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ライブラリー新着書籍 1月のおすすめ本
「個人が力を伸ばしていくための本」「センスの良さと知性を兼ね備えた本」が続々と入荷している六本木ライブラリー。今月届いた本は何? 新着本からお薦め書籍をご紹介します。

新しい年を迎えたということは、ひとつ年をとってしまったということ。今年はどんな一年にしようか。どんな新しいことを今年はやろうかな、と考える時に、「世界一の牛肉を探すんだ!」と決意する人もあまりいないでしょうが、『ステーキ ! 世界一の牛肉を探す旅』は、目標とその達成の記録としてみても面白い。まず世界中のいろいろな牛肉を食べ歩く。それでは足りなくなったので、自分で牛を飼い、それをステーキにして食べる。そこまでしないと自分にとっての世界一の牛肉にはならないわけで。そんな流れをなるほどねと思えるということが、他人の知識や経験を、自分のものとする読書の喜び。それが味わえます。

年頭にあたって過去のことを「水に流す」ことが素直にできてしまう日本人は、去年自分が何をしたか、自分は何を達成できて、何をできなかったのかといった、レビューをきちんとすることが、あまり得意ではないような気がしています。去年の私は何をした? 子どもの時は? 毎日、何を思って暮らしていたのだろうか・・・? 『海にはワニがいる』は、アフガニスタンの少数民族として生まれた少年の壮絶な物語。20歳にもまだ遠いこの少年が経験してきたことは、同じアジアに生きる私たちが、決して目をそむけてはいけない今の現実です。大規模な禍である東日本大震災がすぐそばで起こるまで、他の人の痛みを自分のこととすることを怠っていたこと、そして今もそうである自分が、少年のピュアなまなざしによって浮彫りになってしまいました。それでも、読むことができてよかったと思います。

それなりに長く生きてきて、ある程度世の中からの評価も受けることができた。でも、今年はどうしようか。何か新しいことって? ヒット作も多い人気漫画家、柳沢きみおさんは、連載の打ち切り通告を受けました。そしてそれならばと、夢であった大人向けエッセイ連載を目指します。突如、見ず知らずの雑誌にファックスを送りつけ、「ありえないこと」が現実になることを実感しました。了解してくれた編集長がとにかく連載開始まで生きていて下さいと祈りつつ・・。外から見る成功と、本人の気持ちは、また違うものですよね。とにかく何か新しいこと、目指さなくてはいけないと思います。
(ライブラリーアドバイザー:小林 麻実)
ステーキ!—世界一の牛肉を探す旅
マーク・シャツカー【著】,野口深雪【訳】中央公論新社
海にはワニがいる
ファビオ・ジェーダ【著】,飯田亮介【訳】早川書房
なんだかなァ人生
柳沢きみお新潮社
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
ジョナサン・サフラン・フォア【著】 近藤隆文【訳】NHK出版
自己愛過剰社会
ジーン・M.トウェンギ, W.キース・キャンベル【著】,桃井緑美子【訳】河出書房新社
7つの危険な兆候—企業はこうして壊れていく
ポール・カロル, チュンカ・ムイ【著】 谷川漣【訳】海と月社
ブラック・スワン降臨—9・11‐3・11インテリジェンス十年戦争
手嶋龍一新潮社
「習慣で買う」のつくり方
ニール・マーティン【著】,花塚恵【訳】海と月社

会社と仕事を変えるデザインのしかけ—残念な会社から、イケてる会社になるためのデザイン戦略
中野由仁クロスメディア・パブリッシング
「生」の日ばかり
秋山駿講談社
できることをしよう。—ぼくらが震災後に考えたこと
糸井重里, ほぼ日刊イトイ新聞編集部新潮社
略奪大国—あなたの貯金が盗まれている!
ジェームス・スキナーフォレスト出版
だから、僕らはこの働き方を選んだ 東京R不動産のフリーエージェント・スタイル
馬場正尊,林厚見,吉里裕也ダイヤモンド社
金融が乗っ取る世界経済—21世紀の憂鬱
ロナルド・フィリップ・ドーア中央公論新社
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