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遺伝子組み換え作物は、アフリカの食糧問題を解決できるか?

〜世界級のディベートを体験する〜

更新日 : 2012年06月20日 (水)

[Global Agenda Seminar 2012 開催レポート]
世界の食料問題を考える ~Tackling the world's food crisis~

ファシリテーター:石倉洋子(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 教授)

文/小林麻実 写真/スクール事務局



ダボス会議を主催するワールド・エコノミック・フォーラム(WEF)による「東アジア会議」でモデレータを務め、当日の早朝バンコクから帰国したばかりの石倉洋子・慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。

第2回目を迎えた「グローバル・アジェンダ・ゼミナール2012 第2ターム」は、文字どおり世界の第一線で活躍する石倉教授から、少人数クラスで直接学ぶことのできる貴重な機会です。


ファシリテーターの石倉洋子氏


今回は世界の食料問題を考えるために、遺伝子組み換え作物について、対立する意見を持つグループの立場から議論を進めるという、ディベートが主体のセッションとなりました。

参加者はそれぞれ「遺伝子組み換え食物製造企業」、「アフリカ諸国の政府代表」、「アフリカのために活動しているNGO」の3グループのいずれかにアサインされました。これらのグループの主張を英語での議論の流れに沿いながら、着実に展開していくことが求められます。しかも、自分自身がもつ実際の意見とは異なるグループに入り、その観点からロジックを組み立てなくてはならない場合もあるなど、かなり手ごわい課題だと感じた参加者も多かったようです。

様々な分野にまたがり、論点も多いこの話題。はじめはためらっていた参加者たちの議論は、次第に熱を帯び、白熱していきました。
だからこそ、「拡散しがちなトピックを絞り、自分たちのグループはそもそも何をしたいのか。それについて発言することにフォーカスしなさい」との石倉教授のコメントの意味が、実際にディベートを行ってみるとよくわかります。

また、「そもそも、与えられた課題のどの部分に応えるのか。それを決めること自体が重要。そうしなければ自分で場をコントロールできない」とのアドバイスも頂きました。このあたり、議論自体を一歩引いてみるという視点は、多くの国際会議に出席されている石倉教授ならではでしょう。なかなか自分では気づくことができないものです。

後半には参加者より提出されたレポートへのフィードバックをはじめ、「東アジア会議」に登壇したアウン・サン・スー・チー氏のビデオの紹介や教授が実際にお会いになったときの感想も伺いました。

「内容が豊富で盛りだくさんのセッションでした」、「英語でのディベートはふだんの実務では経験できないので、とても有益でした」との感想が聞かれました。