいと思います。

国際貿易、対中貿易は政治的な話ですが、今回の私の試みは政治的なものではありませんでした。また、輸出に関連した問題、例えば人権問題や失業問題、あるいは環境問題といったことに関する抗議としてやったわけでもありません。

今回のボイコットは、私たちの家族がグローバルな経済とどうつながっているのか、具体的には中国の輸出経済にどうつながっているのかを、個人的な形で知りたいと思ったからはじめたものです。つまり、中国製品なしで生活することができるのかどうか、やろうとするとどれだけ難しいのか、ということを知りたかったのです。通常、国際貿易という話になると、数字や政治の話が出てきますが、今回は、そういったことには触れておりません。

内容としては、キャンディやおもちゃ、私の家族のこと、靴などのお話をしていきたいと思います。なぜかというと、こういうことがあって初めて、中国に対する自分の家族のつながりというものが本当に分かったからです。

さて、なぜこのようなことをやろうと思ったのかというと、きっかけは2004年のクリスマスでした。クリスマスの直後にこのアイディアを思いつきました。リビングルームに夫のケビンと一緒に座っていたのですが、まだクリスマスの2日後だったため、クリスマスにもらったプレゼントのおもちゃなどが床中に散らばっていました。それを眺めていたら、プレゼントの多くが中国製だと気づいたのです。気になってほかのものも調べてみたところ、部屋にあるものの多くが中国製でした。

そのとき、私はケビンに向かって、こう言ったのです。「アメリカの中産階級の家族、私たちみたいな家族が1年間、中国製品を買わずに生活できると思う?それを実験としてやってみたくない?いい考えだと思わない?」と。するとケビンは心配そうな顔をして言いました。「いや、そんなことはできないよ。僕はそんなことにトライしたくない」

私は説得しました。そして「家族にとって興味深い実験だ」ということを最終的にケビンに納得させ、2005年の1月1日から1年間、中国製品のボイコットを始めることになったのです。「Made in China」というラベルのついたものは買わない、ということです。

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Sara Bongiorni (ジャーナリスト)
坂東眞理子 (昭和女子大学学長)
雨宮寛 (コーポレートシチズンシップ代表取締役)
今井章子 (コーポレートシチズンシップ取締役)

中国——この急成長を遂げる屈指の製品輸出国ほど、21世紀のグローバル経済が引き起こす功罪に深く関わっている国はないでしょう。中国製品には、安心・安全、環境問題、格差問題、資源獲得競争、少子高齢化など、世界の多くの国が共有する社会問題が凝縮されているといってもいいでしょう。しかし、私たちはそうした問題....


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