記事・レポート

伊勢谷友介とリバースプロジェクト その理念と実践に迫る

人類が地球に生き残るために、どうするべきか?

環境
更新日 : 2012年03月30日 (金)

第6章 ソーシャルメディアが税金のあり方を変える

片岡真実(左)伊勢谷友介氏(右)

伊勢谷友介: 「元気玉プロジェクト」を担当している関根(優作)君とは、ツイッターで出会ったんですよ。彼は千葉県の柏市に住んでいるんですけれど、3.11をきっかけに「自分ができることがある。自分が動けば誰かの助けになることができる。いままでは自分が楽しければいいと思っていたけれど、人生は自分のために生きるものじゃない」ということに気づいたそうです。

それで「何かしなきゃ」と思い立って、ストーブを小中学校から集めたんだけれど、現地に運ぶ方法がなかったそうです。それでいろんな芸能人に声をかけたんだけれど、結局拾ったのが俺だけだったらしい。まあ、それはそうでしょう。ストーブ預けられて何とかする俳優、いないですからね(笑)。それで僕が、支援米でお世話になったウインローダーさんに話したら「よし、手伝ってやる」と言って、ガーッと現地に持って行ってくれました。関根は今ではリバースプロジェクトで一緒に働いてくれているので、ぜひ応援してください。

片岡真実: ソーシャルメディアができたことで、小さな力が集まりやすくなりましたよね。「元気玉プロジェクト」もそうですし、北アフリカや中東の革命も、eメディアがなければ無理だったと思います。

一人ひとりが権力者によって集められるのではなく、個人の意思で集ったときに大きな1つの力になるわけですが、それには集まれるプラットフォームが必要ですし、それと同時にリーダーシップも必要です。だからいろんな意思が同時多発的に発生しているときに、伊勢谷さんのようにメディアに名前も顔も出していらっしゃる方が、一般の人が誰でも参加できて、小さな想いを集めて形にできる場をつくっているということは、すごく重要なことだと思います。

伊勢谷友介: 「元気玉プロジェクト」では、マイクロ・パトロン・プラットフォーム(CAMPFIRE)という仕組みを使いました。これは税金の新しいあり方になると思います。今、税金って何に使われているのかわからないじゃないですか。聞こえてくるのは、官僚が利権をむさぼっているという悪い情報ばっかりで。でも「元気玉プロジェクト」なら、自分の意思で何にエネルギーを与えるか決めることができるんです。支援したい気持ちがどこに行くのか、それを出資している人がわかるってことは大事です。

「元気玉プロジェクト」は、今は被災地支援の色が強いんですけれど、もともとは個人の企画に対して投資できる場所として考えていたので、今後はそうしていけるようにしたいと思っています。

片岡真実: もしみんなの賛同を得たいプロジェクトがあったら、誰でも参加できるということですね。

伊勢谷友介: 誰でもできます。ただし企画者は、人の心をつかむアイディアとプレゼン能力が絶対に必要です。そこは勉強してもらうことになりますけど、それがいいんですよ。

片岡真実: 自分が思っているアイディアがどのくらい社会的に賛同を得られるか、公開してみて諮るんですね。

Clip to Evernote

関連リンク

  六本木アートカレッジ「人類が地球に生き残るために、どうするべきか?」

俳優、映画監督、美術家の伊勢谷友介氏は、「人類が地球に生き残るために何かできるのか」をテーマに、 主宰する「REBIRTH PROJECT」でさまざまなプロジェクトを展開してきました。特に、3.11東日本大震災以 降は精力的に活動を広げています。それは未来にとってどんな可能性を持っているのか、私たちは日常的 にどんな心構えが必要なのか?森美術館チーフ・キュレーターの片岡真実氏との対談で、アートもビジネス も社会問題も一体となって考える、広い視点から見た未来について語ります。