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メディア化する企業はなぜ強いのか? 小林弘人氏が解説します

BIZセミナーオンラインビジネス
更新日 : 2012年07月26日 (木)

第5章 メディア化のテクニック

小林弘人(株式会社インフォバーン代表取締役CEO/株式会社デジモ 代表取締役 ソーシャル・トイ・ビジョナリー)

小林弘人: 「前田建設ファンタジー営業部」は、たった一人の方が始めたものだそうです。こうしたユニークな社員が自社にいない場合はどうすればいいかというと、コンテンツ・キュレーションという方法があります。

コンテンツ・キュレーションにはいろいろな方法がありますが、3つ紹介します。1つ目は「アグリゲーション(集成)」で、これは誰かが書いたものを集めてきて提示する方法です。いろいろ許可を取る必要が出てくると思いますが、リンクを紹介するだけでなく、取り上げた事例を1回咀嚼して解説してあげるといいでしょう。2つ目は「エレベーション(上昇)」で、コンテンツをいっぱい集めて「これらは実はこういうことだ」「こういうことをいろんな人が言っているけれど、トレンド的にはこういう大きな流れがあるんだ」というように、1つのコンセプトに昇華させて解説するやり方です。3つ目は「クロノロジー(年表)」で、発表された順にコンテンツを並べる方法です。

参考事例としては、私の会社インフォバーンが運営している「ソシエタ」があります。アグリゲーションやエレベーションの手法を使って、世界中のソーシャルメディア最新事例を業界向けに紹介しています。

コンテンツ・キュレーション以外では、「コンテンツを買ってくる」「タダでコンテンツを集めてくる」「CGMにしてユーザーにつくってもらう」「似た分野の情報を扱う既存サイトと提携する」「CGM企業と提携する」、あるいは私の会社「インフォバーンに相談する」という方法もあります(笑)。

いくつか事例を紹介すると、既存サイトとの提携例では、化粧品会社のロクシタンが集英社と一緒に「L'OCCA(ロッカ)」というウェブを運営していて、なおかつ紙のフリーマガジンも発行しています。なぜこの2社がコラボしているのかというと、集英社は「s-woman.net」というサイトを運営していて、そのユーザーと「L'OCCA」のユーザーが重なるからです。お互いのバナーを載せ、共有できるコンテンツは共有して、流入をはかっています。CGM企業との提携例では、三井不動産レジデンシャルが「はてな」と提携して、「イエはてな」を運営しています。

ほかにも手法はいろいろあって、例えば「東京R不動産」は、商材である不動産のカテゴリーや見せ方を変えることで、キラー・コンテンツを生み出しました。http://www.realtokyoestate.co.jp/ほかの不動産会社と何が違うかというと、カテゴリーがすごくおもしろいんです。例えば「お得なワケあり」とか「レトロな味わい」など。写真につけるキャプションや物件の説明など、全体のトーン&マナーを揃えていい感じにまとめているので、読み物としておもしろくなっています。

ニッチな欲求に対する情報を雑誌風にして提供するやり方もあります。街で見かけて気になったミリタリーウォッチを検索すると、大体「ラヘンズミリタリー」というミリタリーウォッチを専門に扱う通販サイトに引っかかります。「これはドイツの空軍が使っていて~」みたいなうんちくなど、ユーザーが欲する情報を雑誌のように掲載しているからです。

それから、ニーズを先回りしてメディアをつくる、フォアキャスト・メディアというやり方もあります。某自動車メーカーが北米で販売していた車を、平行輸入して日本で販売している業者がありました。今は自動車メーカー自身が日本での取扱も始めたのですが、以前はこの車を検索すると、並行輸入業者のサイトに引っかかりました。潜在的なニーズやトレンドを予測して、先回りしてメディア化するというのは、いろいろなことに応用できると思います。

もう1つ、ライフタイム・バリュー別にメディアをつくる方法もあります。例えば、車は買って終わりじゃなくて、タイヤを交換したり、アクセサリーを買ったり、後々までいろいろなニーズが出てきますよね。こうした段階に応じたメディアを形成するのです。商品を買ったばかりの人向けとか、昔からの顧客向けなどの切り口も可能です。

※検索結果は2012年当時のものです

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小林弘人 (株式会社インフォバーン代表取締役CEO、東京大学大学院・情報学環 非常勤講師)
神原弥奈子 (株式会社ニューズ・ツー・ユー 代表取締役)

小林弘人(インフォバーン代表取締役CEO)
「ワイアード」「サイゾー」などの紙媒体、「ギズモード」などのネットメディアの両方を手がけてきた、出版業界からインターネット業界にまたぐオピニオンリーダー、小林氏をゲストにお迎えします。


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