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エントランスショーケースの展示が「泰西絵入り物語」展に
変わりました!

活動レポート

[アカデミーヒルズスタッフの活動レポート]
ユーロピアン・イラストレーテッド・ストーリーブックス「泰西絵入り物語」展
~アカデミーヒルズ エントランスショーケース展示~
企画・監修 澁川 雅俊 [ライブラリーフェロー]
【2013年1月23日(水)~2月18日(月)】
文・写真 きたがわ

アカデミーヒルズ(六本木ヒルズ 森タワー49F)レセプションエリアにある長さ約13mのエントランスショーケースの展示が1月23日(水)に変わりました。もうご覧になりましたか?

ユーロピアン・イラストレーテッド・ストーリーブックス「泰西絵入り物語」展


趣意書 
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19世紀後半から20世紀初頭にかけて西欧諸国で出版された挿絵入りの物語は、物語と絵が醸し出す味わいが成熟した人々を惹きつけ、その美意識を目覚めさせ、審美眼をくすぐる、不思議な魅力を持ったオトナの本ばかり。今回はその挿絵入り物語の黄金時代に活躍したイラストレーターたちの作品に焦点をあて、彼らが装画した原本を集め、展示しています。

イラストレーター19人とその作品原本29冊を展示

今回の見所は、なんと言っても、19世紀後半から20世紀初頭に出版された絵入り物語29冊の原本。


原本の挿絵を描いたイラストレーターたちは、下記の19名。

1.ジョン・テニエル(1820-1914)、2.ギュシュターヴ・ドレ(1832-88)3.ウォルター・クレイン(1845-1915)、4.ケート・グリーナウェイ(1846-1901)、5.フレデリク・カーレイ・ロビンソン(1862-1927)、6.ジェシー・ウィルコック・スミス(1863-1935)、7.ロバート・エンゲルス(1866-1926)、8.アーサー・ラッカム(1867-1939)、9.オーブリー・ヴィンセント・ビアズレイ(1872-1898)、10.W・ヒース・ロビンソン(1872-1944)、11.エレノア・フォテスキュ=ブリックデール(1872-1945)、12.ハリー・ローントリー(1878-1950)、13.メイベル・ルーシー・アットウェル(1879-1964)、14.エドモンド・デュラック(1882-1953)、15.ジョルジュ・バルビエ(1882-1932)、16.カイ・ニールセン(1886-1957)、17.トーマス・マッケンジー(1887-1944)、18.アラステア(1887-1969)、19.ハリー・クラーク(1889-1931)。
左:テニエルが描いた、L・キャロルが1865年に出版した『不思議の国のアリス』の挿絵
中央:デュラックが描いた「千夜一夜物語」の一話『バドーラ姫の物語』の挿絵
右:F・カーレイ・ロビンソンが描いた『青い鳥』の挿絵


9人の作品はパネルで紹介

さらに、その19人の作品の中から、9つの作品に焦点をあてパネルを展示しています。

“ギュシュターヴ・ドレ”が描いたミルトンの『失楽園』の13図や、E・スペンサーの『羊飼いの暦』の一月の詩に付けられた“ウォルター・クレイン”の版画挿絵、女流挿絵画家“ジェシー・ウィルコック・スミス”が挿絵をした英国牧師C・キングスレイの『水のこどもたち』のほか、いまも全世界で人気が高い“アーサー・ラッカム”が描いた短編「新居披露」の中の「悪魔のダンスの図」や“オーブリー・ヴィンセント・ビアズレイ”の『サロメ』の白黒ペン画など、惹きつけられる作品ばかりです。


欧州では、帝国主義が始まり、2つの大きな戦争が起こった激動の時代に活躍したイラストレーターたちの作品は、単なる本の挿絵というだけではなく、イラストレーターの想いが込められた作品としての魅力もいっぱいです。これら原書は、ライブラリーフェロー澁川先生の個人所有のもので、普段はなかなか目にすることはできません。ぜひこの機会に、ご覧になってはいかがでしょうか?