六本木ヒルズライブラリー
書 籍

ライブラリアンの書評    2019年10月

毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?




スッスッスッ テクテクテク スタスタスタ ドシドシドシ


目の前を歩く人を見ていると、歩く擬音はさまざまです。歩き方は人それぞれで、似ているようで似ていません。当たり前すぎて意外と気にしていない「歩く」こと。自転車、自動車、電車、飛行機、移動手段の進化に現代人は歩く機会も少なくなっていますが、それでも基本は「歩く」こと。皆さん、日々歩いていますか?

 
日本人の足形の豊富なデータから、様々な分析を通して「歩くことのメカニズム」を紐解く本書。歩くとは、まず片足のかかとにかかった体重が、土踏まずを通り抜けてつま先から重さが抜けていく、それを片足ずつ繰り返す行為。自分がどのような歩き方をしているか。身体の揺れ(ぶれ)はどうか。姿勢はどうなっているか。速度はどうか。長年の蓄積、身体の癖は、確実に歩き方にも現れてきます。

甲の高さ、アーチの描き方、指の長さ、人によって足形は違います。自分はどういう足形なのかを知った上での靴選びが重要と、本書は推奨します。お洒落な靴もいいけれど、足に負担をかけて痛めるのもいけません(美学の問題もありますが)。年を重ねても若い歩き方のままの人もいれば、すっかりくたびれた歩き方の人もいます。それは日々の歩行の積み重ねの結果です。


ポイントは、「足は50歳を境目に変化を迎える」こと。


子供の足は小学校高学年から中学生にかけて大きく成長し、18歳頃に「大人の足」になって成長は止まります。その後変化はないのですが、加齢に伴う身体の変化から、50歳を境目にまた足は変化をはじめます。歩く速度、姿勢、そして自分の足形や歩き方を意識するかしないかで、その先の「歩く」ことに大きな影響が生じるそうです。

 
できる限りに美しく、颯爽と、若々しくありたい。まずは「歩く」ことを今少し、意識してみようと思いました。

 
 
 

  (ライブラリアン:結縄 久俊)


 

究極の歩き方

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