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復興から生まれた新たな都市デザイン!!

~メタボリズムの未来都市展:戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン~

活動レポート

アカデミーヒルズ スタッフの活動レポート


文/こばむ 
撮影:渡邉 修  写真提供:森美術館


 
森美術館にて開催中の、「メタボリズムの未来都市展:戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン」(~2012年1月15日まで)。
「メタボ」というと、内臓脂肪を思い浮かべる方も多いと思いますが、「メタボリズム」とは、生物学用語で新陳代謝の意味。建築家 丹下健三氏を筆頭に、その強い影響を受けた黒川紀章氏、菊竹清訓氏、槇文彦氏らによるメタボリズムという建築運動は、環境にすばやく適応する生き物のように、次々と姿を変えながら増殖していく建築や都市をイメージするものだったそうです。


丹下健三 ≪広島ピースセンター≫
「メタボリズムの未来都市展:戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン」展示風景、森美術館


磯崎 新 《空中都市——渋谷計画》
1962年/2011年(CG映像)
制作:芝浦工業大学有志研究室、デジタルハリウッド大学院小倉研究室


中銀カプセルタワービル(黒川紀章)、六本木通り沿いクロス・ポイントの前に展示されています

メタボリズム・ラウンジには、六本木ライブラリーの本も!

私自身、今回の展覧会で強く印象に残った点は3つあります。
1つめは、はじまりのセクション「メタボリズムの誕生」にある、メタボリズム運動誕生の原点になったという戦災復興計画《広島ピースセンター》や、マケドニアの首都の震災復興計画など。復興という必然性のある大きな原動力をきっかけとして、新しい都市像が生まれてきたことを見ることで、東日本大震災の復興計画への期待を強くもちました。

2つめは、磯崎新氏による空中都市計画。新宿、渋谷など、CG製作された全く異なる表情をもつ都市像には、圧倒的な存在感があります。実現の難しさは相当なものかと思いますが、どこの街に行っても同じような印象なのではなく、それぞれが独創的なスタイルを持つことができたならば、素晴らしい魅力になることを確信できる作品でした。

3つめには、メタボリズムを体現する都市住宅、黒川紀章氏の《中銀カプセルタワービル》。これは、工場で制作された取替え可能な140戸の住宅カプセルが取り付けられた、働くビジネスマン向けのセカンドハウス@銀座です。10m²という小さな小さな空間に、ユニットバスに電話、AV機器などが宇宙船の中のように組み込まれています。六本木ヒルズ内ハートランドの横に、復元されたものが展示されていますので、ぜひそちらもご覧ください。

どの展覧会でもそうなのですが、私のオススメの楽しみ方は、ギャラリートークトークセッション・シンポジウムに参加すること。話を聞かずに観るのとでは、天地の差ほど観る楽しさが違ってきます。ぜひお時間合えば、好みのプログラムにご参加になってはいかがですか。

それから、本展最後には、メタボリズムラウンジがあります。ここでは、メタボリズムの影響が見られる進行中のプロジェクトの映像や、関連書籍を楽しむことができます。
書棚へは、六本木ライブラリーの蔵書を一部お貸出しています。どうぞ併せてお楽しみください。


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