六本木ヒルズライブラリー

万国博に舞い降りた「未来からのビーナス」、その姿そのままに

大橋 博之さんの『日本万国博覧会 パビリオン制服図鑑』

 今回ご紹介させていただくのは、SF関連書籍・雑誌の執筆・編集を手掛けている、メンバーの大橋博之さんの『日本万国博覧会 パビリオン制服図鑑』です。
 高度経済成長時代の日本を象徴する一大イベント、「日本万国博覧会」で活躍していた女性たちの制服姿を中心に、万国博が様々な角度から解説されています。ページを彩るユニフォームの斬新なデザイン、統一された美しさ。「人類の進歩と調和」をテーマとした万国博に、「未来都市の住人」として色鮮やかに登場した女性たち。その姿は開催から40年が過ぎた今でも未だ新しく、当時の人たちの未来感覚の豊かさに目をみはります。


 大阪で日本万国博覧会が開催されたのは1970年のことです。それから早や40年が過ぎ去りました。

 特定の世代には強烈なインパクトを刻みつけた歴史的イベントでしたが、その記憶を後世に残すため、会場の跡地である万国博記念公園に「EXPO'7Oパビリオン」が作られ、2010年3月13日にオープンしました。
ここには万国博の記録資料が数多く展示されています。中でも最大の注目となっているのが、当時のホステスたちが着ていたユニフォームの復元展示です。

 万国博の主役といえば巨大なパビリオンや月の石などに代表される展示品でした。しかし、来場者をエスコートし影で支えたのは、まるで未来からやってきたようなファッションに身を包んだホステス(当時はそう呼ばれていました)たちだったのです。彼女たちは“動く展示品”といわれていました。万国博が未来都市ならば、ホステスたちは未来都市の住人だったのです。

 ユニフォームを復元して展示するというプランがスタートしたのは2009年の1月。本書はそれに連動させたビジュアルブックとして企画されました。一年越しの準備期間を経て、日本万国博覧会記念機構と日本ユニフォームセンターの協力のもと、復元展示されている22のパビリオンのユニフォームを中心に、海外国内のパビリオンも含めた貴重な当時のユニフォーム写真を多数掲載しています。
それら過去から来た未来の制服デザインは今も決して古びてはいません。むしろそのセンスの良さに驚くことでしょう。

 万国博を記憶している人から、70年代ファッションに興味のある人たちまで、多くの人が楽しめる制服図鑑になっているはずです。

大橋 博之さん

1959年大阪生まれ。ライター。
 自分自身が体験し、感動させてもらった人物や出来事を再評価することをライフワークとしている。現在は昭和をテーマに活動している。
 編集を手掛けたものに『柳柊二 怪奇画帖』『金森達SFアート原画集』『光瀬龍-SF作家の曳航』(ラピュータ)『樺島勝一-昭和のスーパー・リアリズム画集』(小学館クリエイティブ)がある。

関連書籍

日本万国博覧会 パビリオン制服図鑑大橋博之【編著】
河出書房新社
金森達SFアート原画集金森達【著】,大橋博之【編】
ラピュータ
樺島勝一—昭和のスーパー・リアリズム画集樺島勝一【著】
小学館クリエイティブ

光瀬龍—SF作家の曳航光瀬龍【著】,大橋博之【責任編集】
ラピュータ
怪奇画帖柳柊二,大橋博之
ラピュータ