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スティーブ・ジョブズを通して学ぶ「感性訴求」

~iPod mini仕掛人、前刀禎明はいかにして世の中を動かしたのか~

経営戦略ビジネススキルキャリア・人
更新日 : 2012年08月24日 (金)

第1章 Think different.=自分らしくあれ

アップルが日本で低迷していた時代にiPod miniを大ヒットさせ、ブランドを復活させた前刀氏。それまでにもソニーやウォルト・ディズニーでイノベーティブな商品やサービスを世に送り出してきた氏が、未来をリードし、人の心を動かす価値創りに必要な「感じる力」と「セルフ・イノベーション方法」について語ります。

講師 :前刀禎明(株式会社リアルディア 代表取締役社長/モーションビート株式会社 取締役会長)

前刀禎明(株式会社リアルディア代表取締役社長/モーションビート株式会社取締役会長)
前刀禎明(株式会社リアルディア代表取締役社長/モーションビート株式会社取締役会長)

前刀禎明: きょうは「新たな価値を生むセルフ・イノベーション~スティーブ・ジョブズ氏を通して学ぶ感性訴求~」について話します。アップルに復帰したスティーブ・ジョブズが打ち出した「Think different.」というスローガンは、一般的には「発想を変える」「ものの見方を変える」と訳されますが、私は「自分らしくあれ」と訳しています。

自分らしくあることは重要です。なぜかというと、Multiple Intelligencesという理論があります。人の能力は様々で、言葉に長けている人、数学に長けている人、音楽に長けている人、身体的能力に長けている人、対人能力に長けている人など、それぞれ持ち味がある。だから自分をよく知り、自分の強みを活かすことが大事だということです。そうするにはセルフ・イノベーションに取り組むのが一番いいのです。私自身も「Self-Innovation & Challenge」を人生のテーマに、常に自己革新を行い、挑戦し続ける生き方を志しています。

1971年、今から41年前に書かれた「優秀なマネジャーに成長する条件」というハーバード・ビジネススクールの論文があります。その内容は「MBAホルダーが必ずしも優秀な経営者になるとは限らない。本当に仕事で必要なことはビジネススクールでは学べない」というものです。問題解決やスキルに重きを置くビジネススクールの授業では「何が問題なのか、何を解決すればいいのか、それを感じとる感性」はなかなか身に付けることができないからです。

「イノベーションを生む組織をつくるにはどうすればいいか」という話がよくされますが、組織どうこう以前に、人が重要です。ドラッカーは「イノベーションを生むのは、金ではなく人である」と言いました。個人個人が変わらなければ、組織も世の中も変わりません。今現在の自分は関係ありません。重要なのは、これからどれぐらい上を目指していくか、どれぐらい自分が変わっていけるかです。

ジェームズ・キャメロンは「自分で決めたルールを貫く」と言いました。映画『タイタニック』では本物の再現にこだわって、オープニング・シーンのために実物の沈んだタイタニックを撮りに行ったそうです。スティーブ・ジョブズも「自分の夢にこだわり、自分が信じた道を突き進む」と、同じようなことを言っていました。

大切なのは、皆さんが何かやろうとするとき、「欲求」を持って、「努力」をして、努力が実って欲求を満たせたら「喜ぶ」ことです。この感覚を持ってください。「欲求があり、努力があり、喜びがある」。成長するためには、このプロセスが必要です。

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前刀禎明 (株式会社リアルディア 代表取締役社長)

前刀禎明 (㈱リアルディア 代表取締役社長/ngi group㈱代表執行役会長 兼 取締役)
「企業が本質的な次元で価値を創り、人の心を動かす」にはどうしたらよいのか、そのために必要な「感性訴求」とは何か?Apple日本法人代表取締役として、ジョブズ氏と共に日本のAppleブランドを復活させたご経験を踏まえてお話し頂きます。


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