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ライブラリアンの書評    2017年4月

毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?



最近ではすっかりスマートフォンが手放せなくなり、職場ではPCモニターを見つめ続け、街を歩いていれば巨大スクリーンやデジタルサイネージが次々と映像を流しています。

テクノロジーが日常を覆い、目にするスクリーンが増殖していく中で、もしかすると「生身の誰かと目を合わせる」という機会は少なくなっているのかもしれません。
今日もどこかの喫茶店では、カップルが向かい合わせでスマートフォンを媒介に、会話をしたりしなかったりします。

「話を聞くときは、ちゃんと人の目を見て聞きなさい」
とは、幼いころ先生に教えられたことです。

それから素直に、話を聞くときは目を見て聞くようにしていましたが、大きくなるにつれ、どうやらあまりにも人の目をじっと見続けることは、逆に失礼にあたるのでは、と思うようになりました。
というわけで、時折目を合わせては目をそらす術をいつの間にか身につけました。


以前、とある研修を受けた際に「相手と見つめ合う」というワークがありました。
初対面の人とパートナーになり、しばらく見つめ合ったのですが、時間が経つにつれて胸のあたりがざわざわと落ち着かない気分になりました。

「目をそらしたい」
と思いましたが、見つめ合うことがルールなのでそうもいきません。

ただ、どうやら相手も落ち着かない気分になっているらしいことに気づいたときに、少し楽になりました。「相手も同じだ」と。

その後、相手との見つめ合いを通して「目の色が変わる」「目は口ほどにモノを言う」という言葉が、まさに実感されたものでした。



本書はさまざまなアプローチで「見つめ合い」を考察します。
見つめ合うことによって、その両者間に起こる「磁場」のようなものはなんなのか。
なんだか「不自由」にさえ感じられる、視線の交錯の正体はなんなのでしょう?


ゴリラ、ボクサー、アンドロイド、あるいは恋人同士を材料に、新たな「対面」の気付きを得られる読書。
「見つめ合う」ことに強くなる、なんていう効果は得られませんが、少なからず「目を合わせる」ことに対しての意識は、多彩かつ多面的になるに違いありません。

(ライブラリアン:結縄 久俊)


対面的: 〈見つめ合い〉の人間学

大浦 康介
筑摩書房


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