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シリーズ「美術の時間に教わらなかったアート入門」開催レポート(3)

第3回のテーマは「サブカルチャーからみた現代アート」

アカデミーヒルズセミナー活動レポート文化教養

アカデミーヒルズ スタッフの活動レポート

開催日:2013年3月18日(月)
文/河上 写真/アカデミーヒルズ・スタッフ

シリーズ「美術の時間に教わらなかったアート入門」とは・・・

六本木アートカレッジでは、森美術館で開催中の「会田誠展:天才でごめんなさい」(2012/11/17~2013/3/31)にちなみ、このシリーズを企画しています。
会田誠は、センセーショナルな作品が話題になりがちですが、複雑な社会現象を背景にした幅広いテーマ、日本画の名作をベースに敷いた多様な表現方法で、作品を発表し続けている作家です。
本シリーズは、会田作品をより理解し、楽しむベースとなる「日本美術」「現代アート」「サブカルチャー」をテーマに、「ここをおさえればアートがもっと楽しくなる!」をスタンスに、堅苦しい学術書とは一線を画した、大人のためのアート入門講座(全3回)です。

サブカルチャーからみる現代アート


スピーカー:宇野常寛氏(評論家)

左)宇野氏 右)津田大介氏
左)宇野氏 右)津田大介氏

シリーズ第3回は、「サブカルチャーからみる現代アート」をテーマに、著書『ゼロ年代の想像力』(2008/早川書房)や『リトルピープルの時代』(2011/幻冬舎)で、アニメ、漫画、ドラマ、携帯小説など1990年代からのサブカルチャーを独自の視点で論じた評論家の宇野常寛氏、そしてソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践している津田大介氏を講師にお迎えしました。

日本特有である“サブカルチャー=オタク文化”とは何なのか?
冒頭の宇野氏の講義では、戦後の日本の“未成熟さ”の象徴として語られるオタク文化論に対して、90年代以降のインターネットによる爆発的な変化についてお話しいただきました。

インターネットが一般的に普及する以前、アニメやマンガは、コミックマーケットなどの場所で、パロディマンガなどファンによる“2次創作”が盛んに行われていたそう。限られた場所、人たちによってオタク文化は作られていました。

それがインターネットの普及により、多くの人による“2次創作”が可能になり、オタク文化を爆発させました。ニコニコ動画などの動画共有サービスから、爆発的に広がった音声合成技術「ボーカロイド)」である「初音ミク」は、インターネットを通じて2次創作”され、瞬く間に世界中に広がっています。日本的なキャラクターはこのような“2次創作”のコミュニティによる過剰なコミュニケーションの中で発展していると宇野氏はいいます。

そして、後半はジャーナリストの津田大介氏を交え対談がスタート。現代アートとサブカルチャーの関係性について話が進みます。現代アートが描く“オタク文化”は、キャプションであり市場にあるそのものが与えるインパクトを超えていないと宇野氏は主張。現代アートと社会の関係について考えされられる問題提起でした。

今回は、サブカルチャーから現代アートをみることによって、様々な日本文化の課題も浮き彫りとなりました。強烈に引かれるもの・・・そういったものこそが文化として次世代に継承されていくのだと感じる90分となりました。

春の1DAYカレッジ「六本木アートカレッジ SPRING 2013」

テーマは、「アートでLOVEに出会う」

(左から)丸山敬太、みうらじゅん(撮影:常盤響)、鶴田真由、高木由利子
(左から)丸山敬太、みうらじゅん(撮影:常盤響)、鶴田真由、高木由利子
毎回、多様なジャンルのオピニオンリーダーが登壇し、多彩なプログラムが人気の「六本木アートカレッジ」。春の1DAYカレッジとして開催する今回は、「LOVE」をテーマにみうらじゅん(イラストレーター)、丸山敬太(デザイナー)、鶴田真由(女優)など多彩なゲストが登場!森美術館で開催する「LOVE展」とも連動したプログラムも。アートあふれる春の六本木を是非お楽しみください。

●開催日 : 2013年4月29日(月・祝)13:00~18:30(受付開始 12:00)
●会場 : アカデミーヒルズ(六本木ヒルズ森タワー49F)
●参加費 : 4,000円(税込み)
 ※森美術館「LOVE:アートにみる愛のかたち」展チケット付き
●定員 : 800名
●主催 : アカデミーヒルズ
●協力 : 森美術館

該当講座

シリーズ「美術の時間に教わらなかったアート入門」
第3回 サブカルチャーからみる現代アート
宇野常寛 (評論家)
津田大介 (ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)

スピーカー:宇野常寛氏(評論家)/津田大介氏(ジャーナリスト)
3回シリーズの第3回、テーマは「サブカルチャーからみる現代アート」。日本のサブカルチャーのパワーは、今、インターネット環境の進化により、多様な生成と進化を遂げています。著書『ゼロ年代の想像力』(2008/早川書房)や『リトルピープルの時代』(2011/幻冬舎)で、アニメ、漫画、ドラマ、携帯小説など1990年代から2000年、そして震災後のサブカルチャーを独自の視点で論じた評論家の宇野常寛氏とジャーナリストの津田大介氏がサブカルチャーとアートの関係性について語ります。


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