記事・レポート
恥をかけ! 議論しろ!
ニッポンをもっと元気にする!「日本元気塾」に奥山清行氏が登場!
更新日 : 2010年08月18日
(水)
第2章 奥山塾では、恥をかき、議論してもらいます
米倉誠一郎: 外から見ると、今の日本はどうですか。
奥山清行: 日本の話をすると、どうしても悪口ばかりになってしまうので嫌なんですけれど(笑)。
まず1つ。西洋文明、特にキリスト教文化が「罪」という意識を基軸とする社会だとすると、日本は「恥」が基軸の社会だと思うんです。恥というのは「人は何をやっている、それに対して自分は何をする」という相対的なものなので、ある意味、すごく美しい感覚です。が、今は社会がものすごく変動していて周りが変わってしまうので、「恥」の感覚がなくなっています。今の日本は「恥」という文化が全く機能しなくなっています。
その「恥」の延長にあるのが「沈黙は金」です。人前で余計なことを言って恥をかくというのは、社会的に悪いことだと思われていますが、恥をかかないと新しいことはできないんです。
恥というのは小さな失敗なわけですが、日本は小さな失敗をさせない文化になってしまいました。たとえ小さな失敗でもしてしまうと、二度と立ち直れない。そのせいで、大きな失敗をするようになっていると思うんです。
例えば会社を興しても倒産したら、銀行は二度とお金を貸してくれないですよね。アメリカなんか、倒産してもリカバーしたら「大したものだ」ということで、逆にもっとお金を貸してくれたりします。子どもに対しても日本は「ナイフを使うな」でしょ。昔は手を切って痛みを覚えたんだけれど、それすらなくなってきています。
今の子どもや若い人は、小さな失敗をするチャンスをどんどん奪われて、大きな失敗に追い込まれています。それを変えなきゃいけません。
それから、議論する訓練が全くなされていないことも問題です。僕がやりたいことの1つにコミュニケーションがあるんですけど、コミュニケーションというと、「話をして人に伝えること」だけと思われがちです。でも、「人の言うことを聞いて議論して、議論の中でお互いに妥協しながら結論を導き出して、それに従う」というのが民主主義。
イタリアに居ると、議論で社会が動いているというのがよくわかるんです。相手がボスであろうが、誰であろうが、ちゃんと議論して、短い時間で結論を出す。議論がすごく上手で、心地いいほど圧倒されますよ。
米倉誠一郎: ホモ・ロクエンスの社会だから、イタリア人はとうとうとしゃべりますね。半分ぐらいは意味のないことをしゃべっているような気もしますが(笑)。
奥山清行: 実はそうなんですけど、そこは話術ですよ。感情を表に出しても、ちゃんとコントロールするべきところはしている。だからギリギリのところまでガーッと行くけれど、言っちゃいけないことは言わないんです。そういう練習をしなきゃ。
米倉誠一郎: 本当にそうですね。この前、アメリカの会社の会議に、日本の学生が参加して静かにしていたら、「どうしてそんなに静かなの?」と聞かれた。「今日は1回目だから聞いておいて、2回目から話そうと思って」と答えたら、「あっそう。でも、それじゃあ2回目は呼ばれないよ」と言われていました。そういう機会損失は大きいですよね。
奥山清行: 二度と会議に呼ばれない。
米倉誠一郎: 「あいつは何の貢献もしなかった」ということになってしまうから、やはり、しゃべらなければダメ。
奥山清行: そう。だから恥をかいてもらう、議論をしてもらう。
米倉誠一郎: いいですね、奥山流コミュニケーション。
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