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活動レポート

フィジカルな紙の魅力を再考する「ブックデザイン・アーカイヴス」

〈エントランス・ショーケース展示〉

更新日 : 2023年04月10日 (月)


美しい書物とは、どのようなものなのでしょうか。
今回は「フィジカルな紙の魅力を再考する~ブックデザイン・アーカイヴス」と題し、私たちが日常的に手にする「本」という物の存在を、新しい視点で捉えなおす展示企画です。
私たちが手にする一冊の本。
その紙の中には、数々の「思い」や「プロセス」が凝縮されています。
本の制作には企画、執筆、撮影、編集などの工程があり、作者をはじめ、数多くの人々の綿密なコミュニケーションがあります。それらの「人々の思い」が込められて制作されたもの、それが私たちが手にする一冊の本です。
制作過程において、素材の選択や印刷・製本方法の検討、タイポグラフィや組版の詳細なデザインなど、印刷所やデザイナーがかかわり、著者や編集者とともに制作されます。本が本としての形態を持つまでには、想像以上の人々の手が加わっているのです。
今回展示されているのは「電子書籍元年」と言われる2010年前後に発刊された書籍たち。その10年間を捉えなおすことで、この時代のブックデザインシーンを包括的に捉える試みとなっています。
展示されている本は、それぞれ「記録/保管する」「伝える/表現する」「翻訳/変換する」「試みる/実験する」という分類がされています。作者たちの思いが込められた本たちは、「書物」というものが秘めた可能性を多様な形で表現しています。
19世紀末イギリスの芸術家・思想家のウィリアム・モリスは、かつてこのような言葉を遺しています。
”最も重要な芸術を問われたなら「美しい家」と答えよう、
その次に重要なのは「美しい書物」と答えよう─。”
本展示を通して、あなた自身にとっての「美しい書物」とは何なのか、を探してみてはいかがでしょうか。


企画:工藤眞平(合同会社SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS)/
企画協力:三條陽平(ORDINARY BOOKS)、西山萌(編集者)/
会場グラフィック:加納大輔(グラフィックデザイナー)


※開催は2023年6月下旬までを予定しています